当記事は転職の家庭教師/キャリアコンサルタントの丸井沙紀様に寄稿いただいております。
ここでは、退職理由の好印象となる伝え方について事例を交えながら解説していくと共に、ただこう伝えればいいという事だけではなくマインドや考え方も含めてお伝えしていきます。
面接でよく聞かれる質問の中で、最も答えるのに慎重になってしまう「退職理由」「転職理由」。
キャリアアップなど前向きな転職の方もいれば、倒産など非自発的理由(自分から望んで退職したわけではない)という方もいます。
しかし、多くが人間関係や残業や休日出勤が多いなどマイナスな理由や何か事情があって退職をしたり、転職活動を余儀なくされたりしている方が多いと思います。
その場合、退職理由、転職理由を「そのまま正直に話していいの?」と悩まれている方も多いと思います。退職理由の伝え方に悩んでいる方の力になれば幸いです。
転職の家庭教師/キャリアコンサルタント
丸井沙紀
4,000人以上の相談実績を元に、転職活動をサポートをする「100%相談者の味方としてサポートする転職の家庭教師」として活動中。会社員時代のキャリアスクール運営・キャリアカウンセラーとして勤務後独立。転職エージェント内でのアドバイザーを経て、現在は転職・学生向け就活の大規模転職イベント内で講演や相談コーナー、大手生命保険会社内でのキャリア・採用セミナーを担当。また、職業訓練校・短期大学にてキャリアの授業も担当している。
保有資格
- 2級キャリア・コンサルティング技能士(国家検定)
- キャリアコンサルタント(国家資格)
- 米国CCE,lnc.認定 GCDF-Japan キャリアカウンセラー
- 銀座コーチングスクールGCSプロフェッショナルコーチ
- マインドマップ プラクティショナー
転職の際によくある本音の退職理由
皆さんの退職理由や転職理由にはどのようなものがあるのでしょうか?
実際、現在働いている会社に退職の意思と共に理由を伝える時には、
- 「家庭の事情で」
- 「やりたい事がみつかって」
など当たり障りない理由を述べて辞める方が多いと思います。
私は転職の家庭教師として4,000人以上の相談を受けてきて、皆さん本音の退職理由や辞めたい理由を語っていただくことが多くあります。
そこでお伺している中で、実際多い退職理由の本音を紹介していきます。
自発的理由
人間関係(経営者・上司・先輩・同僚部下)
厚生労働省の本音の退職理由調査でも人間関係は第一位にあるようです。
今の職種が合わない、やりがいを感じない
私が相談を受ける中では1番多い理由です。
新卒で何となく選んで入ったが合わない、やりがいを感じない、配属された部署が合わないと感じている方などが多くいらっしゃいます。
残業・休日出勤が多い
私が相談を受ける中で2番目位に多い理由です。
働き方改革でだいぶ減りましたがまだまだ過酷な状況の会社もあります。
会社や業界に将来性を感じない
高齢の社長が引退したら終わりそう、〇年後も自分がこの会社にいる姿が想像できない、業界自体先細り、AIにとって代わられるといった理由です。
異業種・職種に挑戦したい
具体的に考えていて前向きな方から、憧れているけど現実的には難しいことまで様々あります
キャリアアップしたい
仕事の幅を広げて、もっと大きな仕事、範囲の広い仕事をしたい、結果収入もUPしたいなどです。
その他にも自発的理由には以下のようなものがあります。
- 社風が合わない(トップダウンなど)
- 給与が低い、給与が上がる見込みがない
- パワハラ・セクハラ・ストーカー行為(様々な事情で改善を訴えても聞き入れてもらえず自己都合退職となった場合)
非自発的(自分から辞めたくて辞めるわけではない)理由
- 倒産
- 整理解雇・リストラ
- 企業の海外や遠距離への移転
- 所属部署がなくなった
- 子育て・介護・夫(妻)の転勤で続ける事ができない
- 転居
- 体調不良
いかがでしょうか?どれかに当てはまった方も多いのではないでしょうか。
中には「人間関係」と「残業が多い」など複数の理由が重なって退職をしたいという事例もあります。
なかなか他の方の本音を知る事はないと思います。
これを読んで自分だけではない、同じ思いをしている人もいるんだと励みにしていただければと思います。
また、自分とは異なるもっと大変な状況の方もいるかもしれないと心を寄せてもいいと思います。
そして面接官側も、これまで沢山の方と接していますから、応募してくる人はこれらの何かしら事情があって応募してきたという事は承知しているという事です。
面接で退職理由をそのまま伝えてもいいの?
どれも大変な、仕方がない理由だからといって、面接でそのまま伝えていいのでしょうか?
答えはNOです。
理由にもよりますが、ほとんどの理由はそのまま伝えてしまうと誤解を受けてしまう場合があります。
例えば、「給与が低い」「上司ともめた」「パワハラにあった」「将来性がない」「残業が多い」など自発的な理由は挙げれば上げるほど、会社の悪口や不平不満に聞こえてしまいます。
本当に大変な事情だとしても、悪口って耳障りですよね。
パワハラや上司ともめたというのは、どちらが悪いとか程度がなかなか面接の場だけでは証明しにくいものがあります。
あなたも他の人の悪口ばかりを言ってくる友人がいたら「他では自分の悪口を言っているのではないだろうか」と思う事はありませんか?
もめごとなどは片方の言い分だけではどちらが悪いか判断つかないこともあるでしょう。
面接官も同じであまりに文句が多いと「なんに対しても悪く捉えて不平不満を感じるタイプの方では」と思ったり、人間関係やパワハラも「本人にも否があるのでは」という誤解を受けたりしかねません。
また、社内の内情をしゃべりすぎると情報漏洩の危険もあり、「この人は守秘義務を守れないのではないか」といった印象を受ける場合もあります。
非自発的な理由はどれも致し方ない事が多いので、基本はそのまま伝える事ができますが、そこだけで終わらせてしまうと好印象にはなりません。
前向きな印象を与える必要があります(後述します)。
「倒産なら仕方ない、気の毒だ。しかし当社で雇う理由にはならない」というのが厳しいようですが採用側の本音です。
「嘘はいけないけれど物は言いよう」、これは私が必ず面接を控えたの方に伝えていることです。
面接で嘘は信頼関係を損ないますし、場合によっては虚偽で後々解雇になる事も。しかしありのままそのままを伝えては、誤解を招くこともあります。
ちょっとした言い回しや表現を変えたり、前置きにクッション言葉を置き替えたりすることで印象は変わります。
具体的な方法は後半でお伝えします。
企業はなぜ転職面接で退職理由を聞くのか
伝え方を考える前に、まずは相手(企業側)の気持ちや事情を知りましょう。
企業はなぜ退職理由を聞くのでしょうか。そこから何を見ているのでしょうか。
理由は主にこの3つです。
- 定着性、長く働いてくれるのか(再現性はないか)
- 退職理由が転職で解決できるのか?
- 話しにくい質問に対してどう説明するか
定着性、長く働いてくれるのか(再現性はないか)
多くの企業は採用する方に長く働き活躍してほしいと願っています。
1~2回の転職ならまだしも、複数回、短期間で転職を繰り返している方は、
- 「またすぐ辞めてしまわないだろうか」
- 「ストレス耐性が低いのではないだろうか」
という心配が生まれます。
だからこそ退職理由について細かく確認します。
複数回転職経験がある方は、現職や直近だけではなく、過去までさかのぼってすべての退職理由を聞くケースもあります。
退職理由が転職で解決できるのか?
本人が思い描いているキャリアプランや仕事環境と、受けている会社が一致していない場合があります。
これはあなた自身にとっても大切な事です。
残業が多いなら転職先では残業が減っていなければなりません。
〇〇がやりたいから転職をしたいという理由であれば、転職先で〇〇ができる仕事についていないと転職する意味はありません。
しかしながら、企業が用意している環境、担当してほしい業務が一致しているとは限りません。
相違があると早期退職に繋がり、お互い不幸な結果に繋がってしまいます。
話しにくい質問に対してどう説明するか
先ほどの挙げたように退職理由はほとんどがネガティブな理由です。
中にはキャリアアップなど前向きな理由の場合もありますが、ほとんどが自身にとってネガティブな事です。面接官もそこはわかっています。
「何か理由があるから転職活動をしているんだろうなあ、辞めてきたんだろうな」と思っています。
その上で、退職理由について質問をされた時にどのように話し、説明をするのか、今後どうしていきたいのかなど、話し方や前向きな姿勢、とらえ方、態度も含めて総合的に見ています。
「面接で必ず聞かれる質問」を今すぐチェックする
当記事は転職の家庭教師/キャリアコンサルタントの丸井沙紀様に寄稿いただいております。書類が通過してやっと訪れた面接の機会。社会人経験の中で面接を受ける機会はそうそうない為、学生時代以来という方や久しぶりに受けるという方も多い[…]
無理やりポジティブな伝え方を考える前にまず〇〇と向き合う事
ここまでお読みいただいたら「じゃあなんて伝えればいいの?」、中には「プラスに変換すればいいんでしょう?他の記事にも書いてあった」という方もいると思います。
結果はそうなのですが、その前に必ずやってほしい事があります。
それはまず自分の「退職理由の本音」「本当の理由」と向き合う事です。
しかし多くの方がインターネットやマニュアル本、誰かのアドバイスで「プラス変換すればいい」という事を学び一生懸命考えますがどこか嘘くさくなったり、掘り下げ質問に答えられなくしまいます。
例えうまく話せても「なんか盛っているような嘘をついているような気持ちで自分自身がしっくりきていない」というご相談もよくいただきます。
そこでまず本音と向き合ってほしいのです。
やり方は退職理由を全部書き出してください。何個でもいいです。
ここでは、悪口でも文句でも、不平不満でもなんでもいいです。
正直な気持ちを言葉に並べてください。
過去にも転職歴があり、複数社経験している方は、辞めた数だけそれぞれの理由を書きだしてください。
まずは本音と向き合い、本当の退職理由と向き合う事で今後どういう会社を見つければいいのかが見えてくることがわかります。
多くの方がこの作業を飛ばして、いきなりプラス変換で、耳当たりのよい言葉を無理やり考えて話しているのでどこか違和感が出てしまうのです。
退職理由を【ネガティブ→ポジティブ】へ変換する
本音を洗い出したところで、そのまま話しては悪い印象になってしまったり、誤解を招いたりしてしまうという事はこれまでお伝えしてきました。
まずは、本当の退職理由をそれぞれどうしたらポジティブな言い回しにできるかを考えてみましょう。
- 人間関係→チームで協力して仕事をしていきたい
- トップダウン→アイディアを出すなど自活的に行動していきたい
- 給料が低い→スキルをフルに発揮して、その分正当に評価されたい
といった形です。
いわゆるネガポジ変換。あなたの退職理由に合わせて変換してみましょう。
1社に対して複数の退職理由がある場合は、全て変換をしてみて、一番変換やすく面接で話しやすいものを選ぶとよいでしょう。
自発的な退職理由を好印象に伝える6つのおすすめテクニック
残業が多い、人間関係など自発的な退職理由に関しては、できればあまり理由を言わない方がベターです。
できるだけ「〇〇がやりたいから」など前向きなキャリアプランを話すようにしましょう。
しかしながらそれだけだと説明がつかなかったり、嘘くさくなってしまったりしてしまう場合があります。
説明のテクニックとしてはこの後紹介する「2割8割の法則」を使うとよいでしょう。
ここからはどうしても自発的な退職理由を説明しなければならない場合の、ネガティブ→好印象に繋がるテクニックと回答例をお伝えします。
- 前置き・クッション言葉
- 具体的な数字で示す
- 過去の自分を今の自分が俯瞰して語る
- 辞めざるえない理由→前向きなキャリアプランをつなぐ言葉
- 2割8割の法則
- 退職理由を結論から話す
テクニック①:前置き・クッション言葉
どうしても事実を話さなければいけない、悪口になりそうという時に使用するとよいでしょう。
人間関係・パワハラ・セクハラ・社風が合わない(トップダウンなど)・将来性を感じないといった理由に有効です。
- 「前職を悪く言うつもりはないのですが」
- 「きちんとお伝えしたい為、正直な気持ちをお伝えさせて頂くと」
- 「私にも至らない点や誤解を招く点があったかと思いますが」
- 「私が甘かったのかもしれませんが」
などです。
例:「私にも上司の期待に答えられない部分があったのかとは思いますが、上司によるパワハラです。大きな声で怒鳴られたり、物を投げつけられたりする事もあります(具体的に)。同期は全員退職し、残っているのは私1人です。」
いきなり「パワハラです」と言い出すよりは、一言前置きがあると言葉がまろやかに聞こえませんか?
しかし、パワハラやセクハラなどは話したくない、触れらたくない、思い出したくないこともあると思います。
そういった場合には無理に話す必要はありません。
あくまで理由の説明に使うとしたら・・・という風に思ってください。
テクニック②:具体的な数字で示す
「残業・休日出勤が多い」、単純に「多い」と言ってもどの程度から多いと感じているのか面接官はわかりません。
私が過去にお話しした方の中には、残業月300時間以上を超えている方もいれば10時間で多いと感じている方もいます。
どっちがいい悪いではなく(300時間は過労死ラインをはるかに超えていますのでよくないです)、具体的な数字で示していきましょう。
伝え方の例
- 正直なお話をさせて頂くと(前置き)
- 現在残業が100時間を超えているからです。(具体的数字)
- 今はまだ〇歳なので問題なくこなしていますが(健康アピール)
- 今後10年20年、定年まで働いていく為には(長く働きたいアピール)
- 40時間以内の会社に移り、健康的にベストなパフォーマンスで仕事をしていきたいと思い転職を決意しました。
いかがでしょうか。具体的に示しながら、長く健康的に高パフォーマンスで働いていきたいという意思表示をしております。
そしてここで「40時間以内」と伝える事で残業が実際41時間以上ある会社は自動的に不採用となります。
不採用は悲しい気持ちになりますが、また残業が多い会社に間違えて入ってしまうよりは、不採用になり実際残業が少ない会社に入社した方がベストと言えます。
ー給与が低いー
例)年収アップが理由です。現在年収は〇〇万円いただいておりますが、〇万円以上の年収アップが今回の転職理由です。〇〇や〇〇の経験を活かし、●●の分野に挑戦して業務の幅を広げたいと考えております。
あまりお金のことだけを言うとよい印象を与えないこともありますが、ずばり今回の転職理由が収入UPを目指しているならば、はっきりと伝えた方がいいでしょう。
逆に濁してしまい、同じ年収を提示されてしまったら元も子もありません。
その際、ただ「低い」というより「いくら以上ほしい」と具体的な数字を示した上で、お金の話以外の挑戦したことや入社後実現したい事を述べましょう。
また、年収も低い→アップと表現を変えるだけでポジティブな印象となります。
テクニック③:過去の自分を今の自分が俯瞰して語る
1つ以上前の退職理由や過去のブランク期間などへの質問に有効です。
最近の面接での質問は学生時代の過ごし方や就職活動にまで及ぶことがあります。
- 「なぜ〇〇学部に進んだのですか?」
- 「なぜ〇〇学部を卒業したのに〇〇系の会社に就職したのですか?」
- 「な大学卒業後、すぐに就職しなかったのですか?」
- 「なぜ1社目は半年で退職してしまったのですか?」
- 「なぜ次の会社を決める前に退職したのですか?」
こうった質問は過去の自分でもあまり触れられたくないことやネガティブに感じていること、今更言われても・・・と思うようなことをほじくり返されるような気持ちになり、より返答に困ると思います。
責められているように感じる方もいることでしょう。
しかし「企業はなぜ退職理由を聞くのか」でもお伝えしたように、面接官は「話しにくい質問に対してどう説明するか」という点も見ています。
決して過去をせめているわけではなりません。
そこで便利な言葉は「今思えば」です。
- 「今思えば他にも選択肢はあったとは思いますが・・」
- 「今思えばせめて1年は勤めてから転職を考えればと思うのですが、その時は・・」
- 「今思えば学生時代にもっと早く就職活動をしていればよかったのですが」
など過去の自分を、大人になった今の自分が俯瞰してみるように淡々と説明しましょう。
この「淡々と」というのが大切です。
過去に面接中につらかった過去を思い出して泣いてしまったり、ずーんと落ち込んでしまったりした方がいます。
また言い訳のように「だってこの時はこうだったんです!」などと感情的に話しすぎてしまう方もいます。
「今思えば」という言葉を使用して、過去を冷静に説明しましょう。
テクニック④:辞めざるえない理由→前向きなキャリアプランをつなぐ言葉
倒産やリストラ、転居や企業の移転など非自発的な理由については、そのままを理由として伝えてもよいでしょう。
しかしそれだけだと、同情と納得はしてもあなたを雇用する理由にはなりません。
そんな時に使える便利な言葉は「これを機に」です。
「残念ながら会社が倒産し、全員解雇となりました。ですがこれを機に以前から興味があった〇〇業界に転職をしたいと思い応募しました」
これは倒産などの非自発的な理由以外の、残業過多などにも使えます。
「残業が100時間を超えて今後長く続けられないと考えたからです。これを機に以前から興味があり、自分でも勉強をしております〇〇業界にチャレンジをしたいと考え、転職活動をしております。なぜ〇〇業界に興味があったかと言いますと・・・」
退職理由のみの説明にとどまらず、未来のキャリアプランを前向きに話し、転職後あなたが活躍するイメージを面接官にもってもらえるようにしましょう。
前向きな印象になるキャリアプランや強みの伝え方のポイントはこちらの記事を参考にしてください。
当記事は転職の家庭教師/キャリアコンサルタントの丸井沙紀様に寄稿いただいております。転職活動を始めると考えなければいけないことが自己PRです。履歴書や職務経歴書、Webからの応募の際にも書く欄があります。面接では「自己P[…]
テクニック⑤:2割8割の法則
ここまで紹介した、本当の理由を伝えてからキャリアプランを前向きに話す時には、「転職理由2割、前向きな話し8割」の割合となるように転職理由を少な目に話すと前向きな印象になります。
今までに紹介した例でも、各テクニックを入れつつ、転職理由が少なめになるような割合構成になっています。
転職理由の例①
残業が100時間を超えて今後長く続けられないと考えたからです。(本当の理由)
これを機に以前から興味があり、自分でも勉強をしております〇〇業界にチャレンジをしたいと考え、転職活動をしております。なぜ〇〇業界に興味があったかと言いますと・・・(前向きな話)
という風に途中から志望動機に近い形で、未来の話を前向きに話しています。話の構成を組み立てる時に意識して取り入れてみてください。
また、退職理由を2つ挙げて、前向きな事な話に展開できそうな理由の方のボリュームを大きくするという方法もあります。
転職理由の例②
「現在転職活動をしている理由は2つあります。
1つ目は残業時間です。残業が現在月平均100時間を超えております。長く働き続けるためにはもう少し減らしたいと考えております。2つ目は以前から挑戦したかった〇〇の仕事に携わりたいからです。なぜ〇〇に興味を持ったかといいますと・・・(長めに)」
テクニック⑥:退職理由を結論から話す
話す順番にも気を付けましょう。それは結論から話すことです。
退職理由に限らず、すべての質問に対する回答に使える、使った方がいいテクニックです。
特に退職理由などネガティブな印象になりがちな答えは、ダラダラと話して結論を後回しにすると言い訳をしているような印象を与えてしまいます。
自己PRの記事でも紹介していますPREP法を意識して説明を組み立てましょう。
PREP法とは
- Point :導入結論
- Reason :理由
- Example:具体例
- Point :最終結論
例えば上で例にあげた以下の説明も、PREP法に当てはめています。
現在残業が100時間を超えているからです。(導入結論)
今はまだ〇歳なので問題なくこなしていますが、今後10年20年、定年まで働いていく為には40時間以内の会社に移り、(理由・具体例)
健康的にベストなパフォーマンスで仕事をしていきたいと思い転職を決意しました。(最終結論)
転職回数が多い人の面接のポイントも今すぐ見る
当記事は転職の家庭教師/キャリアコンサルタントの丸井沙紀様に寄稿いただいております。気がついたら転職回数が多くなっていた。 「今から転職活動を始めたら採用されるだろうか」 「面接では何を聞かれるだろうか」 […]
非自発的理由で誤解やトラブルを防ぐには
自分の力ではどうしようもない退職せざる得ない非自発的な理由の場合でも、以下のような場合にはさらに丁寧な説明が必要です。
丁寧な状況説明が必要な場合
整理解雇・リストラや所属の部署がなくなったという理由の場合は、何人位解雇されたのか、なぜリストラの対象になったのか、所属部署はなくなっても「他の部署に異動の余地はなかったのか」といった疑問が面接官に残ります。
回答例1)「業績不振の為、全体の1/5である2,000人が解雇となりました。私の所属部署も売上見込みが立たないという事で、全員リストラ対象となっています。他の部署への異動の可能性を会社側は考えていないという事です。」
回答例2)「業績不振の為、45歳以上を対象に早期退職を募っています。残る事はできますが、先行きも不透明なのでこれを機に新たなことにチャレンジしようと思っています」
あなたが、仕事ができない、または何かしらの不正やトラブルなどで解雇されたという誤解を生まないよう丁寧に具体的に説明しましょう。
今問題なく業務ができるという説明が必要な場合
子育て・介護・体調不良・夫(妻)の転勤の場合には、転職後、問題なく業務がこなせるのかという不安が残ります。
問題なく業務がこなせるようでしたら、その旨と理由を説明しましょう。
通院や子どものお迎えなど配慮が必要な場合には、事前に伝えるようにしましょう。
体調や病気に関しては、業務に支障がなければ無理に伝える必要はありません。
ただし、業種によっては告知義務があります。
また、入社後に業務に支障がでるような形で発覚した場合に虚偽として問題になってしまう場合がありますので注意しましょう。
「〇〇の病気で治療に専念する為、やむなく退職しました。今は治り勤務に支障はありません。月1回経過観察で通院が必要ですが、休日に通院が可能です」
病気や介護、子育てなどは繊細な事で、聞き方によってはハラスメントになってしまう為、面接官からあれこれ掘り下げる事ができません。
差し支えなければ自分から伝えた方が理解されやすくなります。
まとめ
退職理由・転職理由は面接の質問の中で最も説明が難しく、触れられたくないネガティブな事を説明しなければいけない場合もあります。
「嘘はいけませんが物は言いよう」です。
ここまでご紹介したように、ちょっと表現を変えたり、前置きやクッション言葉を入れたりする事で印象が変わります。
退職理由に限らず、面接中はどんな質問や会話の中でもネガティブな表現を使うと悪い印象として残ります。
ご紹介したネガティブ→ポジティブの変換を他の質問にも使ってポジティブな言葉で前向きな印象を残していけるようにしましょう。
また、いきなりポジティブ表現に変える前に、本当の退職理由に向き合うという工程を忘れずに行いましょう。
過去を振り返る事で未来が見えてくることがあります。
退職理由にしっかりと向き合ったうえでポジティブに説明をし、今後のキャリアプランを描き伝える事で転職先で活躍できる未来を創っていきましょう。
転職の家庭教師/キャリアコンサルタント
丸井沙紀
4,000人以上の相談実績を元に、転職活動をサポートをする「100%相談者の味方としてサポートする転職の家庭教師」として活動中。会社員時代のキャリアスクール運営・キャリアカウンセラーとして勤務後独立。転職エージェント内でのアドバイザーを経て、現在は転職・学生向け就活の大規模転職イベント内で講演や相談コーナー、大手生命保険会社内でのキャリア・採用セミナーを担当。また、職業訓練校・短期大学にてキャリアの授業も担当している。
保有資格
- 2級キャリア・コンサルティング技能士(国家検定)
- キャリアコンサルタント(国家資格)
- 米国CCE,lnc.認定 GCDF-Japan キャリアカウンセラー
- 銀座コーチングスクールGCSプロフェッショナルコーチ
- マインドマップ プラクティショナー