AI人材育成はなぜ失敗するのか?企業が陥りやすい課題と立て直しのポイント

今回は、AI人材育成を成功させるためのポイントや育成方法について解説します。

さらに、AI人材が不足している理由や、企業がAI人材育成で抱えやすい課題についても触れています。

「AI人材を育成したい」と考えながらも、何から始めればいいかわからず、手が止まっている企業は少なくありません。

研修を実施しても業務に活かされない、外部に任せてもコストばかりかかるといった声も現場では聞かれます。

社内のAI人材育成の体制を整えたいと考えている方や、AI人材育成に取り組めておらず、危機感を抱いている方は読んでみてください。

転職UPPP編集部ライター T氏:30代前半

転職UPPPライター
T.F氏:30代前半

ライター経験8年以上で年間100記事以上を執筆。転職・健康食品・美容などの情報を取り扱うWebメディア企業でライター/ディレクターの経験を積み、その後フリーランスへ転身。Webコンテンツの執筆やWebサイトのディレクション、コンサルなどを経験。今までに6社の転職サイト/エージェントを利用し、現在は転職UPPP編集部で活躍中。

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目次

AI人材とは?定義を解説

AI人材とは、人工知能(AI)の開発・導入・活用に関わる知識やスキルを持ち、業務改善や新たな価値創出を担う人材のことです。
※参考元:スキルアップAI Journal「AI人材とは?育成の注意点と必要なスキル・不足する理由を解説」国立国会図書館「AI 人材をめぐる状況と政策課題」

AIシステムを構築するエンジニアだけでなく、現場でAIツールを使いこなす担当者や、AI活用の方針を決める経営層まで含み、幅広く定義されます。

「AI人材」という言葉には現時点で共通の定義があるわけではなく、企業によって解釈が異なります。

ただし共通しているのは、AIの知識を持っているだけでなく「実際のビジネス課題をAI技術で解決できるかどうか」が重要な基準になるという点です。

AI人材育成のための教育区分

現在も参考になる枠組みとして、政府が2019年6月に策定した「AI戦略2019」では、AI人材育成のための教育を3つに区分しています

この区分は、企業がどのようなAI人材を育成すべきかを考えるうえでの指針になります。

区分概要主な対象
リテラシー教育AIやデータサイエンスの基礎知識を持ち、業務でAIを適切に使える全ビジネスパーソン・一般社員
応用基礎教育AIをビジネスに応用し、課題解決や導入推進を担えるデータサイエンティスト・AIプランナー
エキスパート教育AI技術の研究・開発を担い、イノベーションを創出できるAIエンジニア・AI研究者

※参考元:内閣府「AI戦略2019 ~人・産業・地域・政府全てにAI~」

一般企業の社内育成で主な対象となるのは、リテラシー教育と応用基礎教育の2つです。

エキスパート人材はAI研究機関や大手テック企業が中心の領域であり、多くの企業では社内育成の対象として想定しにくい存在です。

AI人材・IT人材・DX人材の違い

AI人材・IT人材・DX人材は混同されやすいですが、カバーする領域と役割が異なります。

AI人材はIT人材の中でAIに特化した人材であり、DX人材はAI・ITを含む幅広いデジタル技術を活用して事業変革を推進するため、より広い意味を指します。

AI人材IT人材DX人材
定義AIの開発・導入・活用に関わる人材情報技術全般を扱う人材デジタル技術を活用して事業変革を推進する人材
主な役割AI開発・実装・業務活用システム開発・運用・インフラ管理業務改革・新事業創出・組織変革
必要なスキル機械学習・データ分析・生成AI活用プログラミング・ネットワーク・セキュリティデジタル技術全般+ビジネス変革力
概念の広さIT人材の中でAIに特化AI人材を含む広い概念最も広い概念

現場でAIツールを使う担当者も「AI人材」に含まれます。

とはいえ、DX人材はAIに限らずクラウドやビッグデータなどあらゆるデジタル技術を組み合わせ、組織全体の変革を担う点で役割が異なります

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AI人材不足の現状と、不足している理由

AI需要が平均的なペースで伸び続けた場合、2025年には約8.8万人、2030年には最大約12.4万人のAI人材が不足するという結果が示されました。
※参考元:経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」

この試算は2019年時点のものですが、その後も生成AIの普及によってAI人材への需要はさらに拡大しています。試算を上回るペースで需要と供給のギャップが広がっている可能性があります。

不足の根本的な原因の一つは、需要の急増に対して供給が構造的に追いついていないことです。

生成AIの急速な普及により、従来の専門職だけでなく幅広い業種でAIを扱える人材が求められるようになりました。

一方、AIを実務に活かせるレベルまで育成する教育プログラムは、この需要増に対応できているとは言えない状況です。

加えて、少子高齢化による労働力人口の減少も影響しています。AI・IT分野に入職する若年層の数が伸び悩む中、AI需要だけが先行して増え続けているため、需給ギャップは解消されにくい構造になっています。

AI人材に求められるスキルと役割の種類

AI人材に求められるスキルは、「技術系スキル」「生成AI活用スキル」「ビジネス・課題解決スキル」の3つの領域に整理できます。

担う役割によって必要なスキルの比重は異なりますが、AIを実務で活かすには3つの領域を横断的に理解していることが求められます。

技術系スキル(機械学習・データ分析など)

経済産業省・IPAのデジタルスキル標準(DSS)では、データサイエンティストを「データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データを収集・解析する仕組みの設計・実装・運用を担う人材」と定義しています。
※参考元:IPA「デジタルスキル標準 DSS-P 分冊版 データサイエンティスト編 ver.2.0」

このデータサイエンティストや、AIシステムの実装を担うソフトウェアエンジニアが習得すべき技術系スキルとしては、以下が挙げられます。

  • データの収集・前処理・解析・可視化:データから業務課題の解決に向けた知見を引き出す一連のプロセスを担える
  • 機械学習・AIモデルの実装・評価:学習モデルの構造を理解し、業務要件に合わせた設計・検証ができる
  • AI実装・運用:開発したAIシステムを現場環境に組み込み、安定して運用できる(DSS ver.2.0で重要スキルとして拡充)
  • プログラミング:PythonなどのAI開発言語を用いてデータ処理やモデル実装を自力で行える

これらは主にデータサイエンティストやAIエンジニアに求められるスキルです。

AI導入を推進する立場の人材であっても、技術の基礎を把握しておくと外部ベンダーへの要件定義や社内説明がスムーズになります

生成AI活用スキル

経済産業省・IPAはDSS ver.1.2(2024年7月)の改訂において、DXを推進する人材が「生成AIを実際に用いる際には権利侵害・情報漏洩、倫理的な問題等が無いよう十分に注意を払う必要がある」と明記しました。
※参考元:IPA「デジタルスキル標準 DSS-P 分冊版 ver.1.2」

生成AIを業務で活用するには、ツールを使いこなすだけでなく、リスクを見極めて適切に判断する能力が不可欠です。

主なスキルは以下のとおりです。

  • 生成AIツールの業務活用:文書生成・情報収集・コード補助など、業務シーンに応じてツールを使い分けられる
  • プロンプト設計:目的に合わせた指示文を組み立て、精度の高い出力を引き出せる
  • 出力の検証と精度判断:AIが生成した内容の正確性を批判的に確認し、誤情報のリスクに対処できる
  • 情報セキュリティ・権利・倫理の理解:社内情報の入力リスク・著作権・プライバシーへの影響を把握したうえで利用できる

生成AIは、専門的な技術知識がなくても比較的扱いやすいため、営業・マーケティング・バックオフィスなど技術職以外の幅広い職種でも習得が求められるようになっています。

ビジネス・課題解決スキル

DSSではビジネスアーキテクトを「事業・サービスの変革や業務の効率化・高度化の構想から実装・導入、導入後の効果検証までを担う人材」と位置づけています。

DSS ver.2.0(2026年4月)ではビジネスアーキテクト類型におけるビジネス変革関連のスキルが拡充され、AIガバナンスの重要性も改めて明記されました。
※参考元:IPA「デジタルスキル標準 DSS-P 分冊版 データサイエンティスト編 ver.2.0」

具体的には以下のスキルが含まれます。

  • ビジネス課題の発見と解決構想の立案:現場の課題を整理し、AIを活用した解決策を設計できる
  • DXプロジェクトの推進・関係者との連携:構想から導入・効果検証まで一貫してプロセスを管理し、社内外の関係者を調整できる
  • AIガバナンスの理解:AIの利活用において組織として守るべきルールや判断基準を把握し、適切に意思決定できる
  • 成果の言語化と組織への浸透:AI活用の効果を非専門家にわかりやすく伝え、現場定着を支援できる

技術スキルが「AIを動かす力」だとすれば、ビジネス・課題解決スキルは「AIを事業価値に変える力」といえるでしょう。

こういった点で、AI導入を推進する企業では、経営層にもAIに関するスキルや知識が求められます。

AI人材育成を成功させるための3つのポイント

育成方法を選んでも、進め方の設計が甘いと「研修を実施したが定着しなかった」「コストをかけたのに業務が変わらなかった」という結果になりがちです。

AI人材育成を成果につなげるためには、手段の前に押さえておくべき3つのポイントがあります。

自社が必要とするAI人材像を明確にする

AI人材の育成の効果は、「何のためのAI人材を育てるか」を最初に定義できているかどうかで大きく変わります。

「全社的にAIリテラシーを高めたい」「AIを開発・実装できるエンジニアを育てたい」「業務改善にAIを活用できる担当者を増やしたい」では、必要な育成内容がまったく異なります。

まず自社の経営戦略・事業課題から逆算し、「どの部門の・どのレベルの人材に・どのスキルを身につけさせるか」を具体的に描くことが先決です。

人材像が曖昧なまま研修を始めると、カリキュラムの選定も効果の測定も機能しません。

段階的な育成計画を設計する

全員に同じ研修を一度に受けさせる形では、スキルの定着は見込みにくいです。対象者のレベルと役割に応じて段階を分けることが、育成効率を高めます。

たとえば、以下の3区分で設計するのが効果的です。

詳細
リテラシー教育AIやデータサイエンスの基礎を全ビジネスパーソンが身につける段階。生成AIツールの活用・リスク管理・倫理的な判断など、職種を問わず必要な素養を習得する。
応用基礎教育AIをビジネス課題の解決に応用できる人材を育てる段階。データ分析・AI導入プロジェクトの推進・現場との橋渡しなど、業務に直結したスキルを習得する。
エキスパート教育AIの研究・開発・実装を担う専門人材を育てる段階。機械学習・モデル設計・AI実装など、高度な技術スキルを習得する。

※参考元:統合イノベーション戦略推進会議決定「AI戦略 2019~人・産業・地域・政府全てにAI~」

各段階の修了基準と次の段階への移行条件をあらかじめ設定しておくと、育成の進捗管理がしやすくなります。

経営層が関与し、継続的な学習環境を整える

AI人材育成は、単発の研修で完結するものではありません。

技術の進化が速いため、学び続けられる環境を制度として整えることが、育成を継続させる鍵になります。経営層のコミットメントは、その土台として欠かせません。

経営層が育成の必要性を発信し、予算・時間・評価の仕組みを整備することで、現場の学習意欲が高まりやすくなります。

また、学んだスキルを実務で使える機会を意図的に設けることも重要です。

研修後に活かせるプロジェクトや役割が用意されていないと、習得したスキルは使われないまま失われます。

「学ぶ→実践する→フィードバックを受ける」サイクルを組織として回し続けられるかどうかが、育成の質を長期的に左右します。

企業がAI人材育成を進める際の4つの課題

AI人材の育成に実際に取り組もうとしても「何から始めればいいかわからない」「研修を実施しても業務で活かせない」といった壁にぶつかる企業は少なくありません。

以下では、企業がAI人材育成を進める際に直面する4つの課題を紹介します。

課題1:育成計画が立てられない

IPAが2025年8月に公表した「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2024年度)全体報告書」によると、DXを全社的に推進している企業においても、「人材類型やスキルを定義」できている企業は3割未満にとどまっています。
※参考元:IPA「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2024年度)全体報告書」

「AI人材を育成したい」と考えていても、「誰に・何を・どのレベルまで教えるか」を体系的に定義できていない企業が大半というのが実態です。

さらに、AI技術のスキル要件は更新速度が速く、求められる内容が変わり続けます。

どのような人材像を目指すかの方向性が定まらないまま育成を始めても、リソースが分散するだけで成果につながりにくくなります

育成の出発点となる「自社が必要とするAI人材像の定義」が、多くの企業にとって最初の壁になっています。

課題2:実務に使える教材が少ない

同調査では、学習行動ができていない人の阻害要因として「学習ガイドの不足」も挙げられています
※参考元:IPA「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2024年度)全体報告書」

市場には機械学習やPythonの入門書、オンライン講座が多数ありますが、自社の業務・システム・課題に即した実践的なコンテンツは少ないのが現状です。

業界・職種・職場環境に合った実務レベルの教材が不足していることが、学習の定着を妨げる要因のひとつになっています。

課題3:既存業務との兼ね合いでリソースが確保しにくい

同調査では、DXに部分的に取り組んでいる企業でも4〜6割が人材育成の支援を行えていないと回答しており、学びの行動ができていない人は「学ぶ時間」を主な阻害要因として挙げています。
※参考元:IPA「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2024年度)全体報告書」

AI人材育成のための研修の受講時間・費用・担当者の工数など、育成にはたくさんのリソースが必要となります

「AI人材育成の必要性はわかっているが、日々の業務が優先されてしまう」という状況が、多くの企業にあります。

課題4:実案件でのスキルアップが難しい

IPAのディスカッションペーパー「DX動向2025-AI時代のデジタル人材育成」では、OJTや自己啓発の実施割合が日本は調査対象7カ国(日本・米国・ドイツ・フランス・英国・中国・スウェーデン)の中で下位であることが示されています。
※参考元:IPA「DX動向2025-AI時代のデジタル人材育成」

研修や座学で知識を得ても、実際のプロジェクトで使う機会がなければスキルとして定着しません。

特にAIスキルは、理論の習得と実案件での実践の間に大きな差があります。

「研修を終えたが業務で活かす場がない」という状況は、育成コストを無駄にするだけでなく、人材のモチベーション低下にもつながります

AI人材を育成する主な方法

AI人材の育成手段は大きく3つに分けられます。社内での研修・勉強会、外部の研修プログラムや講座への参加、そして実プロジェクトを通じたOJTです。

それぞれに適した場面や対象者が異なるため、自社の状況に合わせて組み合わせることが効果的です。

社内研修・勉強会

社内研修・勉強会は、自社の業務や課題に即した内容で育成を進められる点が最大の強みです。

外部の汎用的なカリキュラムとは異なり、「自社が使っているシステムにAIを組み込む方法」や「自部門のデータをどう分析するか」といった、現場に直結したテーマで学ぶことができます。

一方で、社内にAIの知識を持つ指導者がいない場合は、研修の設計・実施自体が難しくなります。

その場合は外部の講師を招いて社内研修を実施する方法や、有識者によるスポット勉強会から始めるなど、段階的に取り組む方法があります。

外部の研修プログラム・講座への参加

外部の研修プログラムや講座は、体系的なカリキュラムと専門講師による指導を受けられるのが強みです。

企業向けの集合研修からオンラインのeラーニングまで形式は多様で、受講者のレベルや目的に合わせてコースを選べるサービスが多いです。

社内にAI育成のノウハウがない企業でも、すぐに取り組めるのが利点です。

ただし、外部プログラムは自社の業務に直結した内容とは限りません。

学んだ知識を自社の現場でどう活かすか、受講後のフォローアップまで設計しておかないと、研修が「やりっぱなし」で終わりやすい点に注意が必要です。

OJT(実プロジェクトへの参加)

OJTは、実際の業務プロジェクトにAI人材候補を参加させながらスキルを習得させる方法です。

座学では補えない「実務での判断力」「チームでの動き方」「失敗から学ぶ経験」を積める点で、スキルの定着という観点では最も効果が高い手段です。

社内にAIプロジェクトがまだない場合は、外部のAI導入案件に協力する形や、小規模なPoC(概念実証)プロジェクトを社内で立ち上げることで、OJTの場を意図的に作ることができます。

研修で得た知識を実務で試す機会を確保することが、育成の質を高めるうえで不可欠です。

外部のAI人材育成サービス・研修・講座の選び方

外部の育成サービスや研修は種類が多く、どれを選べばよいか迷いやすいのが現状です。費用や知名度だけで選んでしまうと、自社の課題と内容がかみ合わず、受講しても成果につながらないことがあります。選定の際に確認すべき5つのポイントを整理します。

選び方1:育成の目的とゴールに合ったプログラム内容か

プログラムを選ぶ前に、「何のためにAI人材を育成するか」を明確にすることが先決です。

「全社員のAIリテラシーを底上げしたい」「データ分析ができる担当者を育てたい」「AIシステムを開発・実装できるエンジニアを社内に育てたい」では、必要なプログラム内容がまったく異なります。

目的が曖昧なままサービスを選ぶと、受講後に「学んだことが業務で使えない」というミスマッチが起きやすくなります。

自社が求める人材像とプログラムのゴール設定が一致しているかを、申し込み前に必ず確認してください。

選び方2:受講者のレベルに合ったコースが用意されているか

受講者のスキルレベルに合っていないプログラムは、効果が出にくいだけでなく、モチベーションの低下にもつながります。

AIの基礎知識がない社員に実装レベルのコースを受けさせても定着しませんし、すでに基礎を持つ人材に入門講座を受けさせても意味がありません。

サービスを選ぶ際は、初級・中級・上級などレベル別のコースが用意されているか、また受講前のスキル診断やレベル確認の仕組みがあるかを確認します。

対象者ごとに適切なコースを選べる柔軟性があるサービスほど、多様な人材構成の企業に向いています。

選び方3:資格対策に偏らず実務に活かせる内容か

AI関連の研修の中には、G検定やDS検定などの資格取得に特化した内容のものもあります。

資格は知識の証明として有効ですが、資格対策だけを目的としたプログラムは座学中心になりがちで、業務での実践力が身につきにくい場合があります。

選ぶ際は、ケーススタディや演習、実データを使った分析課題など、実務に近い形式が含まれているかを確認します。

学んだことをすぐに業務で試せる内容かどうかが、研修効果を左右する大きなポイントです。

選び方4:受講形式が自社の学習環境に合っているか

同じ内容の研修でも、受講形式が自社の環境に合っていないと継続しにくくなります。

集合型の対面研修は学習密度が高い反面、全員のスケジュールを合わせる必要があります。

一方、eラーニングは自分のペースで進められますが、学習管理の仕組みがないと受講が止まりやすくなります

複数拠点を持つ企業や、リモートワーク環境が中心の職場ではオンライン形式が向いています。

受講者の業務スタイルや勤務形態を考慮したうえで、継続しやすい形式を選んでください。

選び方5:費用と研修後のサポート体制を比較する

費用は受講料だけで比較しがちですが、研修後のサポート体制も含めて評価することが重要です。

たとえば、以下のようにアフターフォローの充実度はサービスによって大きく異なります。

  • 受講終了後に実務での疑問を相談できる窓口があるか
  • 定期的なフォローアップ研修が用意されているか
  • 学習の進捗を管理できるツールが提供されているか

費用が安くても受講しっぱなしで終わるサービスより、アフターフォローが充実しているサービスの方が、長期的なコスト対効果は高くなることがあります。

受講料と定着支援の両面を比較したうえで判断してください。

AI人材育成に役立つ資格

AI人材の育成を進めるにあたり、スキルの証明として資格取得を取り入れる企業が増えています。

資格はスキルの可視化や学習の目標設定に役立つほか、社員のモチベーション向上にもつながります。AI人材育成で活用されている代表的な3つの資格を紹介します。

G検定(ジェネラリスト検定)

概要
実施団体一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)
受験資格制限なし
試験形式多肢選択式・145問程度・オンライン試験100分/会場試験120分
受験料一般13,200円(税込)、学生5,500円(税込)※最新の受験料は公式ページを確認

※参考元:JDLA「G検定とは」

G検定は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する、AI・ディープラーニングの活用リテラシー習得のための検定試験です。

AI・ディープラーニングに関わるすべての方が受験対象とされており、受験資格に制限はありません

累計受験者数は18万人を超えており、技術職だけでなく営業・企画・管理部門など幅広い職種の社員に向けた全社的なAIリテラシー底上げの目標として活用する企業が多い資格です。

E資格(エンジニア資格)

概要
実施団体一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)
受験資格JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること
試験形式多肢選択式・100問程度・120分・全国の指定試験会場
受験料一般33,000円(税込)、学生22,000円(税込)

※参考元:JDLA「E資格とは」

E資格は、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する資格です。

G検定がAIの活用リテラシーを問うのに対し、E資格はAIエンジニアやデータサイエンティストなど、AIシステムを実際に開発・実装する専門人材を対象とした上位資格に位置づけられます。

受験にはJDLA認定プログラムの修了が必要なため、専門的な学習プログラムと資格取得をセットで進める形が一般的です。

データサイエンティスト検定(DS検定)

概要
実施団体一般社団法人データサイエンティスト協会
受験資格制限なし
試験形式選択式・100問・100分・CBT(全国の試験会場)
受験料一般10,000円(税抜)、学生5,000円(税抜)

※参考元:一般社団法人データサイエンティスト協会「データサイエンティスト検定™ リテラシーレベル」

DS検定(正式名称:データサイエンティスト検定™ リテラシーレベル)は、一般社団法人データサイエンティスト協会が実施する検定試験です。

データサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力の見習いレベルの実務能力・知識を証明することができます。

受験資格に制限はなく、受験料も他の資格と比べて低めなため、データ分析業務に関わる社員や、これからデータサイエンス領域を学ぼうとする人材におすすめです。

「AI人材育成はいらない」という意見は正しいか

ネットでAI人材育成について検索していると、「AIツールが進化すれば専門スキルは不要になる」「外部に委託すればいい」「育成コストに見合わない」などの声を見かけます。

ネットでよく見かける意見と、それぞれの実態について、これまでお伝えした情報も交えて整理しました。

よくある意見実態
AIツールが進化すれば、専門スキルがなくても誰でも使えるようになるAIツールの操作が簡単になるほど、「何のためにAIを使うか」「出力結果が正しいか」「どこにリスクがあるか」を判断できる人材の役割は大きくなる。使いこなせる人材とそうでない人材の差は、AIの普及とともに広がっていく
AI導入は外部ベンダーに委託すればいい外部任せでは、自社の業務知識とAI技術をつなぐ人材が社内に育たない。ベンダー依存が深まると要件定義も効果検証も自社でできなくなり、コスト増と競争力低下を招くリスクがある。
育成コストをかけても見合わない育成しないことのコスト(外部委託費の増大・AI活用の機会損失・優秀な人材の流出)は、育成コストを上回る可能性がある。経済産業省の試算では2030年にAI人材が最大12.4万人不足すると予測されており、外部採用コストは今後さらに高まる見込みである。(※参考元:経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」

「AI人材育成はいらない」という意見が出る背景には、育成の成果が見えにくいことや、何から始めればいいかわからないという不安があると考えられます。

育成の必要性そのものに問題があるのではなく、進め方の設計が課題になっているケースがほとんどです。

まとめ

今回お伝えしたように、AI人材とは、AIの開発・導入・利活用に関与する人材のことです。

経済産業省の試算では2030年に最大12.4万人のAI人材が不足すると予測されており、社内育成への取り組みは多くの企業にとって急務になっています。

育成を進める際は、まず「誰に・何を・どのレベルまで教えるか」を定義し、社内研修・外部プログラム・OJTを組み合わせながら段階的に計画を設計することが効果的です。

外部サービスを活用する場合は、自社の目的や受講者のレベルに合ったプログラムを選ぶことが成果につながります。

AI人材の育成は、一度の研修で完結するものではありません。

技術の変化に合わせて継続的に学べる環境を整え、学習と実践のサイクルを組織として回し続けることが、人材育成を成果につなげるためのポイントです。

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