試用期間で辞めるのは甘え?気まずさを乗り越えるために知っておくべきこと|元人事担当監修

試用期間中に「この職場、自分には合わないかも」と感じたとき、頭をよぎるのが「辞めたいけど、言い出しにくい」「すぐ辞めたら周りにどう思われるだろう…」という不安や葛藤ではないでしょうか。

ですが、試用期間は“お試し期間”として設けられている制度でもあります。今の会社が合わないと感じたら、早めに見切りをつけるのもひとつの選択肢です

この記事では、以下のような内容についてわかりやすく解説しています。

  • 試用期間中に辞めても大丈夫な理由
  • 気まずくならない辞め方のコツ
  • 再スタートを成功させる転職のポイント
  • 「辞めたほうがいい会社」の見極め方

ご自身の今後のキャリアや働き方を見つめ直す材料として、ぜひ参考にしてください。

当記事で紹介している退職代行は、徳田様が推奨するものではありません。

企業の人事担当として10年以上、新卒・中途・派遣など幅広い採用業務に従事し、これまでの面談実績は400名以上。求人原稿や求人サイトのコラム作成、就職・転職関連のキャリア形成に関わる記事など、採用担当者・求職者双方の視点での執筆を得意としています。

資格

  • 国家資格キャリアコンサルタント(番号:24058230)
  • 中学校教諭 一種免許状(保健体育)
  • 高等学校教諭 一種免許状(保健体育)
目次

試用期間中に辞めても迷惑ではない!気まずさを感じなくても大丈夫

試用期間中に辞めても、相手に迷惑をかけたと思い込む必要はありません

なぜなら、そもそも試用期間というのは「この人と一緒に働いていけるかどうか」を企業側が見極めるために設けた期間だからです。

試用期間とは、事業者が労働者を採用したときに、実際の勤務を通じてその労働者の適性などを見極め、本採用するか否かを判断するために設ける期間のことをいいます。

※引用:弁護士法人咲くやこの花法律事務所 企業法務の法律相談サービス「試用期間とは?労働基準法におけるルールや注意点を詳しく解説」

このように、試用期間は企業が本採用するか見極める期間。辞めるにあたって「迷惑をかけて気まずくなる」と感じる必要はありません。

そして、試用期間中の離職をはじめとする、早期離職の理由で多いのが以下のような内容です。

  • 職場の雰囲気が良くなかった
  • 人間関係が合わなかった
  • 思っていた仕事内容と違った
  • やりがいを感じられなかった
  • 理不尽な指摘や指導があった
  • 仕事内容と給与が見合っていないと感じた
  • 成長できそうだと感じられなかった

※参考:マイナビキャリアリサーチLab「早期離職に繋がる入社後のギャップとは?-年代別の理由と企業の対策を紹介」

こうしたケースは、あなただけではなく誰にでも起こり得ること。早めに気づけた方が、無理を続けてあとで大きなトラブルになるよりもよほどいいでしょう。

このように試用期間とは本採用を検討するための期間なので、試用期間中に会社を辞める場合でも必要以上に自分を責める必要はありません

そもそも試用期間中でも辞められる?2週間以内はNG?

試用期間中でも、退職の2週間前に申告すれば原則辞めることができると民法627条で定められています。
※参考:e-GOV 民法

そのため、試用期間は3ヶ月〜6ヶ月の期間を設けている会社が多いですが、2週間前の申告であれば入社1ヶ月(試用期間中)でも辞めることが原則可能です。

ただし、2週間以内に会社を辞めることはできません

試用期間中に会社を辞めるのであれば2週間前には申し出ましょう。

試用期間中に会社を辞めることのメリット・デメリット

試用期間中に辞めることのメリット

試用期間中に辞めることに、気まずさや後ろめたさを感じる人もいるかもしれません。

しかし、無理して働き続けるよりも、合わないと感じた時点で早めに区切りをつけたほうが自分を守れるといったメリットがあります。

試用期間中に辞めるメリット

  • 合わない職場から早めに抜け出せる
  • 心身の負担を最小限に抑えられる
  • 関係が浅いうちに辞めるため、トラブルが起きにくい
  • 短期離職の理由を正しく説明すれば、転職活動への悪影響を抑えられる
  • 自分に合った働き方や職場環境を見直すきっかけになる

入社してみたら「職場の雰囲気が重たい」「上司の言い方がきつい」「やりたい仕事と違った」と感じることもあるでしょう。

働く中で気づいた違和感を放置していると、心や体にストレスが積み重なっていきます。入社から日が浅い試用期間中の退職であれば、そういったストレスが大きくなる前に回避できるかもしれません。

もちろん、在籍期間が短くても履歴書には正確に記載する必要があります。辞めた理由を詳細かつ前向きに伝えれば、早期離職であっても理解を得られる可能性が高まります

そして何より、自分がどんな働き方をしたいのか、どんな職場でなら安心して働けそうかを見直すきっかけになるのもメリット。

次の職場選びでは長く活躍できる職場に入社できる可能性が高まるでしょう。

元人事の徳田このみ様
徳田 このみ
合わない環境から離れることは、決して逃げではありません。「このくらいは我慢できる」の積み重ねで心身が壊れることもあります。放置せずに自分の気持ちと向き合いましょう。
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試用期間中に辞めることのデメリット

試用期間中に辞めることにはメリットもありますが、当然ながらデメリットもあります。

早期退職のデメリット

  • 早期退職の経歴によって転職で不利になる可能性がある
  • 失業保険が貰えない
  • 金銭的な不安が生まれる
  • 辞めグセがつく可能性もある

いちばん気になるのは転職活動への影響ではないでしょうか。短期間で仕事を辞めた経歴があると、次の面接で理由を聞かれる可能性が高くなります。

正直に説明すれば理解してもらえるケースもありますが、伝え方を間違えると「またすぐ辞めるのでは?」と思われて転職が不利になります

また、試用期間中に自己都合で退職すると、基本的に失業保険はすぐにはもらえません。加えて、次の職場へ入社するまでの期間は収入源がなくなるので、「とりあえず辞めてから考えよう」では金銭的に厳しい状況になるリスクがあります。

人によっては「また合わなかったらすぐ辞めればいいや」と思ってしまうこともあるかもしれません。

一度そういう感覚が身についてしまうと、ちょっとした違和感でも我慢できなくなり転職を繰り返すクセがついてしまう危険性もあるでしょう。

元人事の徳田このみ様
徳田 このみ
採用の現場では、早期離職はどうしても不安要素として見られがちです。ただし、合わない環境で無理をして働き続ける必要はありません。大切なのは「なぜ辞めたいのか」という自分の軸を持ち、納得できる形で判断することです。
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試用期間中の退職で気まずくならないための4つのコツ

試用期間中に退職を伝えるのは、どうしても気まずさを感じやすいです。ですが、伝え方や行動の順番を工夫すれば、関係がこじれるのを最小限に抑えられます。

ここでは、気まずくならないために押さえておきたいコツをご紹介します。

  • 「辞める」と切り出すタイミングを見極める
  • 気まずくならない「辞める理由」の伝え方を工夫する
  • 引き止められた時の断り方を考えておく
  • まずは直属の上司に辞める旨を伝える

1:「辞める」と切り出すタイミングを見極める

退職を伝えるタイミングを間違えると、気まずさは増してしまいます。「いつ」「誰に」伝えるかをしっかり見極めることが、円満に辞めるための重要なポイントです。

法律上は「退職の2週間前まで」に申し出れば問題ありませんが、現実の職場ではそれだけでは不十分な場合もあります。

業務の引き継ぎがあったり、人数がぎりぎりで回っていたりすると、伝える時期によっては「今!?」と相手を驚かせてしまうこともあるでしょう。

特に注意したいのは、会社の繁忙期を避けること。忙しい時期に退職を申し出ると、どうしても「空気が読めない人」という印象を持たれやすく、関係が気まずくなるリスクが高まります。

そのため、「辞めたい」と感じ始めたら、まずは社内のスケジュール感を確認してみましょう。大きな納期やイベント、人手が足りない時期を避けて、「比較的落ち着いている今なら話しやすいかも」というタイミングを選ぶのが理想です。

また、直属の上司にきちんと時間をとってもらい、「お話したいことがあるのですが、少しお時間よろしいですか?」と丁寧に切り出す姿勢も大切です。

元人事の徳田このみ様
徳田 このみ
会社の繁忙期に加え、所属している部署や担当している業務独自のスケジュールも確認しましょう。一緒に業務を行なっているメンバーがいる場合なども配慮が必要です。

2:気まずくならない「辞める理由」の伝え方を工夫する

気まずくならない辞め方をするには、次の3つのポイントを意識するのがおすすめです。

  • 相手や会社を責めるような言い方は避ける
  • 「自分の問題」として理由を伝える
  • 感謝の気持ちを必ず添える

「人間関係に悩んでいる」「上司の言い方が厳しい」と感じていても、ストレートにそれを言ってしまうと、どうしても攻撃的に受け取られてしまいます。

「職場の雰囲気が自分に合わなかった」といったように、自分側の視点でやわらかく伝えるだけで印象はまったく変わります。

次に、「やりたいことと違った」などの理由も、「仕事内容が思っていたものとズレており、自分の準備不足を痛感しました」といったように、自分の至らなさとして表現すると、相手も受け入れやすくなります

そして何より大切なのは、最後に必ず「この短い期間でも学びがあった」「お世話になりました」と感謝の言葉を添えること。それだけで、たとえ理由が厳しい内容でも、印象は和らぎます。

自分の気持ちをきちんと伝えながらも、相手への敬意や感謝を忘れないことで、気まずさはぐっと減らせます。

3:引き止められた時の断り方を考えておく

引き止められたときにうまく断れず、辞めるタイミングを逃してしまうのは試用期間中の退職でよくあるパターンです。だからこそ、「引き止められたらこう返す」という断り方を事前に準備しておきましょう。

たとえば、次のような言い方を準備しておくと安心です。

  • 「よく考えての結論なので、お気持ちはありがたいですが決めたことは変えません」
  • 「このまま続けても自分も会社にもプラスにならないと思っています」
  • 「ご迷惑をおかけするのは承知していますが、自分の将来を優先したいと考えました」

引き止めを受けたときに、なんとなく「はい…」と流されてしまうと、相手のペースに巻き込まれて気まずい時間が長引いてしまいます。

しかし、事前に準備しておけば言葉に詰まらず、自分らしく伝えることができます

気まずい空気の中、ずるずると今の会社に残らないためにも、引き止められた時の対応を考えておきましょう。

4:まずは直属の上司に辞める旨を伝える

退職の意思は「直属の上司」から伝えるのが鉄則です。

会社には指揮命令系統というものがあり、いきなり人事部や他の上層部に伝えてしまうと、「なんで先に私に言わないんだ?」と直属の上司の信頼を失ってしまう恐れがあります。

どんなに円満に辞めたいと思っていても、順番を間違えれば一気に関係がギクシャクしてしまうこともあるというわけです。

試用期間中とはいえ上司とは日々顔を合わせ、仕事を直接教わる立場です。その人にきちんと先に話をすることは、社会人としての礼儀でもあります。

たとえば、「少しご相談したいことがあるのですが、お時間をいただけますか?」と、まずは丁寧に話しやすい場をつくるところから始めましょう。

辞めるまでの間、職場で気まずくならないためにも、まずは直属の上司に辞める意思を伝えてください。

元人事の徳田このみ様
徳田 このみ
退職を考え始めたとき、感情のまま勢いで伝えてしまいたくなるかもしれません。しかし、試用期間中であっても社員として仕事や役割を担っている以上、周囲には影響があります。退職までの間もお互いに気持ちよく働くには、感謝の気持ちを持ちつつ、落ち着いて伝えることが大切です。

気まずくて辞められないなら「退職代行」も検討

  • どうしても気まずくて、自分から「辞めたい」と言い出せない
  • 引き止められて辞めさせてもらえない
  • ストレスで体調を崩してしまい出社するのが難しいから、2週間以内に辞めたい

このような時は、無理に一人で抱え込まず、「退職代行」の利用を検討してみましょう。

退職代行とは、本人に代わって会社へ辞める意思を伝えてくれるサービス。ほぼ全ての退職代行サービスが弁護士監修のため、安全かつスムーズに会社を辞めることが可能です。

試用期間中に辞めた後の転職で気をつけるポイント3つ

試用期間中に辞めたあとは、次の転職活動でどう見られるかが気になる方も多いはず。

ここでは、早期離職をマイナスに捉えられないよう、押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

面接でネガティブな印象を与えない退職理由を準備する

試用期間中に辞めた理由は、面接で必ず聞かれます。だからこそ、「ネガティブに受け取られない退職理由」をあらかじめ準備しておくことが転職を成功させるカギです。

うまく答えられないと、「この人、またすぐ辞めるのでは…?」と不安に思われてしまうことも。大事なのは感情的な話にせず、ちゃんと自分で考えたうえでの判断だったことを冷静に伝えることです

たとえば、以下のように伝えると誠実な印象を持ってもらいやすくなります。

  • 「仕事内容と想定していた業務に大きなズレがあり、自分の準備不足も痛感したため、早めに見直す決断をしました」
  • 「職場の雰囲気や価値観が自分とは合わないと感じ、このまま続けてもお互いにとって良い結果にならないと判断しました」
  • 「入社後に本当にやりたい方向性が明確になり、そちらに進むために試用期間のうちに決断しました」

こうした言い方なら、「自分で考えて行動したこと」に注目してもらいやすくなります

短期離職はマイナスに見られることもありますが、理由と伝え方次第で受け取られ方は大きく変わります。退職理由をポジティブな表現に置き換えて、自分の言葉でしっかり伝える準備をしておきましょう。

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元人事の徳田このみ様
徳田 このみ
退職理由と志望動機には、一貫性を持たせることが重要です。たとえば「やりたい方向性が見つかって退職した」と伝える場合、その方向性と受ける企業の志望動機が一致していなければ説得力が弱まってしまいます。表面的な理由は深掘りされた時に見抜かれやすいため、経験や価値観と結びつけて説明し、納得感を伝えましょう。

履歴書・職務経歴書には「事実+前向きな姿勢」を盛り込む

履歴書や職務経歴書には、試用期間中の短期離職であっても「正しく、前向きに」書きましょう。

ごまかしたり省略したりすると後から経歴詐称と判断される可能性があるため、事実をきちんと伝えつつ、前向きな姿勢を盛り込むのが基本です。

「短期間だから書かなくてもいいかも…」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、それは大きなリスクです。たとえ在籍期間が短くても書類には必ず記載し、ポジティブな内容を記入してください。

以下は、試用期間中に退職した場合の履歴書・職務経歴書の書き方で気をつけるべきポイントです。

  • 在籍期間は月単位で正確に記載する
  • 職務内容は簡潔に書き、できる範囲で経験や学びを添える
  • 自己都合退職の事実は明記し、理由は詳細に書かなくてもOK
  • 職務経歴書では「早期離職になった理由」を前向きに説明する欄を設ける
  • 再スタートに向けた意欲や改善点を具体的に示す

たとえば、「仕事内容にギャップがあった」「企業風土が合わなかった」といった理由でも、ただの愚痴で終わらせず「その経験を通じて、自分の強みや働き方を見つめ直すことができた」といった視点でまとめるといいでしょう。

書類でごまかさないことは、信頼を得るためにも大切です。

元人事の徳田このみ様
徳田 このみ
早期離職の理由を応募書類に記載する際は、長くなりすぎないように簡潔にまとめ、面接で補足できるよう準備しておきましょう。採用担当者は書類を丁寧に読み込むため、書いた内容と面接での発言に矛盾がないことも大切です。事実を正直に示しつつ、前向きな姿勢が伝わるよう意識すると良いでしょう。

同じような会社に転職しないために転職エージェントを活用する

同じような会社にまた入って、また「合わなかった…」とならないためにも、試用期間中に退職したあとの転職では、転職エージェントを活用するのがおすすめです。

「今度こそ長く働きたい」「ちゃんと合う職場を選びたい」と思っていても、自分ひとりで求人票を見るだけでは会社の内情まではわかりません。

そこで転職エージェントを利用すれば、以下のようなメリットを得られます。

  • 社風や人間関係、働き方など、求人票に書かれていない職場の実情を教えてもらえる
  • 自分の希望や過去の経験に合った求人を客観的に選んでもらえる
  • 職務経歴書や面接のアドバイスをもらい、短期離職の印象をカバーできる
  • 早期退職の理由をどう説明するか、伝え方を一緒に考えてくれる
  • 今後のキャリアをどう築いていくか、中長期的な視点で相談に乗ってくれる

転職エージェントは、単に求人を紹介するだけの存在ではありません。

採用担当者にヒアリングしたり企業訪問したりしている転職エージェントであれば、企業の職場環境も把握しているので同じような会社への入社を防ぐことが可能です。

また、履歴書や職務経歴書の書き方や面接対策も受けられるので、特に試用期間での退職経験がある人にとっては転職成功率を上げるサポーターになってくれます。

「エージェントに相談だけ」という場合でも無料で利用可能。試用期間中に退職した後の転職を不安に感じている方は活用してみてください。

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元人事の徳田このみ様
徳田 このみ
転職エージェントによる第三者からの客観的な視点で、自分では気付けない強みや適性を見つけてもらえるかもしれません。「助けを借りる」気持ちで、気軽に相談してみるのも良いでしょう。

試用期間中でも辞めた方がいい会社の見極め方

試用期間だからといって、無理に我慢する必要はありません。

以下では、働き続けるべきか迷ったときに「今の職場は辞めた方がいい」と判断するための5つのチェックポイントを紹介します。

  • 明らかに求人内容と実際の仕事内容が違う
  • パワハラ・モラハラ的な言動が日常的にある
  • 社内の雰囲気が極端に悪く、誰も挨拶をしない
  • 労働時間や休日が法律を大きく逸脱している
  • 自分のキャリアや価値観とどうしても合わないと感じる

見極め方1:明らかに求人内容と実際の仕事内容が違う

求人と実際の仕事内容が大きく違うなら、試用期間中でも辞めていいでしょう。たとえば、以下のような明らかなミスマッチは、企業側の誠意を疑ってもいいレベルです。

  • 「データ入力の仕事」と聞いて入社したのに、実際に働いてみると飛び込み営業をさせられた
  • 「チームで分担する」と言われていた作業を1人で丸投げされた

もちろん、多少の業務差異はどの会社でも起こり得ますが、「聞いていた話と全然違う」と感じるなら退職を検討する判断材料としては十分です。

しかもこの段階で我慢しても、その会社が信頼を取り戻してくれる保証はありません

試用期間中は、お互いの相性を見極める時間。求人内容と実際の仕事に大きなズレがあるなら、そこは遠慮なく「ここは違う」と判断していいでしょう。

見極め方2:パワハラ・モラハラ的な言動が日常的にある

職場にパワハラやモラハラが当たり前のようにあるなら早めに離れるべきです。

「まだ入ったばかりだから我慢しよう」「怒鳴られるのは自分に原因があるかも」、そう思って耐えてしまう人は少なくありません。しかし、毎日のように人格を否定されたり、見せしめのような指導を受けたりする環境は心と体をすり減らしてしまいます

誰かが強く当たられても周囲が見て見ぬふり、上司が明らかに言葉の暴力を使っているなど、そんな空気が常態化している職場は、あなたを守ってくれない場所かもしれません

試用期間中は、実際の職場環境が見えるタイミングでもあります。

面接では人当たりが良くても、入社してみると威圧的な指導や理不尽な言いがかりが横行している場合は、「ここに長くいるのは危険かもしれない」と判断するのも自分を守る選択肢です。

見極め方3:社内の雰囲気が極端に悪く、誰も挨拶をしない

オフィスに入って挨拶が返ってこない会社も注意が必要。

挨拶は、人と人とが気持ちよく働くためのコミュニケーションの基本です。にもかかわらず、社内で挨拶もなければ、笑顔も交わさない空間に違和感を覚えたなら、試用期間中でも退職を検討していいでしょう。

もちろん、忙しいときに全員が黙々と作業している日もあります。

ただ、試用期間中にもかかわらず誰からも声をかけられない、相談しようとしても冷たい態度を取られるなど、人間関係に温度感がない状態が日常ならそれはその職場の文化です。

離職率の高い会社では、職場の空気が冷たく挨拶も笑顔もない、という事例もあります。
※参考:THE HOSPITALITY TEAM inc.「離職率が「高い」職場と「低い」職場の環境の違い」

「この空気、ちょっとおかしいかも」と思ったら、それは“会社選びを間違えたサイン”かもしれません。

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見極め方4:労働時間や休日が労働基準に反している

法律で決まっているルールすら守らない会社は、働く人への配慮や責任感にも欠けている可能性が高いです。

働くうえで「残業が多い」とか「休みが少ない」と感じることはあるかもしれません。でも、それが時々ではなく、“当たり前”としてまかり通っているなら要注意です。

たとえば、1日8時間以上働いているのに残業代が出ない、週に1回の休みすら確保できない、タイムカードがなぜか早く切られているなど、これらはすべて労働基準法に反しています。

法律違反が当たり前のように放置されている職場に長く身を置くと、心も体もすり減っていきます。「最初はみんなキツいよ」「これが業界の常識」と言われたとしても、それは正当化にはなりません

労働条件は、働く人を守るための基本ルール。会社がそれを守らないというのは、あなたが“守られない場所”で働いているということです。

「このくらい我慢すれば……」と思うかもしれません。しかし、その“くらい”が積み重なると、うつ病などの精神疾患を患うリスクもあります。

見極め方5:自分のキャリアや価値観とどうしても合わない

どれだけ条件がよくても、「主体的に取り組めない」「モチベーションを保てない」と感じるなら、その会社は長く続けるのが難しいかもしれません。

職場はただお金を稼ぐ場所ではなく、時間とエネルギーを注ぎこむ“人生の大部分”を過ごす場所です。

だからこそ、自分のキャリアの方向性や「こう働きたい」という価値観とズレが大きいなら、その違和感は見逃さない方がいいでしょう。

たとえば、下記のようなミスマッチが試用期間中に見えてきたなら、それは退職を考えるサインです。

  • 「スキルを活かしたい」と思って入社したのに、毎日単純作業ばかり
  • 「人と丁寧に関わる仕事がしたい」のに、ひたすら数字だけを追う業務

試用期間中に単純作業を任されるのはよくあることですが、もし周囲の先輩たちもずっと同じ作業しかしていないなら、その職場の仕事内容や成長環境には注意が必要です。

自分にとって譲れない価値観を認識し、「どんな職場なら納得して働けるのか」を考え直すことが次の転職を成功させる一歩になります。

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元人事の徳田このみ様
徳田 このみ
試用期間中に感じた違和感は、単なるネガティブな体験ではなく、次の転職活動に活かせる気づきにもなります。自分の価値観や働き方の基準を見直すきっかけになり、次に応募する会社を選ぶ際の判断材料にもなるでしょう。

【Q&A】試用期間中に辞める際によくある質問

Q1:短期離職で職歴に傷がつきますか?

1年以内の短期離職の場合、転職でマイナスに受け取られる可能性は高いです。

試用期間を終えても、1年以内の早期離職は転職で評価を得にくいのが実情。転職せざるを得ない理由を説明できないと、「またすぐに辞めるのでは」と採用担当者に思われるでしょう。

やむを得ず試用期間中に会社を辞める場合、前述の〈試用期間中に辞めた後の転職で気をつけるポイント3つ〉で紹介したポイントを意識して転職活動を進めてください

Q2:短期離職のことを周囲に何と言えばいい?

気まずく感じるかもしれませんが、周囲へは「合わなかったから次を探すことにした」程度で十分伝わります。

短期で辞めたことを、あえて詳しく説明しようとすると余計に気まずくなってしまうこともあります。無理に言い訳をするよりも、自分なりに納得している様子を見せるだけでいいでしょう。

たとえば、こんな風にサラッと伝えてみてください。

  • 「やってみたら思ってた内容と全然違ってて、早めに切り替えることにしたんだ」
  • 「もうちょっと自分に合うところがあると思って、次を探してるよ」
  • 「勉強にはなったけど、長く続ける場所じゃないなって思ってね」

Q3:辞めたら次が決まらないか不安です。どうすればいい?

転職エージェントに相談するなど、行動に移すことで不安を和らげることができます。

試用期間中に辞めたあと、「このまま次が決まらなかったらどうしよう」というのは誰もが感じる不安です。でも、ずっと悩んでいるよりも、できることから一つずつ動いた方が気持ちは落ち着いてきます

たとえばこんな準備をしておくと安心です。

  • 転職エージェントに登録して、求人を探してみる
  • 自分の働き方の希望を整理する
  • 短期離職の理由をポジティブに伝える準備をする
  • スキルアップの勉強や資格の勉強を始めてみる

辞めた後のことが不安で退職に踏み出せない人は、今のうちから転職エージェントに相談するのがおすすめ。

次の職場の候補が見つかりそうになったら、退職の手続きをすれば最小限の不安で次の職場へ入社できます。

元人事の徳田このみ様
徳田 このみ
定期的に「自分ができることの棚卸し」や「職務経歴書のブラッシュアップ」をしておくのもおすすめです。いざ転職したい!と思った時にイチから応募書類を作るのは腰が重く、つい行動も後ろ倒しになってしまいがちです。一つでも用意しておけば、フットワーク軽く転職活動を始められます。

まとめ

試用期間中の退職は、一つの選択肢として前向きに捉えても問題ありません

合わない職場に無理して居続けるよりも、自分の感覚を信じて行動することのほうが長い目で見てプラスになることも多いです。

ただし、退職を決めるなら「辞め方」や「その後の伝え方」にも工夫が必要。辞める理由の伝え方や引き止めへの対応、次の転職活動で気をつけるポイントなどをしっかり押さえておけば、不安を最小限にしながら前に進めます。

環境を変えるのは勇気のいることですが、自分のキャリアや価値観を大切にしながら、納得できる道を選んでください。

転職UPPP編集部は、IT・Web業界に精通した起業家、マーケティングのプロフェッショナル、そして豊富な転職経験を持つライター・ディレクターが集結した専門チームです。起業や独立、法人営業、Webマーケティング、メディア運営など、それぞれのキャリアで培った知見を活かし、転職市場の動向を分析しながら、実体験に基づいた信頼性の高い情報を発信しています。転職の成功と失敗をリアルに経験したメンバーが、読者にとって本当に役立つコンテンツを提供します。

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