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仕事が向いてないと感じたら|原因の見分け方と判断の目安

【この記事の結論】
- 仕事が向いていないと感じる原因は適性とは限らず、経験・環境・適性の切り分けが先です。
「今の仕事は自分に向いていないのかもしれない」と感じながら出勤している方は少なくありません。ただ、そう感じる原因が本当に適性にあるのかは、感じている時点ではまだ分かりません。
この記事では、「向いていない」という感覚を経験・環境・適性の3つに切り分ける方法と、向き不向きを判断できる時期の目安を解説します。あわせて、辞める前に会社を変えずに試せる手と、判断がついたあとの進め方までを整理します。
続けるか、変えるか、辞めるかを決める前に、判断の材料をそろえたいあなたに向けた内容です。
「仕事が向いてない」と感じるのは甘えではない|この記事の使い方
「仕事が向いていない」と感じるのは甘えではありません。厚生労働省の令和7年の調査では、仕事や職業生活に強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者は67.5%にのぼります。
仕事で強いストレスを感じている労働者は67.5%
厚生労働省が令和7年に実施した「労働安全衛生調査(実態調査)」の結果が公表されています。現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっている事柄がある労働者の割合は67.5%でした。3人のうち2人が、強いストレスとなる事柄を抱えながら働いていることになります。
内容の内訳を見ると、最も多いのは「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」で、どちらも39.5%です。次いで「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が32.9%、「仕事の質」が30.7%と続きます。
「向いていない」と感じるきっかけになりやすいミスや失敗が、ストレスの内容としては最も多い部類に入っています。同じ状態にある人は珍しくありません。
※ 参考元:厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」(2026年公表)
「向いていないと感じること」と「実際に向いていないこと」は別のもの
「向いていない」という感覚は、いくつもの原因がひとつの言葉にまとまったものです。仕事量が多すぎるとき、教わっていない業務を任されたとき、評価に納得できないとき、いずれも同じ言葉が出てきます。
原因が違えば、次にやることも変わります。量の問題なら担当の調整で変わりますし、経験の問題なら時間で変わります。仕事の中身と適性がずれている場合だけは、業務内容を変えないかぎり変わりません。
この記事が探すことより先に切り分けから始めるのは、この違いが打つ手を決めるからです。
この記事で扱うことと、扱わないこと
この記事が対象にしているのは、すでに特定の仕事に就いていて、その仕事に違和感がある状態です。これから仕事を探す段階の内容は扱いません。次のテーマは、それぞれの記事で解説しています。
- 自分に合う仕事の見つけ方、適職・天職の違い、性格タイプ別の仕事例……「自分に合う仕事の見つけ方6ステップ」
- 何の仕事がしたいか分からない、やりたいことが決まっていない……「何の仕事がしたいか分からない人へ」
- やりたいことが「ない」と自覚したうえで転職を考えている……「転職したいけどやりたいことがない」
- メンタルの弱さが原因ではないかと感じている……「メンタルが弱いと感じる人へ」
- ·20代で「辞めたい」「疲れた」と感じている……「仕事を辞めたい・疲れた20代へ」
この記事で扱うのは、向き不向きの見極めと、続けるか変えるかを決めるための材料です。まずは、どんな場面でその感覚が出てくるのかを整理していきます。
【6つの場面】「仕事が向いてない」と感じるのはどんなときか
「仕事が向いていない」と感じる場面は、ミスの繰り返し、成果や評価、強みの不一致、やりがい、人間関係、将来像の6つに整理できます。どの場面が中心かによって、このあと確認することが変わります。感覚のまま抱えずに、まず場面に分けるところから始めます。
場面1:同じミスを繰り返している
同じ種類のミスが続くと、能力の問題だと考えやすくなります。厚生労働省の令和7年の調査でも、強いストレスの内容として「仕事の失敗、責任の発生等」は39.5%で最も多い部類でした。
ただ、ミスの原因は手順・業務量・経験のどれかに寄っていることが多くあります。手順が共有されていない、確認する時間が取れない、まだ回数を踏んでいない、といった状況です。
ミスが多いこと自体は、適性の有無を直接示すものではありません。同じ業務を担当している人の中でも、経験年数や引き継ぎの丁寧さによって頻度は変わります。
確認したいのは、同じ種類のミスなのか、毎回違う種類のミスなのかという点です。同じ種類が続くなら、手順や仕組みの側に原因が残っている可能性があります。たとえば確認の手順を紙に書き出しても同じミスが続くのであれば、進め方以外の要因を考える材料になります。
場面2:成果が出ない・正当に評価されていないと感じる
努力しているのに数字が伸びない、評価面談の結果に納得できない、という状態です。成果は本人の適性だけで決まるものではありません。
担当している顧客や案件、チームの体制、評価制度の設計によっても変わります。同じ人が別のチームに移って成果を出すことは珍しくありません。
成果が出ていないと感じているだけで、実際には一定の評価を受けていることもあります。半期の評価コメントや、任された仕事の内容を見返すと、判断の材料が増えます。
確認したいのは、同じ立場の人も同じように苦戦しているかどうかです。周囲も苦戦しているなら、環境側の要因が大きいと考えられます。評価そのものに納得できない場合は、評価の基準がどこにあるのかを上司に確認するところから始められます。
場面3:自分の強みやスキルを使えていない
これまで身につけたものが、今の業務で活きていないと感じる状態です。持っている力と求められる力がずれていると、働いている実感が薄くなります。
ただ、強みを言葉にできていないと、活きているかどうかの判定もできません。「人と話すのが得意」までで止まっていると、どの業務に当てはまるのかが見えないままになります。
反対に、強みが言葉になっていれば、今の業務のどの部分で使えていないのかまで絞り込めます。強みを言語化する手順は、「転職の自己PRの作り方」で解説しています。
場面4:仕事にやりがいや意味を感じられない
業務はこなせているのに、何のためにやっているのかが分からない状態です。この場合、適性ではなく、仕事の目的が見えていないことが原因になっていることもあります。
やりがいは、自分の成果が誰の役に立っているかが見えたときに戻ることがあります。反対に、担当が細かく分かれているほど、その行き先は見えにくくなりがちです。
この状態が半年以上続いているなら、業務の目的を上司と確認する場を一度持ってみるのも手です。やる気そのものが出ない状態が続いているなら、「仕事のやる気が出ない人へ」もあわせて確認してみてください。
場面5:職場の進め方や人間関係が合わない
会議の進め方、報告の頻度、評価の基準といった職場のやり方が合わない状態です。厚生労働省の同じ調査では、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が32.9%で3番目に多い内容でした。
この場合に合っていないのは、仕事の中身ではなく職場のほうです。同じ職種でも、会社が変われば進め方は変わります。
合わないと感じるものが、業務の内容なのか、その進め方なのかを分けて書き出しておくと、あとの切り分けがしやすくなります。職場のやり方に合わせる努力を重ねても消耗が減らないなら、合わせ続けること自体が負担になっているのかもしれません。
人間関係の負担が中心にあると感じるなら、「メンタルが弱いと感じる人へ」も参考にしてみてください。刺激の受け取りやすさが関係していると感じる場合は、「HSPで仕事が続かないのはなぜ?」もあわせて確認できます。
場面6:数年後にこの仕事をしている自分を想像できない
今は困っていないものの、この先を考えると気持ちが沈む、という状態です。目の前の業務ではなく、その先のキャリアに対する違和感といえます。
この感覚は、会社の将来性や役割の変化とも重なります。厚生労働省の調査では「会社の将来性」が20.5%、「役割・地位の変化等(昇進・昇格、配置転換等)」が17.7%でした。
将来像が描けない状態は、仕事の内容が合っていないときにも、会社の見通しが立たないときにも起こります。見直したいのは、不安の対象が仕事の中身なのか、会社の状況なのかという点です。
辞めどきかどうかを判断したい場合は、「仕事の辞めどきとなる14のサイン」で材料を整理できます。
※ 参考元:厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」(2026年公表)
6つの場面のうち、自分に近いものを次の表で確認してみてください。
場面 | よくある状態 | このあと確認すること | このあと読む場所 |
|---|---|---|---|
1 ミスの繰り返し | 同じ指摘が続く | 同じ種類のミスか、毎回違う種類か | 原因を3つに切り分ける |
2 成果・評価 | 数字が伸びない、評価に納得できない | 同じ立場の人も苦戦しているか | 原因を3つに切り分ける |
3 強みの不一致 | これまでの経験が活きていない | 強みを言葉にできているか | 辞める前に試せる5つの手 |
4 やりがい | 何のためにやっているか分からない | 成果の行き先が見えているか | 辞める前に試せる5つの手 |
5 進め方・人間関係 | 職場のやり方が合わない | 職種の問題か、会社の問題か | 原因を3つに切り分ける |
6 将来像 | 数年後を想像できない | 不安の対象は仕事内容か、会社か | 向き不向きはいつ判断できるのか |
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どの場面から入っても、次に確認する手順は同じです。上司や同僚から直接「向いていない」と言われた場合は、受け止め方が変わるため、後半のセクションで別に扱います。
ここからは、6つの場面の背後にある原因を3つに切り分けていきます。
その「向いてない」は適性の問題か|3つに切り分ける
「向いていない」と感じる原因は、経験の不足、環境とのミスマッチ、適性のずれの3つに切り分けられます。時間で変わるもの、場所を変えれば変わるもの、仕事の中身を変えないと変わらないものの違いです。
3つのうちどれかひとつに決まるとは限りません。実際には2つが重なっていることも多くあります。それでも、どれが中心にあるかを決めておくと、次にやることが定まります。
切り分け1:経験が足りないだけ(時間で変わる)
担当してからの期間が短く、まだ判断の材料がそろっていない状態です。この場合、時間が経つと感覚のほうが変わります。
見分ける手がかりは3つあります。1つめは、業務の全体像が見えているかどうかです。年間の流れを一度も通していない段階では、自分がどこでつまずいているのかも分かりません。
2つめは、教わった量です。手順書がない、質問できる相手がいないという状況では、経験の蓄積そのものが遅くなります。3つめは、同じ時期に入った人の状況です。同期も同じところでつまずいているなら、経験の問題である可能性が高くなります。
この段階でよくあるのは、覚えるべきことの多さを「能力が足りない」と読み替えてしまうことです。覚える量が多い時期は、誰にとっても消耗します。
経験の不足かどうかは、できるようになったことの数でも測れます。3か月前にできなかったことが今できているなら、蓄積は進んでいます。書き出してみると、感覚だけで判断していたことに気づく場合があります。
ただし、教わる機会がないまま時間だけが過ぎている場合は、経験の問題とは言い切れません。1年たっても手順が共有されないのであれば、それは環境側の課題です。
切り分け2:環境が合っていない(場所を変えれば変わる)
仕事の中身ではなく、働く場所や進め方が合っていない状態です。この場合は、職種を変えなくても、部署や会社が変わると感覚が変わります。
見分ける手がかりは、合わないと感じる対象がどこにあるかです。業務そのものより、会議の多さ、報告の頻度、決裁の通りにくさ、評価の基準といった「やり方」に不満が集まっているなら、環境側の要因が大きいといえます。
厚生労働省の令和7年の調査でも、強いストレスの内容として「仕事の量」が39.5%、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が32.9%を占めています。どちらも仕事の中身そのものではなく、量と関係の問題です。
心身の消耗が中心にあると感じる場合は、「メンタルが弱いと感じる人へ」もあわせて確認してください。
環境の問題かどうかを見るときは、社外の人の話を一度聞いてみると輪郭がはっきりします。同じ職種で働く知人に業務の進め方を聞くと、自分の職場のやり方が業界の標準なのか、その会社に固有のものなのかが分かります。
切り分け3:仕事の中身と適性がずれている(内容を変えないと変わらない)
業務の内容そのものが自分の得意や価値観と噛み合っていない状態です。3つのなかで、いちばん動かしにくい種類の違和感になります。
見分ける手がかりは、環境が変わっても同じ感覚が残るかどうかです。上司が変わっても、部署が変わっても、担当が変わっても同じ違和感が続くなら、仕事の中身のほうを見直す材料になります。
もうひとつの手がかりは、成果が出ている業務でも気持ちが動かないかどうかです。数字は出せているのに手応えがない状態は、能力の問題ではなく、価値観との距離を示していることがあります。
この切り分けに近いと感じた場合の進み先は、「自分に合う仕事の見つけ方6ステップ」です。やりたいことが決まっていない場合は、「転職したいけどやりたいことがない」が参考になります。
注意したいのは、忙しい時期にこの切り分けを行わないことです。消耗しているときは、環境の問題も適性の問題に見えます。少なくとも繁忙期を越えて、落ち着いた状態で確認してください。
実際に前職を辞めた人の理由を見ると、適性を挙げた人は4%前後
厚生労働省の「令和6年 雇用動向調査」を見ると、転職した人が前職を辞めた理由の内訳が分かります。この調査は、転職して新しい職場に入った人に、前の職場を辞めた理由を尋ねたものです。
個人的な理由のうち、「仕事の内容に興味を持てなかった」を挙げた人は男性で4.4%、女性で3.6%でした。「能力・個性・資格を生かせなかった」も、男性3.8%、女性3.7%にとどまります。
仕事の中身や適性を理由に挙げた人は、どちらも4%前後です。
個人的な理由で最も多いのは、内訳が示されていない「その他の個人的理由」で、男性20.2%、女性24.3%を占めます。これを除くと、男性で最も多いのは「給料等収入が少なかった」の10.1%です。次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」が9.0%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が8.6%と続きます。
女性では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.8%、「職場の人間関係が好ましくなかった」が11.7%、「給料等収入が少なかった」が8.3%と続きます。男女とも、上位に並ぶのは収入・人間関係・労働条件でした。
これは「向いていないと感じる人が4%しかいない」という意味ではありません。辞めるところまで進んだ人が最終的に挙げた理由は、収入・人間関係・労働条件に集まっている、ということです。
言い換えると、「向いていない」という感覚を紐解くと、実際には環境の条件が影響していることも珍しくありません。 だからこそ、切り分けを先に済ませておく意味があります。
この記事で切り分けを先に置いているのは、条件の問題を適性の問題として扱うと、次の職場でも同じことが起きやすくなるためです。
※ 参考元:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況」表5
【表】3つの切り分けと、確かめ方
3つの違いを1枚にまとめました。自分がどこに近いかを確認してみてください。
切り分け | どんな状態か | 確かめ方 | 変えられるもの |
|---|---|---|---|
1 経験が足りない | 担当してからの期間が短く、全体像が見えていない | 同期も同じところでつまずいているか。年間の流れを一巡したか | 時間。半年から1年で感覚が変わることがある |
2 環境が合っていない | 業務より、やり方・量・関係に不満が集まる | 上司や部署が変わったら和らぐか。同じ職種の別の会社ではどうか | 働く場所。異動や転職で変わる |
3 適性がずれている | 環境が変わっても同じ違和感が残る | 成果が出ている業務でも手応えがないか | 仕事の中身。業務内容を変えないと変わらない |
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3つのうち複数に当てはまる場合は、いちばん頻繁に出てくる場面がどれに近いかで決めてください。
1と2に近いなら、辞めなくても打てる手が残っています。3に近いと感じた場合でも、判断できる時期かどうかを次に確認してください。
【時期別】向き不向きはいつ判断できるのか
向き不向きの判断は、入社3か月では材料が足りず、担当を一巡した1年後から2〜3年目にかけて材料がそろってきます。大学を卒業して就職した人のうち、3年以内に離職した人は33.8%です。
ここで示すのは、我慢すべき期間ではありません。判断の材料がいつそろうか、という目安です。心身に不調が出ている場合は、時期の目安よりそちらを優先してください。
入社3か月以内:まだ判断材料がそろわない時期
入社から3か月は、業務を覚えることに時間の大半が使われる時期です。この段階で感じる「向いていない」は、慣れていないことの言い換えになっている場合が多くあります。
まだ分からないのは、繁忙期の負荷、年間の業務の流れ、自分が任される範囲の広がり方です。これらを一度も通していない状態では、比べるものがありません。
この時期にできるのは、判断ではなく記録です。合わないと感じた場面を日付つきで書き残しておくと、数か月後に読み返したときの材料になります。
記録するときは、出来事と、そのとき感じたことを分けて書いておくと役に立ちます。出来事だけなら後から検証でき、感じたことが並んでいれば当時の状態が分かります。
なお、試用期間中に辞められるかどうかという制度面の話は、「試用期間で辞めるのは甘え?」で解説しています。
1年目:入社前の想像との差が出やすい時期
入社1年目は、入社前に想像していた仕事と実際の業務との差が、いちばん大きく出る時期です。この時期の違和感は、適性のずれと経験の不足が混ざりやすいという特徴があります。
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」によると、大学を卒業して就職した人のうち、就職後3年以内に離職した人は33.8%でした。高校を卒業して就職した人では37.9%です。
3年以内という区切りで見ると、3人に1人ほどが最初の職場を離れています。入社から数年のあいだにこの仕事について考え込むこと自体は、珍しいことではありません。
1年を通すと、繁忙期と閑散期の両方を経験できます。年間の流れを一巡したかどうかは、判断材料がそろったかどうかの目安になります。
なお、この数字の母集団は、大学を卒業してすぐ就職した人です。転職を検討している社会人全体の離職率ではない点には注意してください。
※ 参考元:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
2〜3年目:向き不向きの材料がそろい始める時期
2年目から3年目にかけて、判断に使える材料が増えます。ひととおりの業務を経験し、評価を1回以上受け、後輩や新しい担当を持つ機会も出てくるためです。
この時期に確認したいのは、1年目に感じた違和感が残っているかどうかです。慣れによって消えたのであれば、経験の問題だったと分かります。
残っている場合は、その違和感が業務の内容にあるのか、職場のやり方にあるのかを見てください。 前のセクションの3つの切り分けが、ここで使えます。
評価を複数回受けていると、成果の出方に傾向が見えてきます。同じ種類の業務で毎回評価されている、あるいは毎回同じところで指摘されている、といった形です。
なお、短期間で辞めることが転職にどう影響するかは、「短期離職は何か月から不利?」で期間別に解説しています。
異動・昇進・担当変更の直後は判断しない
異動や昇進の直後は、判断を避けたほうがよい時期です。求められる役割が変わった直後は、経験の不足が一時的に大きくなるためです。
厚生労働省の令和7年の調査でも、「役割・地位の変化等(昇進・昇格、配置転換等)」を強いストレスの内容に挙げた人は17.7%いました。役割が変わること自体が負担になります。
この場合も、判断できるのは新しい役割で一巡してからです。少なくとも3か月から半年は、材料をためる時期として扱ってください。
「いつまでに決めるか」を先に決めておく
向き不向きの判断でいちばん消耗するのは、決まらないまま考え続けることです。期限を先に決めておくと、その日まではためる作業に集中できます。
決め方はかんたんです。「年間の流れを一巡した時点」「次の評価面談の後」「異動から半年後」のように、材料がそろう出来事に紐づけます。日付だけを決めると、根拠のない締め切りになります。
期限が来たら、書きためた記録を読み返して判断します。違和感が減っていれば経験の問題、同じ場面が繰り返し出てくるなら環境か適性の問題です。
期限を決めるときは、判断したあとに何をするかも一緒に決めておいてください。「続ける」と決めた場合の次の見直し時期まで決めておくと、また同じところで止まらずに済みます。
20代で「辞めたい」「疲れた」という気持ちが先に立っている場合は、「仕事を辞めたい・疲れた20代へ」もあわせて読んでみてください。
時期ごとの違いを表にまとめました。
時期 | そろっている材料 | まだ足りない材料 | この時期にやること |
|---|---|---|---|
入社3か月以内 | 日々の業務の進め方 | 繁忙期の負荷、年間の流れ、任される範囲 | 判断しない。合わないと感じた場面を記録する |
1年目 | 繁忙期と閑散期の両方、1回目の評価 | 複数年で見た成長の実感、役割の広がり | 記録を続ける。違和感の対象を書き分ける |
2〜3年目 | ひととおりの業務、複数回の評価、後輩指導 | 管理職としての適性 | 記録を読み返し、3つの切り分けに当てはめる |
異動・昇進の直後 | 前の役割での経験 | 新しい役割での経験 | 3か月から半年は判断しない |
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材料がそろう前に出した結論は、あとで揺り戻しが来やすくなります。反対に、期限を決めておけば、それまでの期間を準備に使えます。
向いてないと感じる仕事を続けるとどうなるか
向いていないと感じる状態が続くと、心身の負担、スキルと評価の積み上がりにくさ、選択肢の狭まりという3つの形で影響が出ることがあります。ただし、続けることに意味があるケースもあります。
心身に出る影響
合わないと感じながら働く状態が長く続くと、睡眠や食欲に変化が出る方がいます。朝の時間帯だけ気持ちが重い、休日も仕事のことが頭から離れない、といった形で表れることもあります。
厚生労働省の令和7年の調査では、強いストレスとなっている事柄がある労働者は67.5%でした。負担を抱えながら働くこと自体は珍しくありませんが、体調の変化が続く場合は別です。
眠れない日が続く、朝起きられない、食事がとれないといった状態が2週間以上続いている場合は、医療機関への相談を検討してください。仕事の判断より先に、体の状態を確認するほうが優先されます。
相談先は医療機関だけではありません。会社に産業医がいる場合は産業医へ、いない場合は自治体や国の相談窓口へ相談する方法もあります。転職だけが解決策になるわけではありません。
休職や受診の目安については、「適応障害とは?」で解説しています。
体調の変化は、本人がいちばん気づきにくいものです。家族や同居している方から「最近眠れていないのでは」と言われたことがある場合、その指摘も判断の材料になります。
スキルと評価が積み上がりにくくなる
合わないと感じる業務では、経験を積んでも手応えが残りにくくなります。手応えが薄いと振り返りの回数が減り、次に生かせる形で経験が残りにくくなるためです。
評価の面でも同じことが起こります。成果が伸びなければ任される範囲も広がらず、任される範囲が狭いままだと成果を出す機会も減ります。
この循環は、能力の問題というより、置かれた位置の問題です。同じ人が別の役割に移って評価が変わる例は珍しくありません。
とはいえ、合わないと感じる業務のなかにも、持ち出せる経験は含まれています。資料の作り方、社内の調整の進め方、数字の管理といった部分は、職種が変わっても使えるものです。
積み上がっていないと感じるときは、この1年で「できるようになったこと」を書き出してみるのが有効です。書き出す作業そのものが、次の判断の材料になります。
選択肢が狭まる前に動ける期間がある
年齢が上がるほど、未経験の職種に移る難しさは増していきます。とはいえ、職種を変えること自体が特別なことというわけではありません。
転職UPPPが30代の転職経験者700人に行った調査では、前職と異なる職種へ移った人は54%(378人)でした。転職後に年収が上がった人は63.9%です。
数字が示しているのは、30代でも職種を変えている人が半数を超えているという事実です。焦って動く必要はありませんが、動ける期間があることは知っておいて損はありません。
この調査は2026年1月下旬に、転職サービスを利用して転職した経験がある30代の男女700人(男性350人・女性350人)を対象に実施したものです。内訳は「30代700人の転職調査」で確認できます。
続けることに意味があるケース
続けるほうが合理的な場合もあります。ひとつは、判断材料がまだそろっていない場合です。前のセクションの時期の目安に照らして、材料をためる段階にあるなら、その期間は準備に使えます。
もうひとつは、いま身につけている経験が次に持ち出せる場合です。担当している業務が職種を越えて使えるものであれば、続けた期間はそのまま持ち出せます。
3つめは、環境の変化が近い場合です。異動の希望を出している、上司の交代が決まっている、体制の見直しが予定されている、といった状況なら、変化の後にもう一度見たほうが判断が正確になります。
どのケースでも、続けることと我慢することは別のものです。期限と目的を決めて続けるのであれば、その期間は準備にあてられます。
反対に、期限も目的も決めないまま続けている状態は、消耗だけが残りやすくなります。続けると決めた場合も、いつ見直すかをあわせて決めておいてください。
続ける・変える・辞めるのどれを選ぶ場合でも、判断の前に打てる手があります。次のセクションでは、会社を変えずに試せる5つの手を見ていきます。
辞める前に試せる5つの手|会社を変えずにできること
「向いていない」と感じたときは、辞める前に、場面の書き出し、担当範囲の相談、異動の相談、社外への相談、休養という5つの手を試せます。いずれも会社を変えずに始められるものです。
5つは順番に並んでいます。手1から順に進めると、相談するときの材料がそろっていきます。
手1:「合わない」と感じた場面を書き出して具体化する
最初にやるのは、合わないと感じた場面を具体的に書き出すことです。「向いていない」という言葉のままでは、誰にも相談できません。
書き方は決まっています。日付、どんな業務だったか、何が起きたか、そのとき何を感じたか。この4つを1行ずつ並べます。2週間分たまると、同じ種類の場面が繰り返し出てくることに気づきます。
書き出したものは、そのまま相談の材料になります。上司に伝えるときも、「向いていない気がします」より「この種類の業務で、こういうことが3回起きています」のほうが話が進みます。
書く場所はどこでも構いません。スマートフォンのメモでも、手帳の隅でも同じです。大事なのは、その日のうちに書くことと、2週間続けることの2つだけです。
強みの言語化まで進めたい場合は、「転職の自己PRの作り方」と 「自分に合う仕事の見つけ方6ステップ」にワークの手順があります。
手2:担当業務の範囲と量を相談する
次に試せるのは、担当している業務の範囲と量の相談です。厚生労働省の令和7年の調査では、強いストレスの内容として「仕事の量」が39.5%で最も多い部類でした。量の問題は、担当の調整で変わることがあります。
相談する相手は直属の上司です。伝えるのは、減らしてほしいという要望ではなく、手1で書き出した事実です。どの業務にどれくらい時間がかかっているかを並べると、話が具体的になります。
このとき、増やしてほしい業務も一緒に伝えておくと調整が進みやすくなります。得意な業務の比率が上がるだけで、感覚が変わることは珍しくありません。
量そのものを減らせない場合でも、締め切りの並び方や確認の回数を調整してもらえないか聞いてみてください。相談は一度で終わらせず、1か月後にもう一度状況を伝えます。
上司に切り出しにくいと感じる場合は、「「仕事辞めたい」が言えない時の解決策5つ」の伝え方が参考になります。
手3:部署異動・職種転換を相談する
担当の調整で変わらない場合は、部署異動や職種の変更を相談する方法があります。会社を辞めずに、働く場所と仕事の中身を変えられる手段です。
相談の窓口は、直属の上司か人事です。社内公募の制度がある会社なら、その仕組みも確認してください。異動の希望は、多くの場合、年に1回か2回の面談で聞かれます。
伝えるときは、今の部署への不満ではなく、行きたい先で何をしたいかを中心にします。手1の記録から、力が出た場面を抜き出しておくと説明しやすくなります。
ただし、異動が決まってから判断できるようになるまでには時間がかかります。新しい役割で一巡するまでは、判断を保留にしておいてください。
希望が通らなかった場合も、伝えた事実は残ります。次の面談や体制変更のタイミングで話が動くこともあるため、1回で結論を出さないでください。
手4:社外に相談先をつくる
社内だけで抱えないことも、打てる手のひとつです。社内の人は同じ環境にいるため、環境そのものの評価がしにくくなります。
公的な相談窓口があります。厚生労働省の「こころの耳」では、働く人のメンタルヘルスに関する相談窓口が案内されています。会社に産業医がいる場合は、産業医に相談する方法もあります。
キャリアの相談であれば、厚生労働省の委託事業として全国47都道府県に設けられた無料の相談窓口もあります。対面とオンラインのどちらでも受けられます。同じ職種で働く社外の知人に話を聞くだけでも、自分の職場のやり方が標準なのかどうかが見えてきます。
相談先を複数持っておくと、ひとつの意見に判断が引きずられにくくなるはずです。
社外に話すときは、会社名や個人が特定できる情報を避けてください。状況の説明だけでも、相談としては十分に成立します。
※ 参考元:厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」/キャリア形成・リスキリング推進事業(厚生労働省委託事業)
手5:休んで判断力を戻す
消耗している状態では、環境の問題も適性の問題に見えます。判断の前に休みを取ることは、遠回りではありません。
まとまった休みが取れる方は、有給休暇を続けて使う方法があります。3日以上あけると、業務から離れた状態でものを考える時間が持てます。休み明けに感覚が変わっているかどうかも、ひとつの材料になります。
体調に変化が出ている方の場合は、休暇では足りないこともあります。休職という制度があること自体を知っておくと、選べる範囲が広がるはずです。制度の内容と手続きは、「適応障害とは?」で解説しています。
やる気が出ない状態が続いている方は、「仕事のやる気が出ない人へ」の対処法もあわせて確認してみてください。
休みを取ること自体に気が引けるという声もあります。ただ、判断を誤ったまま動くほうが、あとの立て直しに時間がかかります。休養は準備の一部として扱ってください。
【表】5つの手を比べる
5つの手を、条件ごとに比べたものが次の表です。
手 | 誰に言うか | 収入への影響 | 効果が出るまでの目安 | 向いている状況 |
|---|---|---|---|---|
1 場面の書き出し | 誰にも言わなくてよい | なし | 2週間 | 何が合わないのか自分でも分からない |
2 担当範囲の相談 | 直属の上司 | なし | 1か月から3か月 | 業務量が多い、得意な業務の比率が低い |
3 異動・職種転換の相談 | 上司または人事 | なし(役職が変わる場合を除く) | 半年から1年 | 職場のやり方が合わない、別の業務に興味がある |
4 社外への相談 | 公的窓口、産業医、社外の知人 | なし | 1週間から1か月 | 社内の意見だけでは判断できない |
5 休養 | 上司(休暇の申請) | 有給休暇の範囲ならなし | 数日から数週間 | 消耗していて考えがまとまらない |
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手1・手2・手4の3つは、収入を変えずに始められます。手3は役職が変わる場合を除き、手5も有給休暇の範囲であれば収入に影響しません。手1にいたっては、誰にも言わずに今日から始められます。
これらを試したうえで、それでも「向いていない」という判断が変わらない場合もあります。次のセクションでは、その先の進め方を見ていきます。
「向いていない」と言われたときの受け止め方
「向いていない」と言われたときは、業務の進め方への指摘か、人格への否定かを分けて受け取ります。人格を否定する言い方や、業務上必要な範囲を超える指摘は、ハラスメントにあたる場合があります。
人から言われた言葉は、自分で感じた違和感より強く残るものです。だからこそ、内容を分けて受け取る作業を挟んでください。
言われた直後は、内容を検証する余裕がありません。数日おいてから、次の順番で確認してみてください。
誰が、何を根拠に言っているのかを分ける
最初に確認するのは、誰が言ったのかです。日常的に業務を見ている上司の言葉と、たまたま一度同席した人の言葉では、根拠の量が違います。
同じ言葉でも、誰が言ったかで重みが変わります。日々の業務を見ていない人の印象は、材料としては弱いものです。
次に確認するのは、何を根拠にしているかです。「この資料の作り方だと伝わらない」は業務についての指摘で、改善のしようがあります。「君はこの仕事に向いていない」は評価であり、そのままでは何を直せばよいのか分かりません。
評価の形で言われた場合は、根拠を聞いて構いません。「どの場面を見てそう思われましたか」と尋ねると、業務の話に戻せます。
根拠を尋ねると、相手が具体的な場面を挙げられないことがあります。その場合、言われた内容は業務の指摘ではなく、その場の印象だったと分かります。
反対に、具体的な場面が返ってきたなら、そこが改善の起点になるはずです。指摘された場面を手元の記録と突き合わせてみてください。
根拠を聞くときの言い方は、反論に聞こえない形にしておくと話が続きます。「直したいので、具体的にどの場面か教えてください」という尋ね方であれば、業務の相談として受け取られます。
業務上必要な範囲を超えた言い方はハラスメントにあたることがある
人格を否定する言い方に限らず、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動は、指導の範囲を越えている可能性があります。厚生労働省の令和7年の調査でも、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」を強いストレスの内容に挙げた人は32.9%いました。
厚生労働省は、職場のパワーハラスメントを3つの要素で定義しています。優越的な関係を背景とした言動であること、業務上必要かつ相当な範囲を超えていること、就業環境が害されることの3つです。業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指示や指導は、これに該当しないとされています。
ハラスメントにあたるかどうかの判断は、言葉の内容だけでなく、頻度、状況、関係性など個別の事情によって変わります。ここで断定はできません。
ただ、同じ言葉が繰り返されている、人前で言われている、業務と関係のない話に及んでいる、といった場合は、社内の相談窓口に記録とともに相談する選択肢があります。
記録の形式は簡単なもので構いません。日付、場所、同席者、言われた内容の4つを、その日のうちに残しておきます。あとから思い出して書くより、そのときに書いたもののほうが材料になります。
言われた内容を検証する3つの質問
言われた内容が妥当かどうかは、次の3つの質問で確かめられます。
- 同じことを、別の人からも言われたことがあるか。1人だけの評価であれば、その人との相性の問題である可能性が残ります。
- 言われた内容は、具体的な業務に置き換えられるか。置き換えられるなら改善の対象で、置き換えられないなら評価の押し付けです。
- 半年前と比べて、指摘の内容は変わっているか。変わっているなら成長は進んでいます。同じ指摘が続くなら、進め方を見直す材料になります。
3つとも当てはまらない場合、その言葉は判断の材料としては弱いものです。他人の評価より、手1で書きためた自分の記録のほうが材料になります。
言われた言葉をそのまま自分の評価にしてしまうと、切り分けの作業ができなくなります。まずは業務の話に置き換えられるかどうかだけを見てください。
人からの言葉は強く残りますが、判断の材料としては1つにすぎません。他の材料と並べたうえで、全体で見てください。
3つの質問に答えたうえで、それでも同じ指摘が続いているなら、その内容は業務の課題として扱えます。改善に取り組むか、担当を変えてもらうかの相談に進んでください。
20代で言われた場合は、「仕事を辞めたい・疲れた20代へ」にも受け止め方の整理があります。
※ 参考元:厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」(2026年公表)/厚生労働省「あかるい職場応援団」パワーハラスメントの定義
それでも「向いてない」と判断したときの進め方
「向いていない」と判断したあとは、辞めたい理由と次にやりたいことを分けて書き出し、在職中の情報収集から始めます。転職した30代700人のうち、前職と異なる職種へ移った人は54%でした。
「辞めたい理由」と「次にやりたいこと」を分けて書く
最初にやるのは、2つを分けて書くことです。混ぜたまま動くと、辞めたい理由の裏返しで次を選んでしまいます。
たとえば「残業が多いから辞めたい」の裏返しは「残業が少ない会社」です。これは条件であって、やりたいことではありません。条件だけで選ぶと、条件が満たされた後にもう一度同じ問いが戻ってきます。
書き分けるときは、辞めたい理由を左に、そこから離れたときにやりたいことを右に置きます。右側が埋まらない場合は、「転職したいけどやりたいことがない」と 「何の仕事がしたいか分からない人へ」に整理の手順があります。
右側を埋めるときの材料になるのが、手1で書きためた記録です。合わなかった場面だけでなく、力を出せた場面も残っているはずです。その共通点が、次にやりたいことの手がかりになります。
右側が空欄のまま動くと、条件だけで次を選ぶことになります。条件で選ぶこと自体は悪くありませんが、どの条件を最優先にするかは決めておいてください。
在職中に情報収集から始める
次の一手は、辞める手続きではなく情報収集です。在職中なら、収入が続いている状態で比べられます。
見るのは求人票だけではありません。同じ職種の人が実際にどんな業務をしているか、その職種が別の会社ではどう位置づけられているかを確認します。手1の記録があると、求人票の業務内容と照らし合わせられます。
在職中に始めるもうひとつの理由は、比べる相手ができることです。今の職場だけを見ていると、やり方が標準なのかどうかが分かりません。他社の求人票を10件ほど見るだけでも、位置づけが見えてきます。
この段階では、応募まで進む必要はありません。情報を集めて、手1の記録と照らし合わせるところまでで十分です。
在職中に活動していることが会社に知られないか気になる方もいます。進め方の注意点は、「在職中の転職活動はバレる?」にまとめてあります。
情報収集の期間は、長くても3か月をひとつの目安にしてください。それ以上続けると、集めること自体が目的になりやすくなります。
合う仕事の探し方そのものは、「自分に合う仕事の見つけ方6ステップ」にまとめてあります。この記事では、判断したあとにどこへ進むかまでを案内します。
30代の転職経験者700人のうち、職種を変えた人は54%
転職UPPPでは、30代の男女700人に転職についての調査を行いました。対象は、転職サービスを利用して転職した経験がある方です。内訳は男性350人・女性350人で、2026年1月下旬にインターネットで実施しました。
その結果、前職と異なる職種へ移った人は54%(378人)、同じ職種で転職した人は46%(322人)でした。職種を変えること自体は、半数を超える人が経験しています。
転職後の年収は、上がった人が63.9%、変わらなかった人が20.0%、下がった人が16.1%でした。転職活動全体への満足度は、大変満足とおおむね満足を合わせて58.0%です。
20代476人への調査も別に行っています(2025年11月中旬・インターネット調査)。事前に情報収集をした人の満足度は78.2%(432人)、しなかった人は40.9%(44人)でした。準備の有無が満足度を大きく分けています。
20代の調査では、転職後に年収が上がった人は69%でした。年代によって数値は変わりますが、準備をした人のほうが満足度が高いという傾向は共通しています。
これらは転職した人への調査であり、転職を勧めるための数値ではありません。職種を変えることが特別ではないこと、準備の有無で結果が変わることの2点を示すものとして読んでください。
調査の詳細は、「30代700人の転職調査」と 「20代476人の転職調査」で確認できます。
面接で「向いていなかった」をどう伝えるか
面接で退職理由を聞かれたとき、「向いていなかった」とだけ伝えるのは避けたほうが無難です。何が合わなかったのかが伝わらず、同じことが繰り返されると受け取られやすいためです。
ここでも使えるのが手1の記録です。合わなかった場面が具体的に残っていれば、事実として説明できます。感想ではなく事実を並べると、受け取られ方が変わります。
伝える順番も決めておくと落ち着いて話せます。担当していた業務、求められていた成果、力を出しにくかった部分、次にやりたいことの順です。
伝え方の方向性を、次の表に整理しました。
伝え方の方向性 | 避けたい言い方 | 言い換えの考え方 |
|---|---|---|
何が合わなかったかを事実で言う | 「仕事が向いていませんでした」 | 担当業務と求められた成果を具体的に述べ、どの部分で力を出しにくかったかを説明する |
力を出せた場面もあわせて言う | 「何もうまくいきませんでした」 | 成果が出た業務を挙げ、その共通点を説明する |
次にやりたいことにつなげる | 「今の会社が合わないので変えたい」 | これまでの経験のどこを次で使いたいかを述べる |
右にスライドできます →
具体的な例文は、「面接での退職理由の伝え方」にあります。転職した後で合わないと感じた場合の考え方は、「転職に失敗したらどうする?」を参考にしてください。
短期間で辞めることが選考にどう影響するかが気になる場合は、「短期離職は何か月から不利?」で期間別の考え方を確認できます。
ここまでで、切り分け・時期の目安・打てる手・判断したあとの進め方までを見てきました。最後に、読者からよく寄せられる質問をまとめます。
向いてない仕事は何年で見切りをつければいいですか?
判断は年数ではなく、担当を一巡して材料がそろったかで決まります。
入社3か月では、繁忙期の負荷も年間の業務の流れも経験していないため、比べるものがありません。
多くの場合、1年で担当が一巡します。
厚生労働省の調査では、大学を卒業して就職した人のうち3年以内に離職した人は33.8%で、この時期に判断すること自体は珍しくありません。
ただし、体調に変化が出ている場合は時期の目安より優先してください。
向いてない仕事を続けた結果、どうなりますか?
心身の負担、評価の伸びにくさ、選択肢の狭まりという3つの形で影響が出ることがあります。
合わないと感じる業務では手応えが残りにくく、経験が次に生かせる形で積み上がりにくくなります。
一方で、判断材料がまだそろっていない場合や、身につけている経験を次に持ち出せる場合は、続けるほうが合理的です。
続けると決めるときは、いつ見直すかもあわせて決めておいてください。
「仕事が向いてない」と思うのは甘えですか?
甘えではなく、仕事で強いストレスを感じている労働者は67.5%にのぼります。
厚生労働省の令和7年の労働安全衛生調査による数値で、内容として最も多いのは「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」の39.5%でした。
ただし、そう感じることと、実際に向いていないことは別です。
まずは経験・環境・適性のどれが中心かを切り分けてみてください。
上司に「向いていない」と言われました。パワハラにあたりますか?
ハラスメントにあたるかは、業務上必要な範囲を超えているかなど複数の要素で判断されます。
厚生労働省は、優越的な関係を背景とした言動、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動、就業環境が害されるものの3つをすべて満たすものと定義しています。
同じ言葉が繰り返されている、人前で言われている、業務と関係のない話に及んでいる、といった場合は記録を残してください。
日付と発言内容を残したうえで、社内の相談窓口や公的な窓口に相談する選択肢があります。
職場で受けた言動がハラスメントにあたるかどうかの判断基準を詳しく知りたい方は、あわせて参考にしてください。
ミスが多いのは向いていないからですか?
ミスの多さだけでは判断できず、手順・量・経験のどれが原因かを先に確認します。
確認したいのは、同じ種類のミスが続いているのか、毎回違う種類なのかという点です。
厚生労働省の令和7年の調査でも、強いストレスの内容として「仕事の失敗、責任の発生等」は39.5%で最も多い部類でした。
ミスが続くこと自体は、多くの人が経験している状態です。
転職の面接で「向いていなかった」と伝えても大丈夫ですか?
そのままでは不利になりやすく、何が合わなかったかを事実で説明する形に変えます。
担当していた業務、求められていた成果、自分が力を出しにくかった部分を具体的に述べると、同じことが繰り返されるという受け取られ方を避けられます。
力を出せた業務もあわせて伝えると、次の職場で何ができるかが伝わります。
具体的な例文は「面接での退職理由の伝え方」にまとめています。
適職診断の結果は信じていいですか?
診断結果は仮説として扱い、実際の仕事での手応えと突き合わせて確かめます。
診断は、自分では言葉にしにくい傾向を整理するのに役立ちます。
一方で、結果をそのまま結論にすると、実際の業務で得た手応えを見落とすことになります。
診断ツールの使い方については、「自分に合う仕事の見つけ方6ステップ」で手順を解説しています。
向いていないと感じますが、仕事自体は好きです。続けてもいいですか?
好きと得意は別に測れるため、続けながら担当の範囲を変える選択肢もあります。
好きな仕事のなかでも、力を出しやすい業務とそうでない業務があります。
どの業務で手応えがあるかを2週間ほど書き出したうえで、担当の比率を上司に相談してみてください。
好きだからという理由だけで負担の大きい状態を続けることは、おすすめできません。
まとめ|切り分けと期限を決めれば、「向いてない」は扱える
「向いていない」という感覚は、経験・環境・適性のどれが中心かを切り分け、いつまでに判断するかを決めると扱えるようになります。
切り分けの目安は3つでした。担当してからの期間が短く、全体像が見えていないなら経験の問題です。業務よりやり方や量に不満が集まるなら環境の問題、環境が変わっても同じ違和感が残るなら仕事の中身の問題になります。
判断できる時期にも目安があります。入社3か月では材料が足りず、年間の流れを一巡した1年目以降にそろい始めます。異動や昇進の直後は、新しい役割で一巡するまで保留にしてください。
厚生労働省の調査で、前職を辞めた理由に「仕事の内容に興味を持てなかった」を挙げた人は4%前後でした。上位に並ぶのは収入・人間関係・労働条件です。「向いていない」と感じている中身に、環境の条件が影響していることも珍しくありません。
取れる選択肢は、続ける・変える・辞めるの3つです。どれを選んでも構いませんが、期限と目的を決めずに続けている状態だけは消耗が残ります。まずは合わないと感じた場面を2週間書き出すところから始めてみてください。
会社を変えずに打てる手も5つありました。場面の書き出し、担当範囲の相談、異動の相談、社外への相談、休養です。このうち場面の書き出し、担当範囲の相談、社外への相談の3つは、収入を変えずに始められます。
切り分けの結果、仕事の中身を変える方向に進む場合は、「自分に合う仕事の見つけ方6ステップ」が次の一歩になります。やりたい仕事がまだ決まっていない場合は、「何の仕事がしたいか分からない人へ」から読んでみてください。
この記事を書いた人

転職UPPP編集部は、IT・Web業界に精通した起業家、マーケティングのプロフェッショナル、そして豊富な転職経験を持つライター・ディレクターが集結した専門チームです。起業や独立、法人営業、Webマーケティング、メディア運営など、それぞれのキャリアで培った知見を活かし、転職市場の動向を分析しながら、実体験に基づいた信頼性の高い情報を発信しています。転職の成功と失敗をリアルに経験したメンバーが、読者にとって本当に役立つコンテンツを提供します。
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