
この記事でわかること
- 正社員は無期、契約社員は有期の労働契約で働くのが一般的で、基本の違いは契約期間の定めの有無
- 契約社員の賞与や退職金は就業規則などで決まり、正社員との不合理な待遇差は法律で禁止されている
- 同じ会社で有期契約を更新して通算5年を超えると無期転換を申し込めるが、正社員になるとは限らない
「契約社員のままで大丈夫なのか」「正社員と何がそんなに違うのか」と迷っている方は少なくありません。どちらが上か下かではなく、契約の中身が違うと知るだけで、判断の材料はぐっと増えます。
この記事では、正社員と契約社員の違いを9項目の比較表で整理します。あわせて、ボーナス・退職金の考え方、契約更新と無期転換のルール、契約社員から正社員を目指す3つの方法を確認します。
契約社員として働いている方にも、これから契約社員の求人に応募するか迷っている方にも使える内容です。
- 1 | 正社員と契約社員の違いは「契約期間の定め」があるかどうか
- 2 | 【比較表】正社員と契約社員の違いを9項目で比べる
- 3 | 契約社員のボーナス・退職金はもらえる?同一労働同一賃金との関係
- 4 | 【メリット・デメリット】正社員と契約社員、それぞれの良い点と注意点
- 5 | 契約社員の契約更新と雇止めのルール
- 6 | 無期転換ルールとは?通算5年を超えたら申し込める要件
- 7 | 契約社員から正社員になる3つの方法を比べる
- 8 | 正社員と派遣社員の違いは?契約社員との比較もあわせて確認
- 9 | 【Q&A】正社員と契約社員に関するよくある質問
- 10 | 契約社員から正社員への転職を相談するなら:おすすめの転職エージェント
- 11 | まとめ|契約期間の定めを確認し、正社員を目指す道を比べて選ぶ
正社員と契約社員の違いは「契約期間の定め」があるかどうか
正社員と契約社員の基本的な違いは、労働契約に期間の定めがあるかどうかです。契約社員は期間を定めた労働契約(有期労働契約)で働き、正社員は期間の定めのない労働契約(無期労働契約)で働くのが一般的です。
ただし、「正社員」「契約社員」は会社がつける呼び方で、会社ごとに意味が少しずつ異なります。そのため本記事では、期間の定めのある労働契約で働く人を「契約社員」と呼んで説明します。
契約社員とは:期間を定めた労働契約(有期労働契約)で働く人
契約社員とは、「1年間」「6か月間」のように、あらかじめ雇用期間を決めて会社と直接契約を結んで働く人を指すのが一般的です。厚生労働省も、契約社員を「有期労働契約」の働き方として説明しています。
有期労働契約は、会社と働く人が合意して契約期間を定めたものです。そのため、契約期間が満了すると契約は終了するのが原則です。続けて働く場合は、契約を更新します。
ただし、更新を繰り返してきた場合などは、会社が更新しないこと(雇止め)が認められない場合があります。このルールは、後半の「契約更新と雇止めのルール」で確認します。
法律の上では、パートタイム・有期雇用労働法が期間の定めのある労働契約を結んでいる人を「有期雇用労働者」と定めています。「契約社員」「嘱託」「アルバイト」など呼び方が違っても、期間の定めがあれば、この法律では同じ「有期雇用労働者」として扱われます。
正社員とは:期間の定めがない契約で、会社が「正社員」と位置づける人
正社員とは、期間の定めのない労働契約で働き、会社が正社員として位置づけている人を指すのが一般的です。定年までの長期雇用を前提に、会社の賃金制度や人事制度が設計されていることが多い働き方です。
パートタイム・有期雇用労働法では、待遇を比べる相手として「正社員」ではなく「通常の労働者」という用語を使っています。「通常の労働者」と、各社が「正社員」と呼ぶ区分は、常に同じとは限りません。
統計でも、正社員は会社の呼び方で区分されています。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」は、「正社員・正職員」を「事業所で正社員、正職員とする者」と定義しています。
有期か無期かは「労働条件通知書」の契約期間の欄で確認する
自分の契約が有期か無期かは、労働条件通知書や雇用契約書の「契約期間」の欄で確かめられます。期間の定めが「あり」なら有期労働契約、「なし」なら無期労働契約です。
ただし、この欄でわかるのは有期か無期かまでです。会社の中で正社員として扱われるか、どの待遇が適用されるかは、雇用区分と就業規則もあわせて確認してください。
総務省の「労働力調査(基本集計)」2025年平均によると、役員を除く雇用者のうち「有期の契約」で働く人は1,445万人です。一方で、雇用契約期間の定めがあるか「わからない」と答えた人も505万人います。
会社は契約を結ぶときに契約期間を書面などで明示する義務を負っています(労働基準法第15条、同法施行規則第5条)。手元の書面と就業規則を見直すと、この後の比較表のどちらの列を読めばよいかの見当がつきます。
※ 参考元:厚生労働省「さまざまな雇用形態」/総務省統計局「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)平均結果の概要」/厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」主な用語の定義/パートタイム・有期雇用労働法第2条/労働基準法第15条・同法施行規則第5条(2026年9月確認)
「無期の契約社員」「短時間正社員」など、呼び方と契約期間が一致しない例もある
会社によっては、契約期間の定めがないのに「契約社員」と呼ばれる区分があります。無期転換した人を「無期転換社員」「無期契約社員」などの名前で区分している会社もあります。
反対に、厚生労働省は「短時間正社員」という働き方も紹介しています。フルタイムの正社員より所定労働時間が短く、期間の定めのない契約で、時間あたりの基本給や賞与・退職金の算定方法がフルタイムの正社員と同等の人を指します。
このように、呼び方だけでは契約の中身はわかりません。求人票や労働条件通知書を見るときは、「雇用形態」の名前と「契約期間」の欄をセットで確認するのが基本です。
※ 参考元:厚生労働省「さまざまな雇用形態」/厚生労働省 無期転換ポータルサイト「何がどう変わるの?Q&Aコーナー」(2026年9月確認)
契約期間の上限は原則3年、例外で5年
1回の契約で定められる期間の上限は、原則として3年です(労働基準法第14条)。一定の事業の完了に必要な期間を定める契約などを除き、3年を超える契約は結べません。
例外として、次の2つに当てはまる場合は上限が5年になります。
- 高度の専門的知識等を持つ人が、その知識等を必要とする業務に就く場合(厚生労働大臣が定める基準に該当するもの)
- 満60歳以上の人と結ぶ契約
上限は「1回の契約」の長さです。更新の回数や通算の期間には、別のルール(後半で扱う無期転換ルール)がかかわります。
※ 参考元:労働基準法第14条(e-Gov法令検索で2026年9月確認)
契約期間の違いがわかったところで、給与や保険など具体的な待遇がどう違うのかを比べていきます。
【比較表】正社員と契約社員の違いを9項目で比べる
正社員と契約社員の違いは、契約期間とその終わり方にはっきり表れます。一方で、社会保険や年次有給休暇のように、雇用形態ではなく働き方で決まるものもあります。
正社員と契約社員の違い一覧表
正社員と契約社員の違いを、9つの項目で比べると次のとおりです。
項目 | 正社員(無期労働契約) | 契約社員(有期労働契約) |
|---|---|---|
契約期間 | 期間の定めなし | 期間の定めあり。1回の上限は原則3年(例外5年。事業の完了に必要な期間を定める契約などを除く) |
契約の終わり方 | 本人の退職、定年、解雇など | 期間満了で終了するのが原則。ただし雇止めが認められない場合がある |
更新・上限の明示 | (更新はない) | 更新する場合の基準と、更新上限の有無・内容を明示する義務がある |
給与 | 就業規則・労働契約で決まる | 就業規則・労働契約で決まる。正社員との不合理な差は禁止 |
賞与(ボーナス) | 支給の有無・基準は就業規則などで定める | 同左。支給の有無は雇入れ時に明示される。不合理な差は禁止 |
退職金 | 支給の有無・基準は退職金規程などで定める | 同左。支給の有無は雇入れ時に明示される。不合理な差は禁止 |
社会保険・雇用保険 | 労働時間や雇用見込みなどの要件で決まる | 同左(雇用形態では決まらない) |
年次有給休暇 | 6か月継続勤務・8割以上出勤で10日(一定の短時間勤務者は所定労働日数に応じて比例付与) | 同左(雇用形態で区別されない) |
仕事内容・勤務地の変更の範囲 | 労働条件通知書で明示される | 同左(2024年4月から、契約の更新のたびに明示) |
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この表から読み取れるのは、契約期間に直接かかわる法律上の違いは主に上の3項目だということです。給与・賞与・退職金は会社の規程で決まりますが、正社員との間に不合理な差を設けることは禁止されています。
「契約社員だからボーナスはない」「契約社員は有給がない」とひとくくりにはできません。自分の労働条件通知書と就業規則で、項目ごとに確かめるのが確実な方法です。
※ 参考元:労働基準法第14条・第15条・第39条、同法施行規則第5条/労働契約法第17条・第19条/パートタイム・有期雇用労働法第8条/厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」/厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)」(2026年9月確認)
給与:統計でみる「正社員・正職員」と「それ以外」の差
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」で、常用労働者10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者以外)の月の賃金をみます。正社員・正職員は35万8,800円、正社員・正職員以外は24万1,700円です。正社員・正職員を100とした賃金格差は67.4です。
ただし、この「賃金」は2025年6月分の所定内給与額で、残業代やボーナスを含みません。また「正社員・正職員以外」は、事業所で正社員・正職員としていない人全体の値です。契約社員だけの値ではなく、期間の定めの有無による区分でもない点に注意してください。
年齢によって差の大きさは変わります。年齢階級別にみると次のとおりです。
年齢階級 | 正社員・正職員 | 正社員・正職員以外 | 賃金格差(正社員・正職員=100) |
|---|---|---|---|
25〜29歳 | 28万5,000円 | 22万7,900円 | 80.0 |
30〜34歳 | 32万1,100円 | 23万3,800円 | 72.8 |
35〜39歳 | 35万2,600円 | 23万300円 | 65.3 |
40〜44歳 | 37万9,000円 | 23万600円 | 60.8 |
45〜49歳 | 39万5,600円 | 23万3,400円 | 59.0 |
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この統計では、25〜59歳の範囲で、正社員・正職員は年齢階級が高いほど平均賃金が高く、それ以外は23万円前後でほぼ横ばいです。そのため、この範囲では年齢階級が高いほど差が大きくなっています。
ただし、これは2025年時点で年齢の違う人どうしを比べた数字です。同じ人の昇給を追いかけた統計ではないため、勤続による昇給や将来の収入を示すものではありません。
ただし、これは全体の平均です。個々の会社で契約社員の給与がどう決まるかは、その会社の賃金規程と労働契約によります。
※ 参考元:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」第6-1表(2026年3月24日公表)
社会保険・雇用保険・有給休暇は雇用形態ではなく働き方で決まる
健康保険・厚生年金保険、雇用保険、年次有給休暇は、雇用形態ではなく労働時間や勤続期間などの要件で決まります。契約社員でも、要件を満たせば正社員と同じように対象になります。
健康保険・厚生年金保険は、勤め先が適用事業所で、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上であれば加入します。4分の3未満の場合は、勤め先の規模や週の所定労働時間などの要件を満たすと加入の対象です。なお、2か月以内の期間を定めて雇われる場合などは、加入の扱いに例外があります。ただし、当初の期間が2か月以内でも、その期間を超えて雇用される見込みがある場合は、契約当初から加入の対象になります。
短時間で働く人の加入要件は、段階的に広がっています。日本年金機構によると、短時間労働者の賃金が月額8.8万円以上という要件は2026年10月に撤廃されます。企業規模の要件も、2027年10月から、厚生年金保険の被保険者数が36人以上の企業等に広がります(2026年9月確認)。
雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあれば、原則として加入します。厚生労働省は、パートやアルバイトなどの雇用形態にかかわらず、要件に該当すれば加入が必要だとしています。
年次有給休暇は、雇入れの日から6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤すると、原則10日与えられます(労働基準法第39条)。この条文は、正社員と契約社員を区別していません。
ただし、週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下の人は、所定労働日数に応じた日数になります(比例付与)。週以外の期間で日数を定める場合は、年間の所定労働日数が216日以下の人が対象です。
※ 参考元:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」/厚生労働省「雇用保険制度 Q&A~事業主の皆様へ」/労働基準法第39条(2026年9月確認)
仕事内容・勤務地の「変更の範囲」は労働条件通知書で確認する
仕事内容や勤務地がどこまで変わりうるかは、雇用形態で一律に決まるものではありません。2024年4月から、会社はすべての労働者に、雇い入れ直後の仕事内容・勤務地に加えて、その「変更の範囲」を明示することになっています。
有期労働契約の場合は、契約を更新するたびにこの明示があります。「転勤があるのは正社員だけ」と思い込まず、通知書の「変更の範囲」の欄を確認してみてください。
※ 参考元:厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」(2026年9月確認)
雇用形態の違いにかかわる、労働条件通知書で確認したい7項目
比較表の各項目は、労働条件通知書でおおむね確認できます。給与額や労働時間などのほかに、雇用形態の違いにかかわる点として、次の7つを見ておくと安心です。
確認しておきたい7項目
- 契約期間(期間の定めの有無と、開始日・終了日)
- 契約を更新する場合の基準(「更新する場合があり得る」などの記載と判断の基準)
- 更新上限の有無と内容(通算契約期間や更新回数の上限)
- 無期転換を申し込める機会と、転換後の労働条件(申込権が発生する契約の場合)
- 昇給・賞与・退職金の有無
- 仕事内容・勤務地と、それぞれの変更の範囲
- 待遇について相談できる窓口と、待遇差の内容・理由などの説明を求められる旨(後者は2026年10月1日以降の雇入れ時)
このうち更新の基準や更新上限は、正社員の通知書にはない、有期労働契約ならではの項目です。書かれている内容がわからない場合は、契約を結ぶ前に会社に質問しておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。
※ 参考元:労働基準法施行規則第5条/厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」/厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)」(2026年9月確認)
比較表のなかでとくに迷いやすいのが、ボーナスと退職金です。次は、この2つを同一労働同一賃金のルールとあわせて確認します。
契約社員のボーナス・退職金はもらえる?同一労働同一賃金との関係
契約社員にボーナス(賞与)や退職金が出るかどうかは、会社の就業規則や労働契約で決まります。ただし、正社員との間に不合理な待遇差を設けることは、パートタイム・有期雇用労働法で禁止されています。
「契約社員だから出ない」と一律には言えず、「規程でどう決まっていて、その差に合理的な理由があるか」がポイントになります。
ボーナス・退職金の有無は雇入れ時に明示される
賞与や退職金の有無は、会社が雇い入れのときに明示する項目です。有期雇用労働者を雇い入れるときは、昇給・退職手当・賞与の有無と相談窓口を、文書の交付などで明示することになっています。
まずは労働条件通知書で「賞与」「退職金」の欄を確認してみてください。「有」なら支給の基準、「無」なら正社員との違いの理由が、次の確認ポイントになります。
なお、退職を考えている方は、賞与の支給日と退職日の関係も確認しておくと安心です。賞与の支給日と退職日の関係を先に押さえておくと、退職の時期を決めやすくなります。
不合理な待遇差は禁止されている(パートタイム・有期雇用労働法第8条・第9条)
パートタイム・有期雇用労働法第8条は、有期雇用労働者と通常の労働者との間で、基本給や賞与などの待遇ごとに不合理な差を設けることを禁止しています。いわゆる「同一労働同一賃金」のルールです。
不合理かどうかは、次の事情のうち、その待遇の性質や目的に照らして適切なものを考えて判断されます。
- 業務の内容と、その業務にともなう責任の程度(職務の内容)
- 職務の内容や配置が変わる範囲(異動・転勤の範囲など)
- その他の事情
さらに第9条は、正社員と同視すべき人への差別的な取扱いを禁止しています。対象は、職務の内容が正社員と同じで、雇用関係が終わるまでの全期間を通じて、職務の内容と配置の変わる範囲も同じと見込まれる人です。
つまり、仕事の中身や責任、異動の範囲に違いがあれば、その違いに応じた差は認められる場合があります。「差があること」だけで違法になるわけではない点も押さえておきましょう。
2026年10月から:ガイドラインの賞与の記載が充実し、退職手当が追加
どのような待遇差が不合理にあたるかは、厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」に示されています。このガイドラインは2026年4月28日に改正が告示され(令和8年厚生労働省告示第203号)、2026年10月1日から適用されます。
賞与については、従来から次の考え方が示されています。
- 会社の業績などへの貢献に応じて支給する賞与は、同じ貢献の有期雇用労働者には、貢献に応じた部分について同じ賞与を支給する。貢献に違いがあれば、違いに応じた賞与を支給する
- 貢献に応じて賞与を支給する会社で、正社員には貢献などにかかわらず全員に何らかの賞与を支給しているのに、有期雇用労働者には支給しないことは「問題となる例」とされている
今回の改正では、賞与の記載が充実し、退職手当が新たに加わりました。賞与・退職手当には、労務の対価の後払いや功労報償などの目的が含まれうるとされています。
その目的が有期雇用労働者にも当てはまるのに、職務の内容などの違いに応じた均衡のとれた内容を支給しない場合があります。そのうえで、見合いとなる事情もない場合は、不合理と認められるものに当たりうるとされました。見合いの例は、労使交渉を経て、その目的が当てはまらない他の短時間・有期雇用労働者より基本給を高くしていることです。
ここで押さえておきたいのは、ガイドラインが「当たりうる」という書き方をしている点です。見合いとして基本給を高くしているかなど、個別の事情も考慮されます。ただし、基本給が高いことだけで待遇差が当然に認められるわけではありません。契約社員にも一律にボーナス・退職金が出る、という意味ではない点に注意してください。
※ 参考元:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」(改正後・令和8年厚生労働省告示第203号による改正)/厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)」(2026年9月確認)
待遇差の理由は会社に説明を求められる(同法第14条)
正社員との待遇差に納得できないときは、会社に説明を求めることができます。パートタイム・有期雇用労働法第14条第2項により、有期雇用労働者から求めがあれば、会社は待遇の違いの内容と理由を説明しなければなりません。
説明を求めたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをすることも禁止されています(同条第3項)。また、2026年10月1日からは、雇入れ時の明示事項に「待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる」旨が加わります。
社内で解決しない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。
※ 参考元:パートタイム・有期雇用労働法第14条(e-Gov法令検索)/厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)」(2026年9月確認)
待遇の違いを踏まえたうえで、正社員と契約社員のそれぞれにどんな良い点と注意点があるのかを整理します。
【メリット・デメリット】正社員と契約社員、それぞれの良い点と注意点
正社員と契約社員のどちらが良いかは、何を優先するかで変わります。雇用の安定や長期的な処遇を重視するなら正社員、期間を区切った働き方や仕事内容の明確さを重視するなら契約社員が合う場合があります。
ここで挙げる点は、多くの会社で見られる傾向の整理です。実際の条件は会社ごとに違うため、最後は自分の労働条件通知書で確かめてください。
正社員のメリット・デメリット
正社員の最大のメリットは、契約期間の満了によって雇用が終わる心配がないことです。無期労働契約なので、更新の不安を抱えずに長期的な生活設計を立てやすくなります。
厚生労働省の賃金統計を年齢階級別にみると、25〜59歳では、正社員・正職員は年齢階級が高いほど平均賃金が高い傾向があります。ただし、同じ人の昇給を追った統計ではなく、将来の収入の伸びを保証するものではありません。
一方で、会社の都合による異動や転勤、職務の変更を受け入れる範囲が広く設定されていることがあります。担う責任の範囲も、契約社員より広く求められる場合があります。
契約社員のメリット・デメリット
契約社員のメリットは、契約期間や仕事内容、勤務地があらかじめ決まっていて、見通しを立てやすい場合があることです。期間満了を区切りに、次の仕事へ移る計画を立てやすい面もあります。
デメリットは、更新されずに契約が終わる可能性があることです。更新を繰り返してきた場合などは雇止めが無効になることもありますが、更新の判断は契約ごとに行われます。
また、賞与や退職金の制度が正社員と異なる会社もあります。契約期間の途中で自分から辞める場合も、無期契約より制限があります。
【比較表】正社員と契約社員のメリット・デメリット
正社員と契約社員の良い点と注意点を、5つの観点で並べると次のとおりです。
観点 | 正社員 | 契約社員 |
|---|---|---|
雇用の安定 | 契約期間の満了で雇用が終わらない | 更新されない可能性がある(雇止めには制限あり) |
年齢階級別の平均賃金(統計) | 25〜59歳では年齢階級が高いほど高い(正社員・正職員全体の値) | 25〜59歳ではほぼ横ばい(正社員・正職員以外全体の値) |
仕事内容・勤務地 | 変更の範囲が広く設定されていることがある | 契約で決まっている範囲が明確な場合がある |
責任の範囲 | 広く求められる場合がある | 職務の範囲が限定されている場合がある |
辞めるとき | 民法上は退職の申入れから2週間で終了(民法第627条) | 期間の途中はやむを得ない事由が原則必要(1回の契約期間が1年超の場合は1年経過後に退職できる例外あり。合意による退職は別)。期間満了で区切りをつけやすい |
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この表から読み取れるのは、正社員は「長く続ける前提」、契約社員は「期間を区切る前提」でそれぞれの利点があるということです。どちらかが一方的に得というわけではありません。
※ 参考元:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」第6-1表/民法第627条・第628条/労働契約法第17条・第19条(2026年9月確認)
どちらを選ぶか迷うときは「優先順位」から考える
正社員と契約社員のどちらが合うかは、今の生活で何を優先したいかで決まります。次の3つを紙に書き出してみると、判断しやすくなります。
- 何年先まで同じ会社で働くつもりか
- 収入の安定と、仕事内容・勤務地の自由度のどちらを優先するか
- 家族の状況や学び直しなど、働き方に影響する予定があるか
働き方の軸そのものが定まらない場合は、働き方の優先順位を整理する手順から始めるのも一つの方法です。いまの仕事内容が合わないと感じている場合は、仕事内容が合わないと感じたときの見極め方もあわせて確認してみてください。
メリット・デメリットのうち、契約社員にとってとくに気になるのが「更新されるかどうか」です。次は、契約の更新と雇止めのルールを見ていきます。
契約社員の契約更新と雇止めのルール
有期労働契約は期間満了で終了するのが原則ですが、会社が自由に更新を打ち切れるわけではありません。契約期間中の解雇には「やむを得ない事由」が必要で、更新しない場合(雇止め)にも一定の条件で制限がかかります。
契約期間中の解雇は「やむを得ない事由」がある場合に限られる
会社は、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間に有期労働契約の労働者を解雇できません(労働契約法第17条第1項)。
厚生労働省は、契約期間中の解雇はやむを得ない事由がない限り認められず、無効と判断される可能性は無期労働契約の解雇より高いと考えられると説明しています。
有期契約で試用期間を設けている場合の解雇の考え方は、試用期間中の解雇が認められる条件で詳しく扱っています。
契約社員が期間の途中で辞める場合
契約期間の途中で働く側から辞める場合も、原則として「やむを得ない事由」が必要です(民法第628条)。ただし、1回の契約期間が1年を超える有期労働契約には例外があります。原則として、その契約の初日から1年を経過した日以後は、申し出ればいつでも退職できます(労働基準法第137条)。更新を重ねて通算1年を超えただけでは、このルールの対象にはなりません。
このルールは、一定の事業の完了に必要な期間を定めた契約には適用されません。労働基準法第14条第1項各号に当たる人(高度の専門的知識等を持ちその業務に就く人、満60歳以上の人)との契約も対象外です。会社と話し合い、合意のうえで退職日を決める場合は、これらとは別の扱いになります。手続きの進め方は、有期契約の途中で退職するときの注意点を確認してください。
契約更新しない(雇止め)が無効になる場合:雇止め法理の要件
会社が契約を更新しないことを「雇止め」といいます。労働契約法第19条は、次のどちらかに当てはまる有期労働契約について、雇止めを制限しています。
- 過去に反復して更新されたことがあり、雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
- 契約期間の満了時に更新されると期待することについて、合理的な理由があると認められるもの
これらに当てはまり、労働者が契約期間の満了日までに更新を申し込んだ(または満了後遅滞なく契約の締結を申し込んだ)場合が対象です。会社がその申込みを拒むことが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないときは、従前と同じ労働条件で更新されたものとみなされます。
どちらに当てはまるかは、雇用の臨時性・常用性、更新の回数、通算期間、契約期間の管理の状況、雇用継続を期待させる会社の言動などを総合して、個別に判断されます。「何回更新すれば守られる」という一律の基準はありません。
※ 参考元:労働契約法第17条・第19条/民法第628条/労働基準法第137条(e-Gov法令検索)/厚生労働省 無期転換ポータルサイト「何がどう変わるの?Q&Aコーナー」(2026年9月確認)
3回以上更新または1年超勤務している場合、雇止めは30日前までの予告が必要
厚生労働大臣が定める「有期労働契約の締結、更新及び雇止め等に関する基準」は、雇止めの予告を定めています。次の場合、会社は契約期間満了日の少なくとも30日前までに予告しなければなりません。
- 契約を3回以上更新している場合
- 雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している場合
ただし、あらかじめ契約を更新しない旨が明示されている場合は、予告の対象から除かれます。また、予告の対象となる契約では、雇止めの理由について証明書を請求すると、会社は遅滞なく交付しなければなりません。雇止めの後に請求した場合も同様です。
2024年4月からは、契約の締結・更新のたびに「更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容」も明示されます。最初の契約より後に更新上限を新しく設けたり短くしたりする場合は、その理由をあらかじめ説明することが必要になりました。
※ 参考元:厚生労働省「有期労働契約の締結、更新及び雇止め等に関する基準」(令和5年厚生労働省告示第114号による改正後)/厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」(2026年9月確認)
更新の時期が近づいたら確認しておきたいこと
契約の更新が近づいたら、まず次の契約の条件がこれまでと同じかどうかを書面で確かめます。更新上限が新しく設けられていたり、短くなっていたりする場合は、その理由の説明を受けているかを確認してください。
更新されるかどうかがはっきりしない場合は、早めに上司や人事に見通しを聞いておくと、次の準備を始めやすくなります。更新を希望する場合は、その意思を伝えておくことも大切です。雇止め法理は、労働者が更新を申し込んだことを前提にしているためです。
雇止めで離職したときの失業保険
雇止めで離職した場合、失業保険(雇用保険の基本手当)の扱いは事情によって変わります。更新により3年以上雇用されていたか、更新が明示されていたか、本人が更新を希望していたかなどが判断の材料です。区分の考え方は、雇止めで離職したときの失業保険の区分を確認してください。
雇止めに納得できない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)や労働基準監督署に相談できます。
更新が続いて通算の期間が長くなってきた方にかかわるのが、次の無期転換ルールです。
無期転換ルールとは?通算5年を超えたら申し込める要件
無期転換ルールとは、同じ会社との有期労働契約が更新されて通算5年を超えたとき、本人の申込みで無期労働契約に転換されるルールです(労働契約法第18条)。要件を満たした申込みを、会社は断ることができません。
ただし、転換されるのは「契約期間」で、正社員になることとは別の話です。要件と、転換後の労働条件を順に確認します。
無期転換の3つの要件と申込み
無期転換の申込権は、次の3つを満たすと発生します。
無期転換の3つの要件
- 同一の使用者(会社)との間で契約していること
- 2つ以上の有期労働契約を結んでいること(1回以上更新していること)
- 契約期間を通算した期間が5年を超えること
申込権が発生したうえで、現在の有期労働契約の期間が満了する日までに本人が申し込むと、会社は申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約が成立します。
「同一の使用者」は事業場単位ではなく、会社(法人)単位で判断されます。同じ会社であれば、途中で職種が変わったり、別の支店に異動したりしても、契約期間は通算されます。
派遣社員の場合は、派遣先ではなく派遣会社(派遣元)との労働契約の期間で通算します。また、通算期間は2013年4月1日以降に始まった有期労働契約から数えます。
いつ申し込める?契約期間1年・3年の例
申込権が発生するのは、通算5年を超える契約期間に入ったときです。厚生労働省の無期転換ポータルサイトでは、次の例が示されています。
- 契約期間が1年の場合:5回目の更新後の1年間に申込権が発生する
- 契約期間が3年の場合:1回目の更新後の3年間に申込権が発生する
申込権が発生した契約期間中であれば、その初日から末日までいつでも申し込めます。申し込まずに更新した場合も、次の契約期間中に申し込めます。
申込みは口頭でも法律上は有効ですが、後のトラブルを防ぐため書面で行うことが勧められています。無期労働契約は、申込みをした時点の有期労働契約が満了する日の翌日から始まります。
2024年4月からは、申込権が発生する契約の更新のたびに、会社が「無期転換を申し込める機会」と「無期転換後の労働条件」を明示することになりました。更新時の書面にこの記載があるかを確認してみてください。
通算がリセットされる「クーリング期間」
同じ会社と契約していない期間(無契約期間)が一定以上あると、それより前の契約期間は通算されなくなります。これを「クーリング」といいます(労働契約法第18条第2項)。
無契約期間の前の通算契約期間が1年以上の場合、無契約期間が6か月以上あるとクーリングされます。1年未満の場合は、次の表の期間でクーリングされます。
無契約期間の前の通算契約期間 | クーリングされる無契約期間 |
|---|---|
2か月以下 | 1か月以上 |
2か月超〜4か月以下 | 2か月以上 |
4か月超〜6か月以下 | 3か月以上 |
6か月超〜8か月以下 | 4か月以上 |
8か月超〜10か月以下 | 5か月以上 |
10か月超〜 | 6か月以上 |
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この表から読み取れるのは、短い契約ほど短い空白でリセットされるということです。いったん退職して同じ会社で働き直す予定がある方は、空白期間の長さを確認しておくと安心です。
※ 参考元:労働契約法第18条(e-Gov法令検索)/厚生労働省 無期転換ポータルサイト「無期転換ルールとは」「何がどう変わるの?Q&Aコーナー」(2026年9月確認)
無期転換しても正社員になるとは限らない
無期転換で変わるのは契約期間で、給与や待遇などの労働条件は、原則として直前の有期労働契約と同じです(労働契約法第18条第1項)。労働協約や就業規則、個々の労働契約に別の定めがある部分は、その定めによります。
厚生労働省も、無期転換後の雇用区分は会社によって制度が異なるため、一概には言えないと説明しています。「無期転換社員」「無期契約社員」など、正社員とは別の区分を設けている会社もあります。
一方で、2024年4月からは、会社は無期転換後の労働条件を決めるにあたって、正社員などとのバランスを考慮した事項を説明するよう努めることとされています。転換後の待遇が気になる方は、この説明を求めてみてください。
無期転換ルールに特例がある人
一部の人には、無期転換ルールの特例があります。専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法により、会社が雇用管理の計画をつくって都道府県労働局長の認定を受けた場合、次の特例が適用されます。
- 高度な専門的知識等を持ち、一定以上の年収が見込まれる有期雇用労働者が、5年を超える一定の期間内に完了する業務に就く場合:申込権が発生するまでの期間が、その業務の開始から完了までの期間(上限10年)になる
- 60歳以上の定年に達した後、同じ会社(または一定のグループ会社)に引き続き有期契約で雇用される人:定年後に引き続き雇用されている期間は、通算契約期間に数えない
特例を適用する場合、会社は契約の締結・更新のときに、特例の対象となる労働者に対して、無期転換申込権が発生しない期間であることを書面で明示する必要があります。
※ 参考元:専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法第2条・第8条(e-Gov法令検索)/厚生労働省 無期転換ポータルサイト「無期転換ルールのよくある質問(Q&A)」Q17ほか(2026年9月確認)
ここまでで、正社員登用・無期転換・転職という3つの道の前提がそろいました。次は、契約社員から正社員を目指す方法を並べて比べます。
契約社員から正社員になる3つの方法を比べる
契約社員から正社員を目指す方法は、大きく分けて「今の会社の正社員登用」「無期転換を足がかりにする」「転職して正社員になる」の3つです。どれが良いかは、今の会社の制度と、自分が今の職場で働き続けたいかどうかで変わります。
方法1:今の会社の正社員登用制度を使う
今の会社で正社員になる方法は、会社の正社員登用(正社員転換)の制度を使うことです。パートタイム・有期雇用労働法第13条は、会社に、有期雇用労働者を通常の労働者へ転換するための措置として、次のいずれかを講じることを義務づけています。
- 通常の労働者を募集するとき、その募集内容を社内の有期雇用労働者に周知する
- 通常の労働者を新たに配置するとき、その配置を希望する機会を有期雇用労働者に与える
- 一定の資格を持つ有期雇用労働者を対象にした転換試験制度を設けるなど、転換を推進する措置を講じる
どの措置を選ぶかは会社しだいで、「登用試験がある」とは限りません。就業規則や社内掲示で、どの方法がとられているか、応募の条件や時期、これまでの登用の実績を確認してみてください。
今の職場や仕事内容に満足していて、雇用形態だけを変えたい方に向いている方法です。
方法2:無期転換してから、その先の区分を確認する
同じ会社での通算契約期間が5年を超える見込みがある方は、無期転換を申し込む方法があります。申込みの要件を満たせば、会社は断ることができません。
ただし、無期転換で変わるのは契約期間で、正社員になるとは限りません。転換後の区分や、その先に正社員への道があるかは、会社の制度によります。
「雇止めの不安をなくしたい」ことを優先する方には現実的な選択肢です。待遇も変えたい場合は、方法1とあわせて検討するのがよいでしょう。
方法3:転職して正社員を目指す
今の会社に登用の制度や実績が乏しい場合や、仕事内容・待遇そのものを変えたい場合は、転職で正社員を目指す方法があります。契約社員として積んだ実務経験も、職務経歴書で具体的に示せば評価の材料になりえます。
注意したいのは、別の会社(別の使用者)に転職した場合、前の会社との契約期間は、新しい会社での無期転換の通算契約期間に含まれないことです。なお、前の会社に再び雇われる場合は、無契約期間の長さによって以前の契約期間も通算されることがあります。
転職で年収や待遇がどう変わりうるかは、転職で待遇がどう変わるかの損得で確認できます。今の会社を離れるかどうか自体に迷いがある場合は、会社を離れるか迷ったときの判断材料も参考になります。
契約満了のタイミングで次の職場を探す場合は、離職期間をはさんで転職するときの準備も確認しておくと、空白期間の見通しを立てやすくなります。
正社員登用や無期転換を会社に相談するときの進め方
正社員登用や無期転換は、契約更新の面談など、条件を話し合う機会に合わせて相談すると進めやすくなります。相談の前に、次の3点を整理しておくと話がかみ合いやすくなります。
- 就業規則に書かれている登用の方法・条件と、自分がそれを満たしているか
- 通算の契約期間と、無期転換の申込権がいつ発生するか
- 正社員になった場合に変わる条件(仕事内容・勤務地の変更の範囲、給与の決まり方など)
話し合った内容は、口頭のままにせず、書面やメールで残しておくと安心です。無期転換の申込みも、会社の所定の様式があればそれを使い、なければ厚生労働省の参考様式を使えます。
転職で正社員を目指すときは求人票の「契約期間」を確認する
転職で正社員を目指す場合は、求人票の雇用形態の名前だけでなく、「契約期間」の欄で期間の定めがないかを確認してください。「正社員登用あり」と書かれた有期雇用の求人は、入社時点では有期労働契約です。
また、正社員として採用されても、試用期間が設けられていることがあります。試用期間の長さや、その間の条件も応募前に確かめておくと、入社後の食い違いを防げます。
【比較表】契約社員から正社員を目指す3つの方法
3つの方法を、向いている人と確認することで比べると次のとおりです。
方法 | 向いている人 | 確認すること | 注意点 |
|---|---|---|---|
今の会社で正社員登用 | 今の職場・仕事を続けたい人 | 登用の方法、応募条件、時期、これまでの実績 | 会社がとる措置によっては試験や制度がない場合もある |
無期転換を足がかりにする | 同じ会社で通算5年を超える見込みがある人 | 申込権の発生時期、転換後の区分と労働条件 | 契約期間が無期になっても正社員になるとは限らない |
転職で正社員を目指す | 仕事内容や待遇そのものを変えたい人 | 応募先の雇用形態(期間の定めの有無)、試用期間、待遇 | 転職先で有期契約を結ぶ場合、前職の契約期間は通算されない(無期で採用されれば通算は不要) |
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この表から読み取れるのは、方法1と方法2は今の会社にとどまる道、方法3は職場ごと変える道だということです。まず方法1と方法2で今の会社の可能性を確かめ、そのうえで方法3と比べると、判断に必要な材料がそろいます。
※ 参考元:パートタイム・有期雇用労働法第13条/労働契約法第18条(e-Gov法令検索)/厚生労働省 無期転換ポータルサイト(2026年9月確認)
正社員と契約社員の違いを整理してきましたが、よく一緒に比べられるのが派遣社員です。最後に、派遣社員との違いも確認しておきます。
正社員と派遣社員の違いは?契約社員との比較もあわせて確認
派遣社員と正社員・契約社員との最も大きな違いは、雇用契約を結ぶ相手です。派遣社員は派遣会社(派遣元)と雇用契約を結び、実際に働く会社(派遣先)の指揮命令を受けて働きます。
派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の指示で働く
労働者派遣法は、労働者派遣を「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定めています。厚生労働省も、派遣社員の法律上の雇い主はあくまで人材派遣会社だと説明しています。
そのため、給与を支払うのも派遣会社です。待遇は、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を図る方式か、派遣会社の労使協定で定める方式のどちらかで決まります。
【比較表】正社員・契約社員・派遣社員の違い
3つの働き方を、5つの項目で比べると次のとおりです。
項目 | 正社員(就業先に直接雇用) | 契約社員(就業先に直接雇用) | 派遣社員 |
|---|---|---|---|
雇用契約を結ぶ相手 | 働く会社 | 働く会社 | 派遣会社(派遣元) |
仕事の指示を出す会社 | 働く会社 | 働く会社 | 派遣先 |
契約期間 | 期間の定めなし | 期間の定めあり | 派遣会社との契約による(有期・無期の両方がある) |
同じ職場で働ける期間 | 派遣法による3年の期間制限はない | 契約の更新しだい | 同じ派遣先の同じ組織単位(課など)では原則3年まで |
待遇の決まり方 | 働く会社の規程 | 働く会社の規程。正社員との不合理な差は禁止 | 派遣先均等・均衡方式または労使協定方式 |
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この表から読み取れるのは、契約社員と派遣社員は雇い主が違うということです。派遣は雇用主と指揮命令をする会社の関係による分類で、派遣会社に正社員として雇われて派遣される人もいます。無期転換の申込み先も、契約社員は働く会社、派遣社員は派遣会社になります。
※ 参考元:労働者派遣法第2条・第30条の3・第30条の4(e-Gov法令検索)/厚生労働省「さまざまな雇用形態」「派遣で働く皆様へ」/厚生労働省 無期転換ポータルサイト「何がどう変わるの?Q&Aコーナー」(2026年9月確認)
派遣で同じ職場で働けるのは原則3年まで
派遣には、派遣先の事業所が派遣を受け入れられる期間と、同じ人が同じ組織単位(いわゆる「課」など)で働ける期間という2つの制限があります。どちらも原則3年です。
事業所単位の期間は、派遣先が一定の手続きを経れば延長できますが、同じ課で働けるのは3年までのため、異なる課などへ異動することが必要です。事業所単位の期間は、その人の就業開始日から数えるとは限りません。期間が切れる日(抵触日)は派遣会社に確認してください。
ただし、派遣会社に無期雇用されている派遣社員や、60歳以上の派遣社員などは、この期間制限の対象外です。派遣から直接雇用を目指す場合は、派遣会社が講じる雇用安定措置の内容を確認してみてください。
※ 参考元:厚生労働省「派遣で働く皆様へ」(2026年9月確認)
契約社員と派遣社員、どちらを選ぶかの考え方
契約社員と派遣社員のどちらを選ぶかは、「同じ会社に直接雇われたいか」と「働く職場を柔軟に選びたいか」で考えると整理しやすくなります。
同じ会社で長く働き、正社員登用や無期転換を目指したいなら、その会社と直接契約する契約社員のほうが道筋を描きやすい場合があります。一方、職場や仕事を変えながら経験を積みたい場合は、派遣会社を通じて複数の職場を経験できる派遣という選択肢も考えられます。
ここまでの内容を踏まえて、正社員と契約社員についてよく寄せられる質問に答えます。
【Q&A】正社員と契約社員に関するよくある質問
正社員と契約社員の違いについて、よくある質問をまとめました。
契約社員はやめたほうがいいですか?
契約社員が合うかどうかは、雇用の安定と働き方の自由度のどちらを優先するかで変わります。長期的な収入の伸びを重視するなら正社員、期間を区切った働き方や仕事内容の明確さを重視するなら契約社員が合う場合があります。
更新の見通しや賞与・退職金の有無は会社ごとに違うため、労働条件通知書で確認したうえで判断してください。
契約社員にボーナスが出ないのは違法ですか?
契約社員にボーナスが出ないことだけで、直ちに違法になるとは限りません。支給の有無は就業規則や労働契約で決まり、正社員との差が不合理かどうかは職務の内容などを考えて判断されます。
ただし、同一労働同一賃金ガイドラインは「問題となる例」を示しています。貢献に応じて賞与を支給する会社で、正社員には貢献にかかわらず全員に支給し、契約社員には支給しない場合です。納得できないときは、会社に待遇差の理由の説明を求められます。
契約社員は5年働けば自動的に正社員になりますか?
契約社員が5年働いても、自動的に正社員になるわけではありません。同じ会社で有期契約を更新して通算5年を超えると、本人の申込みによって無期労働契約に転換できます。
無期転換後の労働条件は、別の定めがなければ直前の有期契約と同じです。正社員になるかどうかは会社の制度によります。
無期転換を申し込んだら、会社に断られることはありますか?
要件を満たした無期転換の申込みを、会社は断ることができません。申込みをした時点で、今の契約が満了した日の翌日から始まる無期労働契約が成立したものとみなされます(労働契約法第18条)。
無期転換を避ける目的で申込権の発生前に雇止めをすることは、法律の趣旨に照らして望ましくないとされています。困ったときは、都道府県労働局の無期転換ルール特別相談窓口に相談できます。
契約社員から正社員になるのは難しいですか?
契約社員から正社員になれるかは、会社によって制度も実績も異なるため一律には言えません。会社には正社員への転換を推進する措置が義務づけられていますが、その方法は会社が選びます。
就業規則や社内掲示で、登用の方法・条件・時期と、これまでの実績を確認するのが第一歩です。
契約社員でも有給休暇や育児休業は取れますか?
年次有給休暇は、6か月継続勤務して全労働日の8割以上出勤すれば、契約社員にも与えられます。育児休業も、申出の時点で、子が1歳6か月に達する日までに労働契約(更新される場合は更新後の契約)が満了し、更新されないことが明らかでなければ対象になります。
ただし、労使協定によって、引き続き雇用された期間が1年未満の人などは育児休業の対象外とされている場合があります。勤め先の就業規則で確認してください。
契約社員は契約期間の途中で辞められますか?
契約期間の途中で辞めるには、原則として「やむを得ない事由」が必要です(民法第628条)。ただし、1回の契約期間が1年を超える契約では、原則として契約の初日から1年を経過した日以後であれば、申し出ていつでも退職できます(労働基準法第137条)。
一定の事業の完了に必要な期間を定めた契約や、高度専門職・満60歳以上の人との契約は対象外です。会社と合意して退職日を決める方法もあるため、まずは契約期間と就業規則を確認し、会社と相談するのが現実的です。
契約社員は正社員よりクビになりやすいですか?
契約期間の途中で解雇できるのは、やむを得ない事由がある場合に限られます(労働契約法第17条)。厚生労働省は、期間中の解雇が無効と判断される可能性は、無期労働契約の解雇より高いと考えられるとしています。
一方で、期間満了で更新されない(雇止め)可能性はあります。反復して更新されている場合などは、雇止めが無効になることもあります(同法第19条)。
契約社員の退職金はいくらもらえますか?
契約社員の退職金の有無や金額は、会社の退職金規程で決まります。雇用形態によって一律の金額が決まっているわけではありません。
まずは労働条件通知書の「退職金」の欄と、退職金規程の対象者の範囲を確認してください。2026年10月1日から適用される改正ガイドラインでは、退職手当の不合理な差についての考え方が新たに示されています。
※ 参考元:労働契約法第18条/民法第628条/労働基準法第39条・第137条/育児・介護休業法第5条・第6条(e-Gov法令検索)/厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」(改正後)/厚生労働省 無期転換ポータルサイト(2026年9月確認)
契約社員から正社員への転職を相談するなら:おすすめの転職エージェント
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まとめ|契約期間の定めを確認し、正社員を目指す道を比べて選ぶ
正社員は無期、契約社員は有期の労働契約で働くのが一般的で、基本の違いは契約期間の定めの有無です。労働条件通知書の契約期間の欄で有期か無期かを確かめ、雇用区分と就業規則もあわせて確認することから始めてみてください。
契約社員の賞与や退職金は就業規則などで決まりますが、正社員との不合理な待遇差は法律で禁止されています。2026年10月1日からは、ガイドラインの賞与の記載が充実し、退職手当の考え方が新たに加わります。
同じ会社で有期契約を更新して通算5年を超えると、無期転換を申し込めます。ただし正社員になるとは限らないため、正社員登用・無期転換・転職の3つを比べて、自分に合った道を選ぶことが大切です。
この記事を書いた人

転職UPPP編集部は、IT・Web業界に精通した起業家、マーケティングのプロフェッショナル、そして豊富な転職経験を持つライター・ディレクターが集結した専門チームです。起業や独立、法人営業、Webマーケティング、メディア運営など、それぞれのキャリアで培った知見を活かし、転職市場の動向を分析しながら、実体験に基づいた信頼性の高い情報を発信しています。転職の成功と失敗をリアルに経験したメンバーが、読者にとって本当に役立つコンテンツを提供します。
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