【一覧】会社都合退職になる17のケース|失業保険の給付日数と手続き

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この記事でわかること

  • 会社都合退職は、倒産・解雇だけでなく退職勧奨や長時間労働、ハラスメントなど17ケースが対象になる
  • 会社都合では待期7日後から失業保険の支給対象となり、給付日数は年齢・加入期間に応じて90〜330日になる
  • 離職票が自己都合でも最終判断はハローワークが行い、事実と異なる場合は証拠を添えて異議を申し立てられる

「会社から退職を勧められたが、これは会社都合になるのだろうか」と迷う方は少なくありません。この区分ひとつで、失業保険がいつから始まるのか、何日分受け取れるのかが変わります。

この記事では、厚生労働省が定める会社都合退職の17のケースと、自己都合退職との違い、離職票の記載に納得できないときの進め方を確認します。

退職を打診された段階の方にも、離職票が届いたばかりの方にも使える内容です。

目次

会社都合退職とは?自己都合退職との違いを6点で比べる 

会社都合退職とは、倒産や解雇、退職勧奨など会社側の事情で退職することをいいます。雇用保険では、一定の離職理由に該当すると特定受給資格者として扱われ、自己都合退職より支給の開始が早く、給付日数が長くなる場合があります。 

会社都合退職の定義と、雇用保険上の呼び名「特定受給資格者」

「会社都合退職」は、法律の条文に出てくる用語ではありません。雇用保険制度では、倒産や解雇など一定の離職理由に該当する方を「特定受給資格者」としています。

厚生労働省は、倒産や解雇など会社側の事情によって離職を余儀なくされた方を特定受給資格者と定め、その範囲をハローワークインターネットサービスで公表しています。範囲は「倒産」等により離職した者が4項目、「解雇」等により離職した者が13項目の合計17項目です(2026年8月時点)。

呼び名が2つあるのは、日常の言葉と制度上の言葉が別だからです。会社や周囲との会話では「会社都合」、ハローワークの窓口や書類では「特定受給資格者」という言葉が使われます。本記事では、読者にわかりやすく説明するため、特定受給資格者に該当する離職を中心に「会社都合退職」と表現します。

もうひとつ知っておきたいのが、離職票に「会社都合」という欄はないという点です。会社が離職理由を記載し、それをもとにハローワークが区分を判断します。会社の記載がそのまま最終結果になるわけではありません。

区分を早めに把握しておく意味は、手続きの前に生活の見通しを立てられるところにあります。支給がいつから対象になるかは離職理由で決まり、何日分受け取れるかは離職理由に加えて年齢と被保険者期間で決まります。 退職の話が出た段階で目を通しておくと、そのあとの動きに余裕が生まれるでしょう。

自己都合退職の定義と、「正当な理由」で扱いが分かれること

自己都合退職とは、転職や結婚など本人の事情による離職のことです。ただし自己都合のなかにも、扱いが2つに分かれるものがあります。

体調不良や親族の看護、配偶者の転勤に伴う転居など、やむを得ない事情がある場合は「特定理由離職者」として扱われることがあります。この区分に給付制限はありません。受給要件の被保険者期間も、会社都合と同じ扱いになります。

自分から辞めたからといって、すべてが同じ扱いになるわけではありません。特定理由離職者の範囲は、記事の後半で項目ごとに確認します。

【比較表】会社都合と自己都合の違いを6項目で比較

会社都合と自己都合で変わるのは、主に次の6点です。

比較軸

会社都合退職(特定受給資格者)

自己都合退職(一般の離職者)

支給対象になる時期

待期7日間の満了後(給付制限なし)

待期7日間の満了後、さらに原則1か月の給付制限

所定給付日数

90〜330日

90〜150日

受給要件の被保険者期間

離職前1年間に通算6か月以上

離職前2年間に通算12か月以上

国民健康保険料(税)の軽減

対象になる

対象にならない(特定理由離職者は対象)

退職金の扱い

会社の退職金規程による。法律の定めはない

会社の退職金規程による。法律の定めはない

転職時の説明

履歴書に「会社都合により退職」と記載

履歴書に「一身上の都合により退職」と記載

右にスライドできます →

※ 会社都合退職の場合も、原則の「離職前2年間に通算12か月以上」を満たしていれば受給資格があります。給付制限の1か月には例外があり、記事の後半で扱います。

※ 参考元:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」「基本手当の所定給付日数」「よくあるご質問(雇用保険について)」/厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」(2026年8月時点)

この表から読み取れるのは、制度として差が決まっているのは上の4点だということです。下の2点は制度で決まっているものではなく、会社の規程や本人の伝え方に左右されます。

とくに大きいのが、いつから支給の対象になるかです。会社都合退職では待期7日間の満了後から支給対象になりますが、自己都合退職では、そのあとに原則1か月の給付制限があります。実際の振込は初回の失業認定を経てからで、給付制限がない場合でも求職の申込みから約1か月後が目安です。

この「原則1か月」には例外があります。退職日が2025年3月31日以前なら原則2か月です。また、退職日からさかのぼって5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けた場合と、重責解雇の場合は3か月になります。 くわしくは後半で確認します。

見落とされやすいのが3つめの受給要件です。基本手当を受け取るには、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要になります。この12か月は、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある月を、1か月として数えます。

一方、特定受給資格者と特定理由離職者は、離職の日以前1年間に通算6か月以上あれば受給資格を得られます。入社から1年前後で離職した方にとって、この差は受け取れるかどうかを分ける条件です。

4つめの国民健康保険料の軽減は、失業保険とは別の制度です。倒産や解雇などによる離職と、雇い止めなどによる離職が対象になります。対象かどうかは雇用保険受給資格者証の離職理由の欄で判定されます。手続きは市町村の国民健康保険の窓口です。

退職金の扱いは会社の規程しだいで、法律では決まっていない

退職金には、法律上の支給義務がありません。支給の有無も金額も、会社の退職金規程で決まります。

会社都合の場合に支給率を上げる規程を設けている会社もあります。一方で、区分による差を設けていない会社も珍しくありません。

退職の話が出た段階で、就業規則と退職金規程の該当箇所を確認しておくことをおすすめします。規程は労働者がいつでも見られる状態に置かれているのが原則です。手元で見当たらないときは、人事や総務の担当者に確認してみてください。

「会社都合のほうが得」と言い切れない場面もある

失業保険の面では、会社都合退職のほうが有利になります。ただし、有利かどうかは受給の条件だけで決まるものではありません。

会社都合の退職では、転職先に理由を説明する場面が出てきます。倒産や事業所の廃止のように本人に責任のない理由であれば、事実をそのまま伝えれば足ります。

また、区分は自分で選べるものではありません。実際に何があったのかをもとに、ハローワークが判断します。有利だからという理由で区分を選ぶ、という考え方はできない仕組みです。

なお、会社都合と自己都合のあいだには、特定理由離職者という区分もあります。自分から辞めた場合でも、この区分に当てはまれば給付制限はかかりません。

退職そのものをまだ迷っている段階であれば、「仕事の辞めどきとなる14のサイン」もあわせて確認してみてください。

では、どのような辞め方が会社都合にあたるのでしょうか。厚生労働省が公表している17のケースを、原典の表現とあわせて確認します。

【一覧】会社都合退職になる17のケース|特定受給資格者の範囲

会社都合退職にあたるのは、厚生労働省が定める特定受給資格者の範囲に該当する場合です。倒産等による離職が4項目、解雇等による離職が13項目の合計17項目が公表されています。

「倒産」等により離職した者(4項目)

1つめのグループは、会社そのものが立ち行かなくなった場合です。倒産、大量の人員整理、事業所の廃止、事業所の移転という4項目が挙げられています。

このうち見落とされやすいのが、移転による通勤困難です。会社は続いていても、通えない場所へ移ったために辞めた場合は、この項目に当てはまります。

人数の基準がある項目もあります。1か月に30人以上の離職が予定されて届出がされた場合、または在籍する被保険者の3分の1を超える人が辞めた場合です。

「解雇」等により離職した者(13項目)

2つめのグループは、会社の行為が原因で辞めることになった場合です。項目は13あります。解雇のほか、労働条件の相違、賃金の未払い、賃金の大幅な低下、長時間労働が並びます。さらに育児・介護に関する不利益な取扱い、有期契約の不更新、ハラスメント、退職勧奨も対象です。

「解雇」という名前がついていますが、解雇された場合だけを指すわけではありません。自分から退職を申し出た形であっても、その原因が会社側にあれば、この13項目のどれかに当てはまることがあります。

この点は、会社都合かどうかを考えるうえで大切なところです。退職届を出したかどうかではなく、辞めることになった原因で判断されます。

読者が該当しやすい3つ:退職勧奨・長時間労働・ハラスメント

17項目のなかで相談が多いのが、退職勧奨・長時間労働・ハラスメントの3つです。それぞれの基準を確認していきます。

退職勧奨は、事業主から直接または間接に退職するよう勧められて辞めた場合が該当します。面談で退職を促された、部署がなくなると言われて転職を勧められた、といったケースがこれにあたるでしょう。

長時間労働には具体的な時間の基準があります。対象になるのは離職の直前6か月間です。そのうち連続する3か月の各月で45時間 、いずれか1か月で100時間、または連続する2か月以上の期間の平均で1か月80時間。これらを超える時間外労働が該当します。

「6か月間のうちに」という限定がついている点に注意してください。数年前の残業ではなく、辞める直前の半年間が対象です。タイムカードや勤怠記録が手元にあるか、早めに確認しておくとよいでしょう。

ハラスメントは、上司や同僚などからの故意の排斥、著しい冷遇、嫌がらせを受けて辞めた場合が対象です。会社がセクシュアルハラスメントの事実を把握しながら必要な措置を取らなかった場合も含まれます。

厚生労働省のQ&Aでは、この基準について「繰り返し受けたこと」により離職した場合と説明されています。特定の個人だけを対象とした配置転換や給与体系の変更などが例として挙げられています。一方、職務上の失態に対する注意や叱責は通常起こり得ることであり、それだけではこの基準に当てはまりません。

妊娠・出産・育児休業・介護休業などに関する言動で就業環境が害されている事実を、会社が把握しながら放置していた場合も同様です。

【表】17項目の一覧と、厚生労働省の文言

厚生労働省が公表している17項目を、原文のまま掲載します。左の列が公表されている文言、右の列がかみ砕いた説明です。自分の状況と照らし合わせるときは、左の列の表現を基準にしてください。

No.

厚生労働省の公表文言(原文のまま)

かみ砕いた説明

倒-1

倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者

勤め先が倒産した

倒-2

事業所において大量雇用変動の場合(1か月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者(※)及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者

1か月に30人以上、または在籍者の3分の1を超える人が辞めた

倒-3

事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者

勤務先の事業所がなくなった

倒-4

事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

事業所が移転して通えなくなった

解-1

解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者

解雇された(本人に重大な責任がある場合を除く)

解-2

労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者

求人票や契約書の条件と実際が大きく違った

解-3

賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者

給与の3分の1を超える額が支払日に払われなかった

解-4

賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)

賃金が85%未満に下がった(事前に予測できなかった場合に限る)

解-5

離職の直前6か月間のうちに[1]いずれか連続する3か月で45時間、[2]いずれか1か月で100時間、又は[3]いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者

残業が基準を超えていた。または安全・健康上の指摘に会社が対応しなかった

解-6

事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した者

妊娠・出産・育児・介護に関する制度の利用を妨げられた、または不利益な扱いを受けた

解-7

事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者

職種転換の際に必要な配慮がなかった

解-8

期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者

3年以上更新してきた有期契約が更新されなかった

解-9

期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(8)に該当する場合を除く。)

更新すると明示されていた有期契約が更新されなかった

解-10

上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者、事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者及び事業主が職場における妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する言動により労働者の就業環境が害されている事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者

職場での排斥・冷遇・嫌がらせを受けた。または会社がハラスメントを把握しながら対応しなかった

解-11

事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)

会社から退職を勧められて辞めた(恒常的な早期退職優遇制度への応募を除く)

解-12

事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者

会社側の事情による休業が3か月以上続いた

解-13

事業所の業務が法令に違反したため離職した者

勤務先の業務が法令に違反していた

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※(倒-2の注記)事業所において、30人以上の離職者が生じることが予定されている場合は、再就職援助計画の作成義務があり、再就職援助計画の申請をした場合も、当該基準に該当します。また、事業所で30人以上の離職者がいないため、再就職援助計画の作成義務がない場合でも、事業所が事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる者に関し、再就職援助計画を作成・提出し、公共職業安定所長の認定を受けた場合、大量雇用変動の届出がされたこととなるため、当該基準に該当します。

※ 参考元:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」/厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」/厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」(2026年8月時点)

当てはまりそうな項目が見つかったら、その状況を示す記録を集めておいてください。勤怠記録、給与明細、就業規則、面談のメモ、会社から受け取った書面などが手がかりになります。資料の集め方は記事の後半で扱います。

早期退職優遇制度に応募した場合は該当しないことがある

退職勧奨の項目には、但し書きがついています。従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しません。

常設の制度に自分から手を挙げた場合と、会社から個別に退職を勧められた場合を区別する趣旨です。会社の状況が悪化したあとに新しく募集された希望退職では、扱いが変わることもあります。

なお、試用期間中に解雇された場合の扱いには、解雇予告手当や被保険者期間など固有の論点があります。こちらは「試用期間中の解雇は不当?認められるケースと対処法」で詳しく解説しています。

17項目のどれにも当てはまらない場合でも、自己都合とは別の扱いになる区分があります。次は、会社都合と自己都合のあいだにある特定理由離職者を確認します。

会社都合と自己都合の間にある「特定理由離職者」

特定理由離職者とは、契約更新を希望したのに更新されなかった方と、正当な理由のある自己都合で離職した方をいいます。いずれも給付制限がなく、受給要件の被保険者期間も6か月に緩和されます。

17項目のどれにも当てはまらないと、そこで自己都合に決まるわけではありません。会社都合と自己都合のあいだには、もう一つの区分が置かれています。厚生労働省はこれを特定理由離職者と呼び、範囲を2つに分けて公表しています。

契約更新を希望したのに更新されなかった場合(範囲の1)

範囲の1は、期間の定めのある労働契約が満了し、更新されなかったことで離職した方です。ただし条件がひとつあります。本人が更新を希望したにもかかわらず、更新についての合意が成立しなかった場合に限られます。

厚生労働省は補足を置いています。契約更新条項が「契約の更新をする場合がある」とされている場合など、更新について明示はあるが確認まではない場合です。こうしたケースがこの基準に該当する、という説明になっています。一方で更新すると明示されていた契約が更新されなかった場合は、「会社都合退職になる17のケース(解-9)」にあたり、特定受給資格者の範囲です。

同じ「更新されなかった」でも、契約書の書きぶりで区分が分かれます。労働契約書や労働条件通知書の更新に関する記載を、手元で確かめておくとよいでしょう。

正当な理由のある自己都合退職(範囲の2)

範囲の2は、自分から辞めた場合でも正当な理由があると認められるものです。厚生労働省は次の6つを挙げています。

  • 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した方
  • 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた方
  • 父もしくは母の死亡、疾病、負傷等のため父もしくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合、または常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した方
  • 次の理由により、通勤が不可能または困難となったことにより離職した方。(a)結婚に伴う住所の変更、(b)育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用または親族等への保育の依頼、(c)事業所の通勤困難な地への移転、(d)自己の意思に反しての住所または居所の移転を余儀なくされたこと、(e)鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止または運行時間の変更等、(f)事業主の命による転勤または出向に伴う別居の回避、(g)配偶者の事業主の命による転勤もしくは出向または配偶者の再就職に伴う別居の回避
  • その他、退職勧奨に該当しない企業整備による人員整理等で、希望退職者の募集に応じて離職した方

この「正当な理由」は、給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されます。判断するのはハローワークであり、本記事で該当するかどうかを決めることはできません。診断書や転居を示す書類など、事情を裏づけられるものがあれば、手続きのときに持参してください。

体調や家庭の事情で辞めたあと、次の仕事がすぐには決まらない方も少なくありません。退職後の健康保険や年金の切り替えについては「次の仕事が決まってないけど会社を辞める」で扱っています。

範囲の1に当たる方は、給付日数が会社都合と同じになる(2027年3月31日まで)

範囲の1に当たる方には、期限つきの取扱いがあります。受給資格に係る離職の日が2009年3月31日から2027年3月31日までの間にある方に限り、所定給付日数が特定受給資格者と同様になります。

期限が2027年3月31日である点に注意してください。暫定的な措置のため、この日を過ぎた離職には適用されません。なお範囲の2はこの措置の対象ではなく、所定給付日数は一般の離職者と同じ扱いです。

【比較表】3つの区分で何が変わるか

区分

給付制限

受給要件の被保険者期間

所定給付日数

特定受給資格者(会社都合退職)

なし

離職の日以前1年間に通算6か月以上

90〜330日

特定理由離職者

なし

離職の日以前1年間に通算6か月以上

範囲の1は特定受給資格者と同じ(2027年3月31日までの離職に限る)/範囲の2は90〜150日

一般の離職者(自己都合退職)

原則1か月

離職の日以前2年間に通算12か月以上

90〜150日

右にスライドできます →

※ 受給要件の欄は、原則の「離職の日以前2年間に通算12か月以上」を満たしている場合も受給資格があります。6か月の記載は、原則を満たさない場合でも受給できるという意味です。

給付制限と受給要件については、特定理由離職者は特定受給資格者と同じ扱いです。差が出るのは所定給付日数で、範囲の1に当たるかどうかで変わります。

ここまでで3つの区分が出そろいました。次は、自分がどれに当たるのかを絞り込みます。

※ 参考元:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」(2026年8月時点)

【判定】自分がどの区分になるかを3つの質問で確かめる

自分の区分は「退職の原因に会社側の事情があるか 」「離職票に何と書かれているか」「正当な理由にあたる事情があるか」の3点で絞り込めます。最終的な判断はハローワークが行います。

以下は自分の状況を整理するための目安です。ここで区分が確定するものではありません。3つの質問に順に答えていくと、窓口で何を伝えればよいかが見えてきます。

質問① 退職の原因に、会社側の事情があるか

まず、退職に至った原因に会社側の事情がなかったかを確認してください。対象になるのは、倒産、事業所の廃止、解雇、退職勧奨だけではありません。労働条件の著しい相違、賃金の未払いや大幅な低下、長時間労働、ハラスメントなども、特定受給資格者に該当する可能性があります。自分から退職を申し出た場合でも、こうした事情が離職の原因であれば、会社都合として扱われることがあります。

会社から個別に退職を持ちかけられて応じた場合は、自分で書類を出していても退職勧奨にあたります。

反対に、従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度へ自分から応募した場合は、退職勧奨には当たりません。この線引きは「会社都合退職になる17のケース」で確認したとおりです。

判断に迷いやすいのが、会社から退職を持ちかけられたうえで「自己都合で出してほしい」と言われた場合です。退職の話を切り出したのは会社なので、まずは事実関係を整理してください。 書類にどう書くかと、離職理由がどう判定されるかは別の話になります。

また、自分から退職を申し出た場合でも、長時間労働やハラスメントなど会社側の事情が原因となっているケースがあります。誰が退職を切り出したかだけで判断せず、退職に至った具体的な経緯を整理してください。

質問② 離職票の離職理由欄に何と書かれているか

離職票が手元にある方は、雇用保険被保険者離職票−2を見てください。事業主が記入した離職理由の欄と、その内容について離職者本人が記入する欄が並んでいます。会社の記載に納得できない場合は、こちらに自分の認識を書き添えます。

離職票がまだ届いていない段階でも、判断材料は集められます。退職を打診された面談の日時、そのときの言葉、受け取った書面。これらを記録しておくと、あとで説明するときに役立ちます。

離職票が届かない場合の手順も決まっています。会社は離職日の翌々日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出します。ハローワークが発行した離職票は、原則として会社経由で本人に交付されます。ただし一定の条件を満たす場合は、マイナポータルへ直接交付されます。

マイナポータルへの直接交付を受けるには、次の3つがそろっている必要があります。

  • 事業主が電子申請で雇用保険の離職手続きを行っていること
  • 本人のマイナンバーが被保険者番号と適切に紐付いていること
  • 本人がマイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定を済ませていること

条件を満たさない場合は、従来どおり事業所から送付されます。交付を希望すると伝えているのに10日を経過しても届かない場合は、まず会社に処理状況を確認してください。

会社が手続きをしない場合や、督促しても届かない場合は、身元確認書類と退職したことがわかる書類を持参して、住所地を管轄するハローワークに早めに相談してください。

なお離職票には離職理由に対応するコードが入りますが、その対応関係はハローワークの判定に関わるもので、公表資料から全体を確かめられるものではありません。コードから逆算するより、事実関係を整理しておくほうが確実です。

質問③ 自分から辞めた場合、正当な理由にあたる事情はあるか

自分から辞めた場合でも、「正当な理由のある自己都合退職(範囲の2)」で挙げた6つのいずれかに当てはまれば、、特定理由離職者として扱われることがあります。体調、妊娠・出産・育児、親族の看護や父母の扶養、配偶者との別居の回避、通勤困難、希望退職への応募。この6つが判断の入口です。

当てはまりそうな場合は、事情を裏づける資料をそろえてから手続きに行くとよいでしょう。体調を理由とするなら医師の証明書、妊娠や出産で受給期間の延長を申請しているならその書類が手がかりになります。ただし該当するかどうかを決めるのはハローワークです。

判定できないときの確認先はハローワーク

3つの質問で絞り込めない場合や、会社の説明と自分の認識が食い違う場合は、住所地を管轄するハローワークに相談してください。厚生労働省は、離職理由の判定について、本人の主張、証拠書類、事業主の主張等を確認したうえで決定すると説明しています。事業主一方の主張のみで判定することはありません。

相談に行くときは、離職票、退職に関する書面やメール、勤怠の記録などを持参してください。手元にある資料が多いほど、状況を正確に伝えられます。

※ 参考元:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」/厚生労働省「離職票をマイナポータルで受け取れるようになります」(2026年9月時点)

失業保険はいつから?待期7日と給付制限のしくみ

失業保険は会社都合退職なら7日間の待期のあと支給の対象になり、給付制限はありません。自己都合退職では待期のあとに原則1か月の給付制限があります。

区分の差がもっともはっきり出るのがここです。順番に見ていきます。

待期7日は離職理由に関係なく全員にある

待期は、離職票の提出と求職の申込みを行った日から通算して7日間です。この日を受給資格決定日といい、待期が満了するまでは基本手当は支給されません。厚生労働省は、これは離職の理由等にかかわらず一律に適用されると説明しています。

起算点は離職日ではなく、ハローワークで手続きをした日です。離職票が届くまでに時間がかかると、そのぶん全体が後ろにずれていきます。

「通算して7日間」という数え方にも意味があります。7日が連続していなくても、失業の状態にあった日を合計して7日に達すれば待期は満了します。手続きの直後に短期の仕事が入った場合などに関わってくる考え方です。

給付制限は2025年4月1日以降の離職なら原則1か月に短縮された

正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合は、待期が満了したあとにさらに支給されない期間があります。これが給付制限です。退職日が2025年4月1日以降であれば原則1か月、2025年3月31日以前であれば原則2か月となります。

2025年4月に短縮されたため、退職日がこの前後どちらかで扱いが変わります。以前の資料には2か月と書かれたままのものもあるので、退職日を基準に確認してください。

給付制限を受ける場合、支給が始まるのは給付制限期間が経過したあとの認定日からです。失業認定日そのものも、給付制限期間が経過すると見込まれる日より後に指定されます。待っている間に認定日が来て支給される、という流れにはなりません。

求職活動の実績についても違いがあります。給付制限が3か月の方は、待期満了後から給付制限経過後の最初の認定日の前日までに3回以上、2か月の方は2回以上の求職活動が必要です。それ以外の方は、待期満了後から最初の認定日の前日までに1回以上です。

5年間に2回以上の自己都合、または重責解雇は3か月

原則1か月には例外があります。退職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けた場合は3か月です。自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合、いわゆる重責解雇も3か月になります。

単に5年間で2回以上辞めたかどうかではありません。「正当な理由がない自己都合退職」であることと、「受給資格決定を受けた」ことの2つが条件になっています。

教育訓練を受けると給付制限が解除される(2025年4月以降)

給付制限には解除のしくみもあります。根拠は雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)です。この施行により、2025年4月以降にリ・スキリングのために教育訓練等を受けた場合は、給付制限が解除され基本手当を受給できるようになりました。

自己都合で退職して学び直しを考えている方には、待つ期間を短くできる選択肢です。対象となる訓練や必要な手続きは、住所地を管轄するハローワークで確認してください。

ハローワークの職業相談のなかで公共職業訓練等の受講が必要と認められ、所長から受講の指示を受けた場合には、別の手当も出ます。訓練を受けた日について日額500円の受講手当(上限20,000円)と、通所方法に応じた通所手当(月額で最高42,500円)です。

ここまでの流れを、会社都合と自己都合で並べて確認します。

ステップ

会社都合退職(特定受給資格者)

自己都合退職(一般の離職者)

① 離職

退職日

退職日

② 離職票を受け取る

会社が離職日の翌々日から10日以内に手続き。原則は会社経由で交付。一定の条件を満たす場合はマイナポータルへ直接交付される

同じ

③ ハローワークで求職の申込み(受給資格決定)

この日から待期を数える

同じ

④ 待期7日

全員にある

全員にある

⑤ 給付制限

なし

原則1か月(例外で2か月・3か月)

⑥ 支給の対象になる日

待期満了の翌日から

給付制限が終わった翌日から

⑦ 初回の振込

初回の失業認定日の約7日後

給付制限の経過後の認定日を経てから

右にスライドできます →

①から④までは、会社都合も自己都合も同じ流れです。差がつくのは⑤で、この1か月分が生活費の見通しに直結します。

⑥は支給の対象になる日であって、その日に入金されるわけではない点にご注意ください。厚生労働省によれば、初めて現金が振り込まれるのは、給付制限のない方でも求職の申込みから数えておよそ1か月後(初回認定日の約1週間後)が目安です。

受給期間は原則として離職日の翌日から1年間

もうひとつ押さえておきたいのが受給期間です。基本手当を受けられる期間は、原則として離職した日の翌日から1年間と決まっています。所定給付日数が330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日です。

この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れなくなります。手続きが遅れるほど受け取れる日数は減っていくため、離職票が届いたら早めにハローワークへ行ってください。

病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由で引き続き30日以上働くことができない場合は、受給期間を延長できます。延長できる期間は最長で3年間です。申請は、働くことができなくなった日の翌日以降できるだけ早く行うのが原則です。

60歳以上の定年等による退職では、別の延長のしくみもあります。離職日の翌日から2か月以内に、就職を希望しない期間(1年が限度)を申し出ると、その分が受給期間に加算されます。退職後にしばらく休養する予定であれば、期限内に申し出てください。

退職後の手続き全体の流れは「次の仕事が決まってないけど会社を辞める」でまとめています。

※ 参考元:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」/厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」/厚生労働省「離職票をマイナポータルで受け取れるようになります」(2026年9月時点)

【年齢×勤続年数】失業保険の給付日数早見表

会社都合退職の所定給付日数は90日から330日、自己都合退職は90日から150日です。日数は離職時の年齢と、雇用保険の被保険者であった期間で決まります。

ここからは厚生労働省が公表している3つの表をそのまま確認します。自分の年齢と被保険者であった期間が交わるところが、受け取れる日数です。

表を見る前に、ここでいう「勤続年数」はあくまで目安です。実際の所定給付日数は、離職理由、離職時の年齢、雇用保険の「算定基礎期間」、そして就職困難者に当たるかどうかによって決まります。

算定基礎期間は、雇用保険の被保険者であった期間をもとに算出されます。ただし、算入されない期間があります。雇用保険の資格を失ってから再び加入するまでが1年を超えた場合は、それ以前の期間が除かれます。

過去に基本手当などの支給を受けたことがある場合も、その受給資格に係る離職日以前の期間は入りません。そのため、単純な勤続年数と一致しない場合があります。

会社都合(特定受給資格者)の所定給付日数

特定受給資格者と、特定理由離職者のうち範囲の1に当たる方(就職困難者を除く)の表です。横の列が被保険者であった期間を表します。

離職時の年齢

1年未満

1年以上5年未満

5年以上10年未満

10年以上20年未満

20年以上

30歳未満

90日

90日

120日

180日

―

30歳以上35歳未満

90日

120日

180日

210日

240日

35歳以上45歳未満

90日

150日

180日

240日

270日

45歳以上60歳未満

90日

180日

240日

270日

330日

60歳以上65歳未満

90日

150日

180日

210日

240日

右にスライドできます →

※ 30歳未満・20年以上の「―」は原典の表の表記です。特定理由離職者のうち範囲の1に該当する方は、受給資格に係る離職の日が2009年3月31日から2027年3月31日までの間にある場合に限り、この表が適用されます。

自己都合(一般の離職者)の所定給付日数

離職時の年齢

1年未満

1年以上5年未満

5年以上10年未満

10年以上20年未満

20年以上

全年齢

90日(※)

90日

90日

120日

150日

右にスライドできます →

※ 特定理由離職者については、被保険者期間が6か月(離職以前1年間)以上あれば基本手当の受給資格を得ることができます。

一般の離職者には年齢による区分がなく、被保険者であった期間だけで日数が決まります。上限は150日です。年齢が上がっても日数が増えない点が、会社都合の表との大きな違いになります。

障害がある方などの就職困難者は別の日数になる

離職時の年齢

1年未満

1年以上

45歳未満

150日

300日

45歳以上65歳未満

150日

360日

右にスライドできます →

就職困難者に当たるのは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、刑法等の規定により保護観察に付された方、社会的事情により就職が著しく阻害されている方などです。身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳等をお持ちであれば、受給手続きのときに持参してください。

この表は離職理由による区分がなく、会社都合でも自己都合でも同じ日数です。上限は360日で、特定受給資格者の上限330日より長くなります。基本手当の所定給付日数が「90日から360日」と説明されることがあるのは、この表を含めた全体の幅を指しているためです。

同じ45歳・勤続20年でも180日の差が出る

3つの表を並べると、差がもっとも大きくなるのは45歳以上60歳未満で被保険者であった期間が20年以上の場合です。会社都合なら330日、自己都合なら150日。その差は180日あります。

年齢が上がり、被保険者であった期間が長いほど、区分の違いが日数に効いてきます。反対に被保険者であった期間が1年未満の場合、表の上ではどちらも90日です。ただし正当な理由のない自己都合退職では、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要になります。一般の離職者の表の「1年未満」の欄が実際に効いてくるのは、被保険者期間6か月以上で受給資格を得られる特定理由離職者です。 区分だけで日数が決まるわけではないのは、このためです。

所定給付日数と受給期間は別物

所定給付日数は「何日分受け取れるか」、受給期間は「いつまでに受け取り終える必要があるか」です。この2つは別に定められています。

受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。所定給付日数が330日あっても、手続きが遅れて受給期間の残りが足りなくなれば、残った日数は受け取れません。日数が多い方ほど、早く手続きすることの意味が大きくなります。

例外もあります。ハローワークの所長から公共職業訓練等の受講指示を受けた場合は、訓練期間中に所定給付日数が終了しても、訓練が終了する日まで引き続き基本手当が支給されます。日数だけで受け取れる総額が決まるわけではない、ということです。

【雇用形態別】パート・契約社員・派遣社員・65歳以上の扱い

雇用保険の一般被保険者であれば、所定給付日数の決まり方は雇用形態によって変わりません。パート、契約社員、派遣社員のいずれであっても、離職時の年齢と被保険者であった期間で決まります。被保険者となるのは、31日以上の雇用見込みがあり、1週間の所定労働時間が20時間以上である場合です。

65歳以上で離職した場合だけは別の制度になります。高年齢被保険者が失業したときに支給されるのは、基本手当ではなく高年齢求職者給付金です。額は、被保険者であった期間が1年以上なら50日分、1年未満なら30日分に相当する一時金になります。受給するには、算定対象期間(原則は離職前1年間)に被保険者期間が通算して6か月以上あることが必要です。

試用期間中に解雇された場合には、解雇予告手当や被保険者期間など固有の論点があります。こちらは「試用期間中の解雇は不当?認められるケースと対処法」で詳しく解説しています。

※ 参考元:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」/厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」(2026年9月時点)

失業保険はいくらもらえる?基本手当日額の考え方と上限額

基本手当日額は、離職前6か月の賃金をもとにした賃金日額のおよそ50〜80%です。年齢区分ごとに上限額が定められており、2026年8月1日現在で30歳未満は7,450円です。

日数がわかったら、次は1日あたりの額です。計算の考え方は2段階になっています。

賃金日額は離職前6か月の賃金を180で割って求める

最初に賃金日額を出します。離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を、180で割った金額です。

注意したいのは、賞与等を含まないことです。対象は月々の給与なので、賞与の割合が大きい方ほど、額面の年収から受ける印象と差が出ます。

180で割るのは、6か月を1か月30日として数えた日数にあたります。月給を30で割ったおおよその日額、と考えるとイメージしやすいでしょう。年収を365で割った額とは別のものになります。

計算の対象が直前6か月であることにも意味があります。退職前に残業が減っていた期間があれば、その分は賃金日額に反映されます。

給付率は賃金が低い方ほど高くなる

賃金日額に給付率を掛けたものが基本手当日額です。給付率はおよそ50〜80%で、60歳〜64歳については45〜80%となっています。

この率は一律ではありません。賃金の低い方ほど高い率になる仕組みです。そのため、離職前の賃金が高い方ほど、賃金に対する割合は下がっていきます。

ここで押さえておきたいのは、給付率は離職理由によって変わらないという点です。会社都合でも自己都合でも、賃金日額と年齢が同じであれば1日あたりの額は同じになります。区分によって変わるのは、支給が始まる時期と受け取れる日数です。

【表】年齢区分ごとの基本手当日額の上限額

給付率を掛けた結果が高くなる場合でも、年齢区分ごとの上限額で頭打ちになります。

離職時の年齢

基本手当日額の上限額

30歳未満

7,450円

30歳以上45歳未満

8,270円

45歳以上60歳未満

9,110円

60歳以上65歳未満

7,830円

右にスライドできます →

※ 令和8年(2026年)8月1日現在の額です。

賃金が高い方は、この上限で止まります。会社都合退職で日数が長くなっても、1日あたりの額が青天井に増えるわけではありません。

上限額と給付率は毎年8月1日に見直される

上の額は毎年8月1日に見直されます。前年の資料や少し前の記事を見ると、違う数字が書かれていることがあります。

自分の受け取れる額を確かめるときは、最新の基本手当日額をハローワークの資料や雇用保険受給資格者証で確認してください。本記事に載せている額は2026年8月1日以降のものです。

正確な額は、ハローワークに提出する離職票にもとづいて計算されます。受給手続きのときに交付される書類で確認できるので、事前の概算はあくまで目安として扱ってください。

基本手当日額は毎年8月1日に見直され、受給中であっても改定によって支給額が変わる場合があります。8月1日の改定をまたぐ場合は、最新の受給資格者証などで確認してください。 

早く再就職すると再就職手当を受けられる

基本手当を受け終える前に安定した職業に就いた場合は、再就職手当を受けられることがあります。条件は、就職日の前日までの失業の認定を受けたあとの基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あることなどです。

支給額は、支給残日数に給付率と基本手当日額を掛けて計算します。給付率は、支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%です。ここで使う基本手当日額には上限があり、6,745円(60歳以上65歳未満は5,454円)となっています。この上限も毎年8月1日以降に変更されることがあります。

会社都合退職は所定給付日数が長くなる場合があるぶん、残日数の条件を満たしやすくなります。早く決まったほうが損だと考える必要はありません。

再就職手当を受けたあとの制度もあります。再就職先に引き続き6か月以上雇用され、その6か月に支払われた賃金の1日分の額が離職前の賃金日額より低い場合は、就業促進定着手当を受けられます。再就職で賃金が下がったときの補いとして用意されているものです。

なお再就職手当を受け取ったあとでも、基本手当の支給残日数があり、受給期間の満了日より前に再び失業の状態になった場合は、基本手当の受給を再開できます。

ボーナスの支給日と退職日の関係は別記事へ

退職日をいつにするかは、賞与の支給日との関係でも悩みどころです。ただしこれは退職前の判断であって、退職後の給付とは別の話になります。

支給日と退職日の考え方は「ボーナス前に退職はもったいない?」でまとめています。

※ 参考元:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「就職促進給付」/厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」/厚生労働省「令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について」(2026年9月時点)

離職票が自己都合になっていたときの異議申立て

離職票の離職理由に納得できない場合は、ハローワークに異議を申し出て、退職に至った状況を説明できます。離職理由の最終的な判断はハローワークが行います。

実際の退職理由と離職票の記載が違う。この相談は珍しいものではありません。手順は決まっています。

離職理由を決めるのは会社ではなくハローワーク

まず前提を確認します。離職票に離職理由を記入するのは会社ですが、その内容がそのまま確定するわけではありません。

厚生労働省は、判定の手順をこう説明しています。まず事業主が主張する離職理由を離職証明書により把握します。次に離職者が主張する離職理由を把握し、それぞれの主張を確認できる客観的な資料を集めます。そのうえで事実関係を確認し、本人の住居所を管轄するハローワークが慎重に判定します。そして事業主一方の主張のみで判定することはない、と明記されています。

会社の記載が自己都合になっていても、そこで終わりではないということです。

異議を述べる手順と、それでも決定に不服があるときの審査請求

実際の退職理由と離職票の記載が異なる場合は、基本手当の受給手続きのときに、住所地を管轄するハローワークの担当者にその旨を伝えてください。手続きの際に、離職理由を証明する書類等があれば持参します。

離職票−2には、事業主が記入した離職理由に対して離職者本人が記入する欄があります。ここに自分の認識を書き添えます。

ハローワークの決定に不服がある場合は、その先の手続きもあります。処分を行ったハローワークを管轄する都道府県労働局の雇用保険審査官に対して、処分のあったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に審査請求ができます。審査請求は文書または口頭で、直接雇用保険審査官へ、あるいは処分を行ったハローワークもしくは住所地を管轄するハローワークを経由して行えます。

3か月という期限があるため、決定の通知を受け取ったら早めに動いてください。

【表】主張別に必要になる資料

何を主張するかによって、そろえておきたい資料は変わります。手元にあるものから確認してください。

主張したい離職理由

そろえておきたい資料

退職を勧められて辞めた(退職勧奨)

面談の日時と発言内容を記録したメモ、退職勧奨に関する書面やメール、退職合意書の写し

長時間労働が続いた

タイムカード、勤怠記録、給与明細、賃金台帳の写し

ハラスメントを受けた

言動の日時と内容の記録、特定個人を対象とした配置転換の辞令の写し、就業規則、労働契約書、賃金台帳

賃金が支払われなかった・下がった

給与明細、賃金台帳、労働条件通知書、就業規則

労働条件が契約と著しく違った

労働条件通知書、労働契約書、契約締結時に明示された書面

右にスライドできます →

※ ハラスメントの行に挙げた資料は、厚生労働省がパワーハラスメントに関するQ&Aで例示しているものです。

退職勧奨に応じる前に記録を残しておく

資料は、辞めたあとに集めようとすると手が届かなくなります。退職の打診を受けた段階から残しておくのが確実です。

記録するのは、面談の日時、同席者、言われた言葉、渡された書面。この4点で足ります。口頭だけで話が進む場合は、その日のうちにメモにしておいてください。

退職届や退職願を書くよう求められた場合は、記載する退職理由を確認してから提出してください。書類の書き方そのものは「退職届の正しい書き方」で扱っています。

会社が会社都合を避けたがる背景と、実態と違う区分を頼むリスク

会社都合にしてほしいと伝えたが応じてもらえない、という相談は少なくありません。会社側には、雇用関係の助成金の要件や手続き上の事情があるといわれます。ただし助成金の支給要件は制度ごとに定められており、会社都合の離職があると助成金を受けられない、と一律に言い切れるものではありません。

大事なのは、理由が何であれ離職理由は実態にもとづいて決まるという点です。会社の希望で選べるものではありません。記載に納得できないのであれば、ハローワークに異議を申し出てください。

逆の方向も同じです。実態は自己都合なのに、会社に頼んで会社都合にしてもらう。これは事実と異なる届出になります。偽りその他不正の行為で基本手当を受けたり受けようとした場合には、以後これらを受けることができなくなるほか、その返還を命じられます。さらに返還を命じられた額とは別に、不正の行為により支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付を命じられることがあります。事業主と連帯して行った場合は、事業主も連帯して返還しなければなりません。

相談先は住所地のハローワークと総合労働相談コーナー

手続きと離職理由の相談先は、住所地を管轄するハローワークです。受給手続きの前でも、離職票が届かない、記載に納得できないといった段階で相談できます。

退職に至った経緯そのものを相談したい場合は、労働問題全般の相談を受け付ける総合労働相談コーナーもあります。所在地は厚生労働省のサイトで確認できます。

会社との話し合いが行き詰まっている段階でも、公的な窓口で状況を整理できます。転職を進めることだけが選択肢ではありません。辞めどきの判断そのものに迷っている段階であれば「仕事の辞めどきとなる14のサイン」も参考になります。

※ 参考元:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(2026年8月時点)

会社都合退職は転職で不利になるのか

会社都合退職であることが、入社手続きの書類から自動的に転職先へ伝わるとは限りません。倒産や事業所の廃止など本人に責任のない理由であれば、事実をそのまま説明するのが基本です 。

区分が決まると、次に気になるのは選考への影響です。ここは短く整理します。

履歴書には「会社都合により退職」と書く

職歴欄には「会社都合により退職」と書きます。自己都合の場合の「一身上の都合により退職」に対応する書き方です。

倒産や事業所の廃止であれば、「会社倒産のため退職」「事業所閉鎖のため退職」と事情まで書いても構いません。理由がわかるほうが、読む側の疑問は少なくなります。

職務経歴書には退職理由を書く欄がないことも多く、その場合は履歴書の職歴欄だけで伝わります。書ききれない事情がある場合は、面接で口頭で補うほうが読みやすくなるでしょう。

退職から次の応募までに期間が空いている場合は、その間に何をしていたかを一行添えておくと、経歴の流れが追いやすくなります。

有期契約が更新されずに離職した場合は「契約期間満了により退職」と書く方法もあります。会社都合という言葉が実態と少しずれると感じるときは、起きたことをそのまま書くほうが伝わります。

面接では事実と、そこから何を選び直したかをセットで話す

面接で退職理由を聞かれたときは、事実を先に、短く伝えます。そのうえで、そこから何を考え、次にどう動こうとしているかを続けます。

たとえば事業所の閉鎖で退職した場合なら、閉鎖の事実を述べ、これまでの経験のどの部分を次の職場で活かしたいかにつなげる。この順番であれば、退職理由の説明が志望動機と地続きになります。

避けたいのは、前の会社への不満を説明の中心に置くことです。事実として起きたことと、それをどう受け止めたかは分けて話せます。会社側の問題であっても、その説明が長くなるほど話の焦点がぼやけていきます。

伝え方の例文は「面接での退職理由の伝え方」で扱っています。辞めた理由そのものを整理したい段階であれば「仕事を辞めたいと思う理由TOP10」も参考になります。

退職理由は事実に沿って伝える 

会社都合で退職したにもかかわらず、自己都合と説明するなど、事実と異なる伝え方は避けましょう。履歴書や面接で退職理由を伝える場合は、実際の経緯に沿って説明するのが基本です。

なお、源泉徴収票には退職年月日は記載されますが、会社都合・自己都合といった離職理由を記載する欄はありません。そのため、入社手続きの書類から離職理由が必ずわかるわけではありません。

本人に責任のない理由での退職は、その事実を簡潔に説明すればよいでしょう。

※ 参考元:国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(2026年9月時点)

【Q&A】会社都合退職に関するよくある質問

会社都合退職について実際に多い疑問を8問にまとめました。各回答の1文目に結論を置いています。

会社都合退職と自己都合退職はどちらが得ですか?

失業保険の面では会社都合退職のほうが有利で、給付制限がなく給付日数も長くなる場合があります。

会社都合退職は待期7日の満了後から支給の対象になり、所定給付日数は最大330日です。自己都合退職は原則1か月の給付制限があり、所定給付日数は最大150日にとどまります。ただし被保険者であった期間が1年未満の場合でも、受給資格を満たしていれば所定給付日数は90日です。なお、正当な理由のない自己都合退職では、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。 区分は自分で選べるものではなく、実態に沿ってハローワークが判断します。

会社都合で退職すると次の会社にバレますか?

入社手続きの書類だけで、会社都合退職が自動的に転職先へ伝わるとは限りません。

源泉徴収票には退職年月日は記載されますが、会社都合・自己都合といった離職理由は記載されません。一方、履歴書や面接で退職理由を伝える場合は、実際の経緯に沿って説明するのが基本です。倒産や事業所の廃止など本人に責任のない理由であれば、その事実を簡潔に説明しましょう。

会社都合の退職でも退職届は必要ですか?

退職届の提出を求められた場合は、記載する退職理由を確認してください。

退職届に「一身上の都合により」と書くと、会社が離職票に記載する離職理由と食い違うことがあります。ただし離職理由を最終的に判定するのはハローワークなので、書類の記載だけで自己都合に確定するわけではありません。書類の書き方は「退職届の正しい書き方」で扱っています。

会社都合退職の失業手当は何か月分もらえますか?

所定給付日数は90日から330日で、離職時の年齢と被保険者であった期間で決まります。

たとえば45歳以上60歳未満で被保険者であった期間が20年以上の場合は330日です。日数は暦の月数ではなく、支給の対象になる日の日数で数えます。受給期間は原則として離職日の翌日から1年間なので、手続きが遅れると受け取り切れないことがあります。

会社はなぜ会社都合にしたがらないのですか?

離職理由は実態にもとづいて決まるもので、会社の希望で選べるものではありません。

会社側には雇用関係の助成金の要件や手続き上の事情があるといわれます。ただし助成金の支給要件は制度ごとに定められており、会社都合の離職があると助成金を受けられなくなる、と一律に言えるものではありません。記載に納得できない場合は、ハローワークに異議を申し出て、退職に至った状況を説明できます。

離職票が自己都合になっていました。会社都合に変えられますか?

ハローワークに異議を申し出て、退職に至った状況を説明することができます。

退職勧奨の記録やタイムカードなど、状況を裏づける資料があると説明しやすくなります。厚生労働省も、事業主一方の主張のみで判定することはないと説明しています。最終的な判断はハローワークが行い、その決定に不服がある場合は、処分を知った日の翌日から起算して3か月以内に都道府県労働局の雇用保険審査官へ審査請求ができます。

パワハラが原因で辞めた場合は会社都合になりますか?

上司や同僚からの著しい冷遇や嫌がらせによる離職は、特定受給資格者の範囲に含まれています。

会社がハラスメントの事実を把握しながら雇用管理上必要な措置を講じなかった場合も対象です。ただし、管理者が職務上の失態に対して注意や叱責をすることは通常起こり得ることから、そのことだけではこの基準に該当しません。手続きのときは、配置転換の辞令の写しや就業規則など、事実を示せる資料があれば持参してください。

退職勧奨に応じて辞めた場合も会社都合ですか?

事業主から退職を勧められて離職した場合は、特定受給資格者の範囲に含まれています。

ただし、従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度に応募して離職した場合は該当しません。常設の制度に自分から手を挙げた場合と、会社から個別に退職を勧められた場合を区別する趣旨です。会社の状況が悪化したあとに新しく募集された希望退職では、扱いが変わることもあります。

※ 参考元:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」/厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」/国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(2026年9月時点)

まとめ|区分はハローワークが決める。納得できなければ異議を述べられる

会社都合退職にあたるかどうかは、厚生労働省が定める17項目に照らしてハローワークが判断します。離職票が届いたら、まず離職理由の欄を確認してください。

会社都合であれば、待期7日の満了後から支給の対象になります。給付制限はありません。所定給付日数は離職時の年齢と被保険者であった期間で決まり、最大330日です。

記載に納得できない場合は、退職に至った状況を説明できます。そのために要るのは、面談の記録や勤怠の資料といった手元の証拠です。退職の前後どちらの段階でも、残せるものから残しておいてください。

手続きそのものに迷ったら、住所地を管轄するハローワークが窓口です。離職票が届く前でも、記載に納得できない段階でも相談できます。

辞めるかどうかを考えている段階であれば「仕事の辞めどきとなる14のサイン」もあわせてご覧ください。

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