子育て中のママ必見!時短勤務・フレックスOKの転職を成功させる7つのコツ

当記事はキャリアカウンセラーの鎌上織愛様に寄稿いただいております。

キャリアアップをスムーズに進めるためにはフルタイム勤務が理想ですが、子育てとの両立は難しく、時短勤務やフルフレックスの仕事への転職を検討しているワーママは多いのではないでしょうか。

「子育ても仕事もどちらも続けたい!」と考える方にとって、時短勤務やフルフレックスはワークライフバランスを保つために適した働き方です。昨今、働き方改革を進めるために柔軟な制度を設ける企業も増えており、子育てとの両立の方法も選択肢が増えています

しかし子育てしながら転職活動を行うには、時間や気力、そしてさまざまな工夫が必要です。

この記事では、子育て中のワーママが時短勤務やフルフレックスOKの転職を成功させるコツや、実際の成功例などを紹介します。

フリーリクルーター・人材採用担当の鎌上 織愛(かまがみ おりえ)キャリアカウンセラー
鎌上 織愛
2013年にキャリアコンサルタント資格取得後、人材派遣会社やベンチャー企業にて採用担当兼キャリアカウンセラーとして勤務。その後、求人広告業界にて制作・ライターを経験。2018年にキャリアカウンセラー兼ライターとして独立し、求人広告のライティングや学生・ 女性に特化した就活支援に従事する。専門学校生や転職希望者向け就活講座やビジネスマナー講座、フリーランサー向けビジネスセミナー、ハローワーク主催のライター養成講座など、数多くの講座やセミナーに登壇。
目次

子育て中の転職は難しい?

昨今、子育て中に転職を考える人が増えています。その理由にはワークライフバランスが重視されていることや、リモートワークの普及により柔軟な働き方が増えたことなどが挙げられますが、子育て世帯に限らず転職が一般化していることも大きな要因です。

結婚・出産すれば退職…ではなく、ライフイベントに関わらずキャリアを継続させ、個々の人生を尊重する姿勢が求められています。

子育て中のワーママが転職を考えるタイミングは、さまざまです。現職では保育園が遠くてお迎えに間に合わない、残業ができない、子どもとの時間がとれないなど…。

理想の働き方は人それぞれですが、それらを解決する手段として転職を検討するワーママが増えています

しかし子育てと仕事の両立で時間が制限されている中、さらに転職活動の時間を捻出するのは難しいと考える方が多いでしょう。

数ある会社の中から育児支援制度が整った会社をピックアップして、一つずつ検討するには気力も必要です。

また制度が充実していても、社風や環境が自分に合うかどうかわからないうえ、「今までお世話になった会社に申し訳ない」と不義理を感じる方も少なくありません。

そこで注目されているのが、時短勤務とフレックスタイム制度です。現職のまま時短勤務やフレックスタイム制度を利用できればスムーズですが、在籍している企業に制度がなければ転職を検討してみましょう。

時短勤務とフレックスタイム制度の違いを知っておこう

時短勤務とフレックスタイム制度はいずれも子育て中のワーママにとって便利な制度ですが、目的や仕組みが異なります。

それぞれの違いを正しく理解して、自分に合う働き方を検討しましょう。

時短勤務とは

時短勤務(短時間勤務)は、育児や介護などの特定の理由により労働時間を通常より短くできる働き方です。

例えば、1日8時間勤務の職場で1日5〜6時間の勤務を認める場合があります。育児や介護に関わる従業員が家庭の負担を軽減しつつ、職場での仕事を続けられるようにすることが主な目的です。

労働基準法や育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)によって規定されており、企業側は従業員の要望に応じて対応する義務があります。

また特徴として、勤務時間があらかじめ短縮されているため、勤務する時間帯が固定される場合も多くあります

例えば「9時から15時まで」のように具体的な時間帯が決められ、それに従って働くことが求められるのです。

これにより家庭と仕事の両立が実現しやすくなりますが、勤務時間に比例して給与の減少が懸念点になります。

フレックスタイム制度とは

フレックスタイム制度は、始業時間や終業時間を従業員が自分で選択できる制度です。

あらかじめ総労働時間を決めたうえで、日々の勤務を自由に調整できます。

一般的には必ず出勤しなければならない時間帯(コアタイム)が設定されており、それ以外の時間帯(フレキシブルタイム)に関して従業員が自分の都合に合わせて、出勤や退勤の時間を決めることが可能です。

家庭の事情に合わせたり、通勤ラッシュを避けたりできるのが大きな魅力と言えます。

フレックスタイム制度は従業員が仕事のパフォーマンスを高めつつ、プライベートとのバランスを取りやすくすることが主な目的です。

なかには、コアタイムやフレキシブルタイムのないスーパーフレックスタイム制(フルフレックス)を導入している企業もあります。法的義務はありませんが、仕事と家庭の両立に有効な制度です。

子育てに理解のある企業の特徴

子育てしながらの転職は、通常よりも勇気がいるもの。転職後に後悔しないためにも会社選びは重要です。

以下に挙げる「子育てに理解のある企業の特徴」を確認し、企業選びの際の参考にしてください。

子育てに理解のある企業の3つの特徴

  • 特徴1:社員の女性比率が高い
  • 特徴2:柔軟な勤務制度を導入している
  • 特徴3:独自の育児支援制度がある

子育てに理解のある企業は、まず女性社員への待遇を改善する傾向にあります。そのため女性社員の比率が高い、もしくは男女差が大きくない企業は子育て中の女性が働きやすい企業だと言えます。

また女性社員の多い職場であれば、子育て経験者が多い可能性も高いでしょう。子どもの体調不良で急な休みを取得する場合にも、周囲の理解を得やすいと言えます。

女性社員や女性管理職の比率については企業サイトや求人ページを確認し、記載がなければ厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」をチェックしてみてください。

くわえて時短勤務、フレックスタイム制度、在宅勤務(リモートワーク)など、仕事とプライベートを両立できるように柔軟な働き方を提供している企業も、子育てとの相性が良いと言えます。

子どもの体調に合わせて在宅勤務に変更したり出社時間を遅くしたりすれば、仕事への支障を最低限に抑えられます。

企業によっては保育手当や提携保育施設の利用支援といった独自の制度を設けているので、求人情報を確認すると良いでしょう。

子育てに理解のある企業を見つけるポイント

次に、子育てに優しい企業を求人情報から見つける際のポイントを紹介します。

実はWebサイトで「子育て支援に力を入れています」と謳っていても、ふたを開ければ実績がなかった…というケースは少なくありません

以下のポイントを押さえて、本当に子育てしやすい企業を見つけましょう。

子育てに優しい企業を求人情報から見つける3つのポイント

  • ポイント1:育休取得率や復職率のデータを開示しているか
  • ポイント2:厚生労働省の「くるみん」「プラチナくるみん」認定を受けているかどうか
  • ポイント3:転職・就職向けの口コミサイトに現役社員や元社員の口コミがあるか

「くるみん」「プラチナくるみん」とは、厚生労働省が子育て支援に対して一定の水準を満たした企業に付与する認定マークのことです。この認定を受けている企業は育児支援に関する知識があり、取り組みを推進していることになります。
※参照:子育て・介護支援への取り組み/株式会社日立社会情報サービス

例えば「くるみん」よりも高水準の「プラチナくるみん」認定を受けている株式会社日立社会情報サービスでは、以下のような独自の制度が設けられています。

  • 子の看護休暇制度…子1人につき5日/年(半日・時間単位行使可)、小学校就学前:100%給与補償、小学校就学中:40%歩引き
  • 家族看護休暇制度…家族(配偶者・子など)の看護を行うための休暇で5日/年(100%給与補償)
  • カフェテリアプラン…子ども教育・介護メニュー利用に対する補助、育児・介護施設利用料、送迎サービスに対する補助

有給とは別に給与を補償してくれる休暇制度があるのは、子育て世帯にとって心強いですよね。

また子どもが小学校卒業年度末まで短時間勤務制度(フレックスタイムあり)を選択できるため、長期間にわたる育児支援を行っている点も特徴です。

都道府県別のくるみん、プラチナくるみん認定企業一覧はこちらよりご確認ください。
厚生労働省:くるみん認定、プラチナくるみん認定及びトライくるみん認定企業名都道府県別一覧

そのほか、口コミサイトの評価もぜひ参考にしてください。オープンワークや転職会議といった企業の口コミ専門サイトはもちろん、エン転職などの転職サイトにも企業ごとの口コミが掲載されています。

Googleマップで企業を検索するのも、サイトには書かれていないようなリアルな内容や、カスタマー視点での口コミも発見できるのでおすすめです。

口コミを参考にする際、単に数字だけを見て判断してはいけません。どんな企業でも合う人・合わない人は必ずいるからです。

書かれている内容を注視し、自分にとって合うかどうかを判断基準にしましょう。

現役社員や元社員の話を直接聞ける機会があれば、積極的に参加してください。

時短勤務・フレックスOKの転職を成功させる7つのコツ

ここでは子育てと仕事の両立に最適な時短勤務・フレックスOKの転職を成功させるコツについて、7つ紹介します。

1. 自己分析を行う

転職活動では、まず自己分析を行いましょう。自己分析は「現在の状況と希望を明確に」し、「優先順位を設定」する作業です。

子育ての状況や自身の希望する働き方(勤務時間、職種、勤務地など)を具体的に洗い出し、自分にとって理想的な働き方を明らかにします。

ここがブレてしまうと、以降の転職活動が上手くいきません。

子育て中は時間の制約が多く、急なトラブルも覚悟しておかなければなりません。転職で何を重要視するのか(柔軟な勤務時間、在宅勤務の可否、通勤時間など)を明確に順位付けしましょう

2. 企業リサーチを徹底する

次に前項の「子育てに理解のある企業の特徴と見つけ方」を参考に、子育て支援制度が充実している企業を探しましょう。

まずは企業の公式サイトや求人ページで、育児休暇制度や時短勤務制度、フレックスタイム制度の有無とその実施状況を確認します。

さらに口コミサイトやSNSなどで、実際に働いている社員の意見やレビューを調べ、子育て中の社員にとって本当に働きやすい環境が整っているかをチェックしましょう。

口コミサイトやSNSは、会社説明会やセミナーだけではわからない企業の社風や実態を知れるのでおすすめです。

3. 転職エージェントを活用する

転職活動に充てる時間が限られている子育て中のワーママにとって、転職エージェントは非常に有効です。

転職エージェントは企業の情報を豊富に持っているため、自分の希望やニーズにマッチした企業を厳選して紹介してくれます。

ポイントは転職エージェントに希望条件をしっかりと伝えることです。時短勤務やフレックス勤務が可能な企業や子育てとの両立がしやすい企業を紹介してもらうようにしましょう

4. 柔軟性を強調した履歴書と職務経歴書の作成

応募する企業が決まったら、履歴書と職務経歴書を作成します。

前職での経験に加えて、時間管理能力やマルチタスクのスキル、問題解決能力など、子育てを通じて培ったスキルを具体的に記載することもおすすめです。

時短勤務やフレックスタイム制での実績がある場合は、その経験を強調し、効率的に業務が進められる能力をアピールしましょう。書き方に不安がある方は、転職エージェントに相談しても良いですよ

5. 面接準備をしっかり行う

面接は準備が8割と言われるほど、準備の有無は合否を大きく左右します。

子育て中の転職面接で聞かれる質問を想定して、あらかじめ回答を考えておきましょう

面接練習は1人でも行えますが、ここでも転職エージェントの活用をおすすめします。エージェントとの面接リハーサルはかなり実践に近い形で行えるため、本番でも落ち着いて臨めるはずです。

また逆質問では、実際にフレックス勤務や時短勤務を利用している社員の数や、企業のサポート体制についてなど、子育てに対する企業の姿勢について確認する質問をすると良いでしょう。

具体的な質問内容については後述していますので、参考にしてください。

6. 情報交換する

転職活動中はできるだけ、子育て中の転職経験者と積極的に情報交換することをおすすめします。

子育て中は、ただでさえ孤独を感じがちです。

同じ状況で転職を成功させた人たちから成功事例やアドバイスを聞くことは、自身の転職活動の参考になるだけでなく、モチベーションのアップにもつながるでしょう。身近に相談できる人がいなければ、同じ状況の人をSNSで探してみると良いですよ

7. 心構えと準備を整える

転職活動は時間がかかる場合もあるため、焦らずにじっくりと取り組む姿勢を持つことが重要です。

昨今、転職者が増えていると言われていますが、転職成功率は45.2%という統計が出ており、実はあまり高くないことがわかります。そのため、すぐに転職が成功しなくても不安にならず、じっくりと転職活動を進める必要があります

もし希望通りの転職がすぐに見つからない場合でも、現在の職場でできる柔軟な働き方の模索や、スキルアップのための準備を進めておくと良いでしょう。

※参考:中途採用に係る現状等について/厚生労働省

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面接の際に確認すべきポイント

書類選考を通過し、面接の連絡がきたら、面接日までに質問する内容をあらかじめ考えておきましょう。

面接での質問数は3〜5つが妥当です。

柔軟な勤務制度や子育て支援制度の有無、育児休業や復職支援の実績など気になる点が多くあるかもしれませんが、企業サイトに記載されている内容は省略し、それ以外の内容に絞ります。

面接時の質問例

「時短勤務やフレックスタイム制度、在宅勤務は可能でしょうか?また実際に利用している社員の割合を教えていただけますか?」

→制度の有無だけでなく、実際に制度がどれくらい活用されているかを具体的に確認することで、制度が形式的でないかを見極められます。

「育児中の社員に対するサポートや周囲の理解度についてお伺いしたいのですが、育児に関する相談や悩みを共有できる場はありますか?」

→特に転職してすぐは同僚や上司に悩みを相談しづらいため、第三者に相談できる場があるかどうかも確認しておきたいポイントです。

ただし面接で制度や福利厚生のことばかり質問してしまうと、プライベートを優先する人物だと思われて不採用になってしまう可能性があります

「御社で長く働きたいので」という前置きを入れ、転職への意欲も一緒に伝えたうえで、働き方について相談しましょう。

時短・フレックスで働きやすい3つの業界

ここでは厚生労働省の「就労条件総合調査 (令和2年)」が公開している、フレックスタイム制度の導入率が高い業種を紹介します。

※参考:就労条件総合調査/厚生労働省

1. 情報通信業

情報通信業とは、電話業や放送業、インターネット付随サービス業などを指します。

NTTやYahoo!、Googleなどがその代表例です。これらの企業ではIT技術やデジタルツールを活用した業務が中心であり、業務の進行が場所や時間に制約されない特徴があります。

この業界では労働生産性を高めるためにも働く時間に自由を持たせることが有効と考えられており、従業員の柔軟な働き方をサポートするインフラも整っています。

2. 金融業、保険業

金融・保険業界のフレックスタイム制度の導入率が高い理由の一つは、特定の時間帯に直接的な対面業務を必要としない職種が増えていることです。

例えばデータ分析、リスクマネジメント、マーケティング、商品企画など、デスクワークが中心となる部門では、働く時間帯に制約がありません。

また金融業界は競争が激しく、優秀な人材を確保するために柔軟な制度を導入している企業が多い傾向にあります。

3. 電気・ガス・熱供給・水道業

電気・ガス・水道などのインフラ業界は、24時間体制でサービスを提供する必要がありますが、現場作業とは別に、技術者や管理部門ではフレックスタイム制度が導入されています。

特にメンテナンスの計画や技術的な管理、データ解析といったバックオフィス業務は時間帯に制約が少なく、成果重視の職種と言えます。

時短勤務で働くことのメリットとデメリット

前述のとおり、時短勤務は育児・介護休業法によってすべての企業で義務付けられている制度です。

従業員の権利として利用できますが、メリット・デメリットそれぞれを理解したうえで検討するようにしましょう。

時短勤務で働くメリット

時短勤務の最大のメリットは、仕事とプライベートの両立がしやすくなる点です。勤務時間が短くなることで、育児や介護、自己研鑽、趣味の時間を確保でき、ワークライフバランスを実現できます。

特に育児中の親にとっては、子どもとの時間を大切にしながら仕事も継続できるのは大きな利点です。

また時短勤務では仕事に追われる時間が短縮されるため、フルタイム勤務に比べてストレスが軽減されやすくなります。

忙しい生活の中で短時間労働は心の余裕を生み、結果的に仕事の質が向上することも期待できます。

時短勤務で働くデメリット

時短勤務は勤務時間が短縮されるため、当然のことながら給与も比例して減少します。フルタイム勤務と比べて家計への負担を大きくする可能性があり、収入面はしっかりと検討すべき点です。

また時短勤務では、フルタイム勤務に比べて業務量や責任範囲が制限されることもデメリットとして挙げられます。

プロジェクトへの関与が制限されることで、スキルや経験を積むチャンスが少なくなり、昇進や昇給に影響が出る可能性もあります。

実際、時短勤務をしている間にフルタイムの同僚が昇進し、焦りを感じてしまうケースは少なくありません。

また子どもの体調不良で急な休みを取る際など、周囲への負い目を感じてしまうこともあるでしょう。

しかしフルタイム勤務に戻る前段階として時短勤務を選択することで、段階的に職場復帰を進めることが可能です。

キャリアアップを目指したい方は、時短勤務の期間をあらかじめ自分で設定してキャリアを形成していきましょう。

キャリアアップを目指すための戦略を立てよう

子育て中のワーママのなかには「時短勤務はキャリアアップできない」と思っている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、時短勤務をしていてもキャリアアップは可能です。ここではキャリアアップを目指すための3つのポイントを紹介します。

1. 目標を明確に設定する

まずはキャリアアップのための目標を明確に設定しましょう。

例えば「課長まで昇進する」「お給料が月●円になるまで頑張る」「●年後に独立する」など、具体的な昇進やスキル向上の目標を持つことで時短勤務の中でもブレずに方向性を保てます。

短期間での達成が難しい場合も、段階的に進められる小さな目標を設定し、着実に前進することが大切です。

2. 上司に自分の意思を伝える

従業員の評価や昇進を決める上司とは、日頃からコミュニケーションを取っておくことが重要です。

特に前述したような明確な目標は、必ず上司と共有すべき。時短勤務を選択していても、キャリアアップへの意欲があることを明確に伝えておきましょう

目標を共有しておけば上司が協力してくれる可能性があることはもちろん、意思表示がないと「仕事のモチベーションが低いのではないか」と勘違いされてしまう場合もあります。

現在の状況やどのような仕事がしたいのかなどを定期的に伝えておくだけで、やりたい仕事が舞い込んでくる可能性は飛躍的に高まるでしょう。

3. スキルアップする

時短勤務で限られた仕事しかできない間は、隙間時間を使ってスキルを磨くこともキャリアアップにつながります。

スキルアップには様々な方法がありますが、比較的取り組みやすい以下の方法がおすすめです。

  • オンラインコースやウェブセミナーを受講する
  • 専門書籍の読書
  • オンラインコミュニティへ参加する
  • 資格を取得する

どの方法をとっても時間を確保するためにはスケジューリングを徹底する必要がありますが、「かえって効率良い時間管理ができて一石二鳥になった」という意見もよく聞かれます

毎日忙しい中、少しずつ積み重ねてコツコツと取り組むしかありませんが、やってみる価値はあるでしょう。

実際の成功事例:子育てしながら時短への転職に成功した人の声

子育てしながらの転職を進めるには勇気がいりますが、実際に転職を成功させた人たちも多くいます。

今回はフルタイムから時短勤務への転職に成功したOさんに、転職を決めた理由や転職活動の様子などを詳しく伺いました。

フルタイムの保育教諭から時短勤務へ転職を決めたOさんの事例

新卒から保育教諭として正職員で働いていたOさんは、2人の子どもの産休・育休を経て再びフルタイムで復職しました。

夫や実家に頼りながら子育てや家事と仕事を両立していたOさんですが、長子が年長になるタイミングで転職を検討し始めたそうです。

そんなOさんの体験談を聞くため、鎌上さんが取材・インタビューを行いました。

フリーリクルーター・人材採用担当の鎌上 織愛(かまがみ おりえ)「転職を考えるようになったタイミングや具体的なきっかけを教えてください。」

Oさん

元々は、転職してもフルタイムで働きたいという希望がありました。ただ当時働いていた職場は持ち帰りの作業が多く、行事などで土日に仕事が入ることもよくありました。シフトの融通もききづらかったため、子どもが小学校に上がったときに子育てとの両立が保育園と同じようにはできないと感じたんです。

そこで小学校に上がってもやっていけるかどうか、長子が小学校に上る前の年長のうちに転職をして様子を見ようと思ったのが始まりでした

フリーリクルーター・人材採用担当の鎌上 織愛(かまがみ おりえ)「実際にどのように転職活動を行なったのでしょうか。」

Oさん

まず長子が年中のうちに職場には退職の意思を伝え、3月末付けで退職しました。4月からすぐにハローワークへ行き、事務職へ転職するために職業訓練を受けることにしたのです。人生で初めての転職だったので、職員の方から履歴書の書き方や面接の受け方などいろいろなことを教わりながらの転職活動でしたね。

ただ履歴書を書くために自己分析を行なったり、事務職の勉強をしたりしていると、改めて自分はやっぱり子どもと関わる仕事がしたいんだなということに気付かされました。そこでたまたま障害者福祉施設で保育教諭の募集があるとハローワークから紹介をいただき、選考に進むことに。トントン拍子で4月中には採用が決まりました。

フリーリクルーター・人材採用担当の鎌上 織愛(かまがみ おりえ)「素晴らしいですね!それでは転職で大変だったことは、それほどありませんでしたか?」

Oさん

いえ、そこからが大変でした。その施設が、実はかなりのブラックだったんです…。毎日のように残業が続いて、朝も子どもが起きるか起きないかくらいの時間には出社しなければなりませんでした。気がついたら全然子どもと触れ合う時間がなくなっていて「なんのために転職したんだっけ?」と思いながらも、慣れない仕事とあまりの多忙さに、冷静さを欠いてしまったんですね。

転職して2ヶ月ほどでパニック障害を発症してしまい、夫や家族にも申し訳ないし、情けないしで…。あの時期の記憶がスッポリ抜けているほどです。

フリーリクルーター・人材採用担当の鎌上 織愛(かまがみ おりえ)「それはお辛かったですね。その後、今の職場に決まるまでにはどういった経緯があったんでしょうか。」

Oさん

それもたまたまなのですが、元の職場の園長から「調子はどう?」と連絡をいただいたんです。現状をありのまま伝えたら、「良かったら戻ってこないか?」と声をかけてくださって。時短職員でも構わないとのことだったので、再びお世話になることを決めました。

フルタイムを希望していたものの、障害者福祉施設での経験を経て、やっぱり子どもと過ごす時間の確保を優先することにしたんです。フルタイムで働きたいけど、子育てを人に頼るのはもっと嫌だったんですよ。フルタイムは子どもが大きくなった時にいくらでも再挑戦できるけど、子育ては今しかできませんしね

フリーリクルーター・人材採用担当の鎌上 織愛(かまがみ おりえ)「時短勤務になったことで、どのような変化がありましたか?」

Oさん

今、長子は小学2年生になりましたが、改めてフルタイムでは生活が成り立たなかったなと思います。学童のお迎え時間は保育園よりも短いですし、夏休みなどの長期休暇は朝の8時からしか預かってもらえません。

朝も正職員でシフト勤務のときは起きる時間がバラバラで、子ども達の生活リズムにもあまり良くないなと思っていました。今は毎日同じ時間に起きて毎日子どもの登校を見届けて出勤できるようになりましたし、持ち帰りの仕事もないので夜も一緒に過ごせます

また先日、子どもが学校へ行き渋ったことがあったのですが、そういうときにフルタイムの正職員だったら自分の仕事が休めないのを理由に、無理やり子どもを学校に行かせていたと思います。そうした時間の余裕や気持ちの余裕が、1時間勤務が短くなるというだけで全然異なりますね

もちろん時短になることで固定給から時給に変わり、ボーナスもなくなるという給与面の変化は多少痛手の部分もありますが、「なんのために働いているかわからなくなる」ような働き方より、ずっと健やかで充実しています。

フリーリクルーター・人材採用担当の鎌上 織愛(かまがみ おりえ)
時短勤務になったことで様々な良い変化があったんですね!「フルタイム勤務はいずれ再挑戦できるけど、子育ては今しかできない」というお話は、特に胸に刺さりました。フルタイムは難しくても時短ででも仕事を続けていれば、キャリアは途絶えないということでもありますよね。今回は貴重なお話をありがとうございました。

子育て中の時短勤務・フレックスOKの転職でよくある質問と回答

Q1:子育て中の転職は難しいですか?

子育て中の転職は確かに勇気のいるものですが、決して難しくはありません

育児と両立できる環境を求めることで自分に合った働き方や企業に出会えるチャンスでもあり、前向きな姿勢で取り組むことが重要です。

時短勤務やフレックスタイム制、リモートワークを導入している企業も増えているため、以前と比べて柔軟な働き方ができる職場は見つけやすくなっていると言えます。

Q2:時短勤務で働くと収入がどれくらい減りますか?

例えば1日8時間勤務を6時間に短縮すると、基本的には給与も約25%減る計算です。

ボーナスについては法的に義務付けられた制度ではないため、支給の有無や支給額は会社によって異なります。

なかには時短勤務でもキャリアの成長を重視し、評価基準を工夫して収入が維持できる制度を導入している企業もあります。

Q3:子育てに理解のある企業をどうやって見つければ良いですか?

求人情報や企業サイトで各種支援制度を確認したりSNSで口コミを調べたりするなど、さまざまな方法がありますが、効率良く企業探しをしたいなら転職エージェントの活用がおすすめです。

育児支援制度の整った企業はもちろん、ニーズに合わせた求人を紹介してもらえます。

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Q4:子育て中の転職活動の進め方を教えてください。

子育て中の転職活動は、スケジュール管理が大切です。

まず家族やパートナーと協力し、転職活動に必要な時間を確保しましょう。身近な人の協力が難しい場合は、地域の一時保育や制度を活用します

急な発熱、行き渋り…子どもとの生活は、予測不可能な出来事の連続です。余裕を持ってスケジュールを組むこと、大事な用事の日は最悪のケースを想定しておくことが成功への鍵になるでしょう。

Q5:転職エージェントは利用すべきですか?

転職エージェントの利用は、子育て中の方には特におすすめです。

転職エージェントはニーズに合った求人を探してくれるだけでなく、履歴書の添削や面接対策、企業との条件交渉もサポートしてくれます

限られた時間の中、プロの力を借りてよりスムーズな転職活動を行いましょう。

Q6:時短勤務に関連する法律を教えてください。

時短勤務は「育児・介護休業法」によって定められています。これにより3歳未満の子どもを持つ労働者は、1日6時間までの短縮勤務が認められるのです。

他にも育児や介護を理由に勤務時間の変更を求める権利が保障されており、企業はこの法律に基づき労働者の申し出に対応する義務があります。

Q7:子育て中でもキャリアアップは可能ですか?

子育て中でもキャリアアップは十分可能です。

時短勤務やリモートワークを活用しながら、効率的に働くことで成果を出し、キャリアを積み重ねられるでしょう。

ただし家庭の事情やタイミングを考えながら、計画的に進める必要があります。全体的に見ればまだ少ないですが、女性管理職の数も少しずつ増えてきています。

Q8:面接で子育て中であることをどう説明すれば良いですか?

面接で子育て中であることを伝える際は、前向きに説明することが大切です。

例えば「現在、子育てをしながらも仕事に対する意欲や成長意識は変わりません。効率的に業務をこなし、家庭と両立するための時間管理スキルも磨かれました」などと伝えましょう。

Q9:育児休暇中に転職活動をしても問題ありませんか?

育児休暇中の転職活動は問題ありませんが、注意が必要です。転職活動を進める際は、現職の規定や育児休暇の条件を確認したうえで行いましょう

また転職先の企業には、育児休暇後の復帰をどのように考えているかを説明し、今後の仕事と育児の両立についての理解を求めることが望ましいと言えます。

Q10:転職後の職場で子育てに理解がない場合の対処法を教えてください。

しっかりと企業選びをしたつもりでも、いざ転職してみると子育てに理解がない職場だったというケースはあります。

そのような場合はまず上司や人事に対して、自分の状況や必要な支援について具体的に説明をし、可能な範囲で調整を図ります社内の相談窓口を利用することも一案です。

まとめ:時短勤務は全労働者が持つ当たり前の権利

子育てと仕事を両立するための手段として、時短勤務やフレックスタイム制度は非常に有効です。

時短勤務は法律で義務付けられた権利のため、現職で勤務時間を短くしたいという方は、まずはぜひ会社へ相談してみてください。

転職を成功させる秘訣は、自己分析で優先順位を設定することです。ここがしっかりと定まれば、企業探しは難しくありません。

今回紹介した方法を参考に、効率良く転職活動を進めていきましょう。

フリーリクルーター・人材採用担当の鎌上 織愛(かまがみ おりえ)キャリアカウンセラー
鎌上 織愛
2013年にキャリアコンサルタント資格取得後、人材派遣会社やベンチャー企業にて採用担当兼キャリアカウンセラーとして勤務。その後、求人広告業界にて制作・ライターを経験。2018年にキャリアカウンセラー兼ライターとして独立し、求人広告のライティングや学生・ 女性に特化した就活支援に従事する。専門学校生や転職希望者向け就活講座やビジネスマナー講座、フリーランサー向けビジネスセミナー、ハローワーク主催のライター養成講座など、数多くの講座やセミナーに登壇。