この記事では、ボーナスを無駄にしない退職日と、退職の意思を伝える時期の決め方を、月ごとの具体例や、減額されるケースがあるかどうかとあわせて解説します。
退職を考え始めると、「ボーナスをもらってから辞めたいけれど、いつ辞めればいいのだろう」と考える人も多いでしょう。
せっかく働いた分のボーナスを、辞めるタイミング次第で受け取れなくなるとしたら、大きな損失になりかねません。
「もらえないのはもったいない」と迷っている段階の人が、自分の場合はどう動けばいいかを判断できるところまでまとめています。
転職UPPPライター
T.F氏:30代前半
ライター経験8年以上で年間100記事以上を執筆。転職・健康食品・美容などの情報を取り扱うWebメディア企業でライター/ディレクターの経験を積み、その後フリーランスへ転身。Webコンテンツの執筆やWebサイトのディレクション、コンサルなどを経験。今までに6社の転職サイト/エージェントを利用し、現在は転職UPPP編集部で活躍中。
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ボーナスを無駄にしない退職のタイミングはいつ?
ボーナスを無駄にせず退職するには、「退職日」と「退職の意思を伝える時期」という2つのタイミングを分けて考える必要があります。
この2つを押さえておかないと、支給の直前に退職届を置いてしまったり、査定の前に退職を切り出してしまったりして、受け取れるはずの受け取れるはずの賞与を受け取り損ねることがあります。
判断の基準になるのは「支給日に在籍しているかどうか」です。多くの会社では、賞与を受け取れるかが退職日そのものではなく、支給日に在籍しているかどうかで決まります。
まず退職日をどう設定するか、次に退職の意思をいつ伝えるかを順に見ていきます。
退職日のタイミング:支給日の翌日以降にする
ボーナスを受け取ってから辞めたいなら、退職日は「支給日の翌日以降」にするのが基本です。
賞与を受け取れるかどうかは、退職日そのものではなく「支給日に在籍していたか」で決まることが多いためです。
支給日に在籍している人を支払いの対象とする決まりを「支給日在籍要件」といいます。
就業規則にこの定めがある場合、支給日より前に退職した人には賞与が支払われないことがあります。自己都合退職者への適用を有効とした最高裁判所の判断も示されています。
※参考元:厚生労働省「個別労働紛争のあっせん事例」
たとえば、ボーナス支給日が6月10日のとき、退職日を6月9日にすると、支給日に在籍していないため賞与を受け取れないことがあります。退職日を6月10日、またはそれ以降にすれば支給の対象です。
1日の差で結果が変わるため、退職日は支給日か、それより後にするといいでしょう。
支給日や在籍要件の有無は会社によって違います。退職日を決める前に、次の3点を就業規則で確認してください。
- 賞与の支給日が具体的にいつか
- 「支給日に在籍していること」が支給の条件になっているか
- 賞与の算定対象となる期間はいつからいつまでか
退職の意思をいつ伝えるかは、退職日とは別に考える必要があります。
退職意思を伝えるタイミング:退職を伝えるのは支給後
退職の意思は、ボーナスの支給後に伝えるのが基本です。
支給前に「辞める」と伝えると、査定や評価に影響し、賞与が減らされる可能性が出てくるためです。
賞与は、勤務成績や会社への貢献度を査定して金額が決まるのが一般的です。
査定が確定する前に退職の意思を伝えると、「将来の貢献が期待できない」と判断され、評価に影響する可能性が指摘されています。
こうした不安を避けるには、査定と支給が終わってから伝えるのが無難です。
ただし、退職には引き継ぎや後任の準備が必要です。就業規則で「退職の◯か月前までに申し出ること」と定めている会社もあります。
支給後まで待つことばかりを優先すると、引き継ぎの時間が足りず、円満に辞めにくくなることもあります。
支給日と、就業規則が定める申し出の期限を先に確認し、その両方に無理のない時期を選ぶとよいでしょう。
【月別】6月末・12月末・3月に退職するとボーナスはどうなる?
6〜7月:夏のボーナスと退職日の関係
夏のボーナスを受け取ってから辞めたいなら、退職日は夏の支給日の翌日以降にします。
夏の賞与は6月末から7月上旬に支給する会社が多く、この支給日に在籍していれば、受け取れる可能性が高いでしょう。
気をつけたいのは、「6月いっぱいで退職」と考えている場合です。
退職日を6月30日にしても、支給日がその後の7月上旬だと、支給日には在籍していないため賞与を受け取れないことがあります。
夏のボーナスを確実に受け取るには、自社の支給日が6月中なのか7月なのかを先に確認することが欠かせません。
支給日が7月10日なら、退職日は7月10日以降にします。6月末で区切りたい気持ちがあっても、賞与を優先するなら、支給日をまたぐ形で退職日を数日ずらす判断も必要になります。
有給休暇の消化を挟めば、実際に出社する最終日を早めつつ、在籍だけを支給日まで延ばすこともできます。
12月:冬のボーナスと退職日の関係
冬のボーナスを受け取ってから辞めたいなら、退職日は冬の支給日の翌日以降にするのが基本です。
冬は、年末での退職や年明けでの退職を考える人が多い時期です。
支給日が12月10日で、退職日を12月末にするなら、支給日には在籍しているため賞与の対象になります。
一方、支給日より前に辞めてしまうと受け取れないため、12月のいつ支給されるかを先に確認しておくことが欠かせません。
年をまたいで1月に退職する場合も、12月の支給日に在籍していれば冬のボーナスは受け取れます。
ただし、退職の意思を年内に伝えると、査定に影響しないか気になる人もいると思います。
その場合は、支給と査定が終わってから伝えるかどうかを、引き継ぎの都合とあわせて考えるとよいでしょう。
3月(年度末):決算賞与と退職日の関係
3月に退職する場合、決算賞与があるかどうかをまず確認します。
決算賞与がある会社なら、考え方は夏・冬と同じです。支給日に在籍していれば受け取れるため、退職日は決算賞与の支給日の翌日以降にします。
年度末の区切りで3月末に辞める場合も、支給日が退職日より前にあるかを確認しておけば、受け取れるかどうかを見通せます。
自社に決算賞与の仕組みがあるか、今年の支給予定はどうかを、就業規則や社内の案内で確認しておくと安心です。
退職の意思を伝えるとボーナスは減額・不支給になる?
支給日に在籍していれば、退職の意思を伝えていても賞与は支払われるのが一般的です。
支給前に「辞める」と伝えたことだけを理由に、賞与を全額不支給にすることは認められにくいと考えられています。
繰り返しになりますが、ボーナスを受け取れるかどうかは退職を伝えたタイミングではなく、支給日に在籍しているかで決まります。
支給日より前に退職の意思を伝えても、支給日に在籍していれば受け取れます。
反対に、自分の都合で辞める場合、支給日在籍要件のある会社だと支給日より前に退職するとボーナスは受け取れません。
「支給日にいる人にだけ払う」という決まりを有効とした最高裁判所の判断があるためです。
※参考元:厚生労働省「個別労働紛争のあっせん事例」
ただし、「全額もらえる」と言い切れないケースもあります。
たとえば、会社の就業規則に退職予定者の減額規定があり、支給後すぐに辞める予定の人の賞与を減らす仕組みがある場合です。
退職の申し出によりボーナスが減額される場合でも、減額の幅には限度があります。
支給日の直後に退職する予定の人への減額をめぐる裁判例では、減額できるのは同じ条件の在籍者と比べて2割程度までが相当とされました。無制限に減らせるわけではありません。
※参考元:社会保険労務士法人 大野事務所「賞与支給額に占める将来期待部分を考える」
「退職予定」を理由に減額が認められる場合・認められない場合
退職予定を理由にした減額は、就業規則に定めがあり、その内容が社員に伝えられている場合に認められることがあります。
反対に、規定がなかったり、企業側の都合による退職だったりする場合は、減額が認められにくくなります。同じ「退職予定」でも、条件によって扱いが分かれます。
減額が認められやすいのは、就業規則や賞与規程に退職予定者を減額する定めがあり、それが社員に周知されている場合です。
自分の意思で辞める自己都合退職では、こうした定めが有効とされるケースもあります。
※参考元:ジンジャー(jinjer)「賞与(ボーナス)は退職者へも支払うべき?就業規則の整備と実務上の注意点を解説」
退職予定でボーナスの減額が認められるケース
- 就業規則や賞与規程に、退職予定者を減額する定めがある
- その減額の定めが、あらかじめ社員に周知されている
- 自分の意思で辞める自己都合退職である
- 減額の幅が、同じ条件の在籍者と比べて大きすぎない
一方、就業規則に減額の定めがなく本人の同意もない場合や、定年退職・整理解雇など自分で退職日を選べない企業都合の退職では、減額されにくいです。
※参考元:ジンジャー(jinjer)「賞与(ボーナス)は退職者へも支払うべき?就業規則の整備と実務上の注意点を解説」
退職予定でボーナスが減額されにくいケース
- 就業規則などに減額の定めがなく、本人の同意もない
- 定年退職や整理解雇など、自分で退職日を選べない企業都合の退職である
- 減額の幅が大きすぎて、働いた分の対価まで奪う内容になっている
実際に減額されるかどうかは、自社の就業規則に減額の定めがあるか、自分の退職が自己都合か会社都合かによって変わります。
退職予定を伝える前に、賞与規程に減額や支給日在籍の定めがないかを確認しておくと、受け取れる金額の見通しを立てやすくなります。
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有給休暇中に支給日を迎えてもボーナスは受け取れる?
有給休暇の消化中に支給日が来ても、ボーナスは受け取れます。
有休消化中はまだ会社に在籍している扱いになるため、支給日在籍要件のある会社でも、支給の対象になるからです。
※参考元:sonar ATS「退職者・退職予定者にもボーナス(賞与)は支給すべき?基本の考え方と減額方法について」
出社していなくても在籍している状態なので、その期間に賞与の支給日があれば、通常どおり受け取れます。
気をつけたいのは、有給消化を始める前ではなく、退職日と支給日の前後関係です。
有給消化中に在籍していても、退職日が支給日より前に来てしまえば、支給日には在籍していないことになります。
有休消化を含めた退職日が、支給日より後になるように組むことが大切です。
有給消化と支給日を組み合わせるときの退職日の決め方
有給休暇を消化しながらボーナスも受け取るには、有給休暇の消化期間中にボーナス支給日を迎えられるよう、退職日と有給休暇の取得日を調整しましょう。
順番としては、支給日をまたぐように有休消化を組むのがわかりやすい方法です。
11月下旬から有給消化に入り、消化期間中の12月10日に支給日を迎え、消化し終えた12月中旬以降を退職日にすれば、支給日には在籍しているため賞与を受け取れます。
退職日を決めるときは、次の点を順に確認しておくと組み立てやすくなります。
- 賞与の支給日がいつか
- 有給休暇の残りが何日あるか
- 有給消化を始める日(支給日をまたげるか)
- すべて消化し終えたあとの退職日が、支給日より後になるか
残りの有給日数とボーナス支給日を早めに確認し、退職日を伝える前に大まかな流れを想定しておくとボーナスを受け取り損ねずに済みます。
「ボーナス前の退職はもったいない」と感じたときの3つの判断軸
「ボーナスをもらえないのはもったいない」と感じて辞める決心がつかないときは、いくつかの判断軸に沿って考えると、待つべきか動くべきかを決めやすくなります。
もったいないという気持ちだけで判断すると、辞めどきを逃してしまうこともあります。
ここでは、受け取れるボーナスの金額と待つ期間、転職先での初回ボーナス、そして今の職場での心身の負担という3つの観点から解説していきます。
判断軸①:あと何か月待てば、いくら受け取れるか
「ボーナスをもらえないのはもったいない」と感じたら、まず「あと何か月待てば、いくらのボーナスを受け取れるか」を具体的な数字にしてみます。
待つ期間と受け取れるボーナスの金額がはっきりすると、辞める時期を感情ではなく損得で判断しやすくなります。
たとえば、次のボーナスの支給日まであと2か月で、見込みの金額が40万円だとします。この場合、「2か月待てば40万円のボーナスを受け取れる」ことがわかります。
逆に、支給日まで5か月あるなら、その間ずっと在籍し続ける必要があり、ボーナスを待つ負担は大きくなります。
このように残りの期間が短く、受け取れるボーナスが大きいほど、待つ価値は高くなります。
反対に、支給日まで長く待つ必要があり、金額もそれほど大きくないならボーナスを待たずに早めに転職活動を始めるのもいいでしょう。
判断軸②:転職先の初回ボーナスは満額支給されない可能性があるか
「今のボーナスを待たず、転職先でもらえばいい」と考える前に、転職先の初回ボーナスは満額もらえない可能性を考慮しておく必要があります。
多くの会社では、賞与の金額が査定期間中にどれだけ在籍したかで決まるため、入社直後は在籍期間が足りず、金額が少なくなりやすいからです。
たとえば、査定期間の途中で入社した場合、その期間にフルで在籍していないぶん、初回のボーナスは満額より減ることがあります。
査定期間に在籍していた日数がゼロに近いと、初回は支給されず、会社の厚意で数万円程度の寸志にとどまるケースもあります。
※参考元:type転職エージェント「転職後の初ボーナスはいつもらえる?」
そのため、「転職先ですぐに同じ額のボーナスをもらえる」とは限りません。
現職のボーナスを待たずに辞めると、現職のボーナスは受け取れず、転職先の初回ボーナスも少ない、という形で一時的にボーナスが減る期間が生まれることがあります。
現職で待って受け取る金額と、転職先で満額に届くまでの期間を、あわせて考えておくと判断しやすくなります。
判断軸③:現在の職場で心身に負担がかかっていないか
ボーナスの金額と待つ期間だけでなく、その間の心身の負担も判断材料として考えましょう。
金額の面では待つ価値があっても、今の職場に居続けることで体調や気持ちに無理がかかるなら、ボーナスを待たずに辞める選択も検討してください。
たとえば、次のボーナスまで数か月あり、その間ずっと強い負担を抱えたまま働き続けることになる場合、受け取る金額と引き換えに失うものが大きくなることもあります。
お金は転職後に働いて取り戻せますが、心身の健康はそう簡単には戻りません。
ボーナスの金額、待つ期間、心身の負担の3つを軸に、自分にとっての優先順位を決めてみてください。
負担が軽く、待てば大きなボーナスを受け取れるなら待つ。負担が重く、金額もそれほどでもないなら早めに転職活動を始める、というように整理すると、迷いを判断に変えやすくなります。
ボーナスと退職金は別物。退職金の扱いも確認しておく
ボーナスと退職金は仕組みがまったく違うものです。
退職のタイミングを考えるときは、ボーナスだけでなく退職金の扱いも別に確認しておく必要があります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
- ボーナス(賞与):一定期間の勤務成績や会社の業績に応じて、年に1〜2回など決まった時期に支給されるお金。
- 退職金:退職するときにまとめて支給されるお金。勤続年数や退職理由に応じて金額が決まることが多く、そもそも制度がない会社もある。
ボーナスは「支給日に在籍しているか」が受け取りの分かれ目でしたが、退職金は「何年勤めたか」が金額を左右します。
また、退職金の制度自体がない会社もあります。
判断の基準がそれぞれ違うため、退職の時期を決めるときは、ボーナスの支給日と退職金の条件を分けて確認しておくと、受け取れる金額を見通しやすくなります。
【Q&A】ボーナスと退職に関するよくある質問
Q1:退職した後にボーナスが支給されることはある?
支給日在籍要件のある会社では、支給日に在籍していない人は対象外になるためです。
ただし、整理解雇や定年退職など、自分で退職日を選べない企業都合の退職では、日割りで支払われる可能性もあるかもしれません。
自分のケースがどちらにあたるか、就業規則で確認しておくと安心です。
Q2:「6月いっぱい」「12月いっぱい」で退職するとボーナスはもらえる?
ボーナスを受け取れるかどうかは、月末まで在籍したかではなく、支給日に在籍していたかで決まるためです。
たとえば「6月いっぱいで退職」と考えていても、夏の支給日が7月上旬なら、6月30日退職では支給日に在籍していないことになります。
月末で区切る前に、自社の支給日が退職日より前か後かを確認しておく必要があります。
Q3:退職の意思はボーナス支給前に伝えるべき?
多くの会社では「退職の1〜2か月前までに申し出る」と定めていますが、賞与への影響を避けたい場合は、支給と査定が終わってから伝えるのが望ましいです。
ただし、支給後まで待つことにこだわりすぎると、引き継ぎの時間が足りなくなることもあります。
支給日と申し出の期限を早めに確認し、両方に無理のない時期を選ぶと進めやすくなります。
Q4:査定によるボーナスへの影響を避けるにはどうすればいい?
賞与は勤務成績や会社への貢献度を査定して金額が決まるため、査定が確定する前に退職予定が伝わると、評価に影響する可能性が指摘されているからです。
伝えるタイミングを支給後にずらすことで、退職予定を理由にした評価の下振れを避けやすくなります。
まとめ
ボーナスを無駄にせず退職できるかは、退職日そのものではなく「支給日に在籍しているか」で決まります。
支給日在籍要件のある会社では、支給日より前に退職すると受け取れないことがあるため、退職日は支給日の翌日以降になるように組みましょう。
退職の意思を伝える時期も退職日とは分けて考え、査定への影響が気になるなら、査定と支給が終わってから伝える方法がベストです。
退職日や意思を伝える時期は就業規則の確認と会社との調整が前提になるため、不安があれば、転職エージェントにスケジュールを相談するのもおすすめです。
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転職UPPPライター
T.F氏:30代前半
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