【記入例つき】退職届の書き方|退職願との違い・封筒・受理されない時まで

【記入例つき】退職届の書き方|退職願との違い・封筒・受理されない時まで

この記事でわかること

  • 退職届は7つの記載項目を押さえれば形式が整い、記入例を参考に迷わず作成できる
  • 退職日が決まっていれば退職届、これから相談するなら退職願を使い、会社員は基本的に辞表を使わない
  • 退職届の受け取りを拒否されても、期間の定めがない雇用なら意思表示から原則2週間で退職できる

「退職届はどう書けばいいのだろう」と、いざ書こうとして手が止まる方は少なくありません。退職を決めるまでに悩んだぶん、最後の書類でつまずきたくないという気持ちもあるはずです。

この記事では、退職届に書く7つの項目と記入例、用紙や封筒の選び方、出すタイミングまでをまとめて解説します。あわせて、就業規則に「1か月前」と書かれている場合の考え方や、上司が受け取ってくれないときの対処法も整理しました。

目次

退職届と退職願・辞表の違い|まず出すべきはどちらか

退職届は退職が確定した後に提出する書類、退職願は退職を願い出る書類です。会社員が辞表を出す必要は基本的にありません。まずこの3つの違いを整理します。

退職届は「退職が決まったこと」を届け出る書類

退職届は、退職することが決まった後に、その事実を会社へ届け出る書類です。文末は「退職いたします」と言い切る形になります。

会社の承諾を前提としない一方的な意思表示にあたるため、提出した時点で退職の手続きが進みはじめます。上司との話し合いで退職日が決まり、あとは書面を残すだけ、という段階で使う書類だと考えてください。

会社が退職届を求めるのは、退職の意思が本人から示されたことを記録に残すためです。後から「辞めるとは言っていない」という食い違いが起きないよう、書面で残しておく意味があります。社会保険や雇用保険の資格喪失の手続きでも、退職日が確定していることが前提になります。

そのぶん、出した後の撤回は原則として認められません。まだ迷いが残っているうちは、次に説明する退職願から始めるほうが安全です。

退職願は「辞めさせてほしい」と願い出る書類

退職願は、退職させてほしいと会社に願い出るための書類です。文末は「退職いたしたく、お願い申し上げます」という依頼の形になります。

会社が承諾する前であれば、撤回できる余地が残ります。退職の意思は固まっているものの、退職日の調整がこれからという場合や、まず上司に相談したいという場合に向いています。

退職願を出した後、会社が承諾すれば退職が決まります。承諾があったとみなされる時点は、上司から返答があったときとされることも、人事の決裁が下りたときとされることもあり、会社によって運用が分かれます。

ただし、退職願の提出を法律が義務づけているわけではありません。就業規則に定めがなければ、口頭で伝えたうえで退職届だけを出す流れでも問題ありません。

辞表は役員・公務員が提出するもの。会社員は使わない

辞表は、会社の役員や公務員が、その職を辞すことを申し出るときに使う書類です。一般の会社員が辞表を出す必要は基本的にありません。

違いは契約の種類にあります。役員と会社の関係は雇用契約ではなく委任契約で、公務員は任命によって職に就いています。どちらも「雇われている」のとは前提が異なるため、書類の名前も分かれています。

会社員が辞表と書いて提出しても、退職の意思表示としては有効です。ただ、社内で不要な誤解を招くことがあるため、退職届か退職願を使ってください。

なお公務員の場合は、辞職願や退職願という呼び方が使われることもあります。所属する組織の規程で名称が決まっているため、そちらに従ってください。

【比較表】3つの書類の違いと使い分け

3つの書類の違いを表にまとめます。

書類

意味

撤回できるか

主に出す人

退職届

退職が決まったことを届け出る

原則できない

会社員(雇用契約)

退職願

退職させてほしいと願い出る

会社の承諾前なら余地がある

会社員(雇用契約)

辞表

役職・職を辞すことを申し出る

状況による

役員(委任契約)・公務員

右にスライドできます →

退職日まで決まっているなら退職届、これから相談するなら退職願、と考えると迷いません。辞表は会社員には縁のない書類です。

3つの書類はいずれも、提出しなければ退職できないというものではありません。退職の意思表示そのものは口頭でも成立します。それでも書面にするのは、言った言わないの食い違いを防ぐためです。

迷ったときは口頭で伝えてから、会社の指示に合わせる

実務でいちばん多いのは、口頭で退職の意思を伝えたうえで、会社から指示された書類を出す流れです。会社によっては独自の様式が用意されていることもあります。

書類を先に出すと、話し合いの余地がないという印象を与えかねません。退職日や引き継ぎの相談がこれからという段階では、口頭で切り出すほうが進めやすくなります。

会社の様式が用意されている場合でも、記載する項目はこの記事で説明する7つとほぼ同じです。何を書くことになるのかを知っておけば、指定の用紙を渡されても戸惑いません。

まずは直属の上司に口頭で伝え、退職日の合意ができてから書面にする。この順番であれば、どちらの書類を選んでも問題は起きにくくなります。

どちらを出すかが決まったところで、そもそも退職届に法律上の決まりがあるのかを確認します。

退職届は法律上どう位置づけられるか|民法627条と就業規則の関係

退職届の書式を定めた法律はありません。期間の定めのない雇用では、解約の申入れの日から2週間を経過することで雇用が終了すると民法第627条第1項が定めています。

退職の意思表示は2週間の経過で効力を持つ(民法627条1項)

民法第627条第1項は、雇用の期間を定めなかったときは各当事者がいつでも解約の申入れができると定めています。そして、その申入れの日から2週間を経過することによって雇用が終了するとしています。正社員のように契約期間の定めがない働き方であれば、この条文が適用されます。

ここで効力を持つのは、退職の意思表示が会社に届いたという事実です。書式の正しさや、会社が受理したかどうかは、条文の要件に含まれていません。

厚生労働省も「確かめよう労働条件」のなかで同じ説明をしています。労働者が退職届を提出するなど退職の申し入れをすれば、原則としてその後2週間経過した時点で労働契約は終了することとなる、という内容です。

条文にある「解約の申入れ」とは、辞めますという意思を相手に伝えることです。特別な手続きを指しているわけではありません。伝えた内容が会社に届いた時点から、2週間の数え方が始まります。

退職届の体裁を整えることと、退職できるかどうかは別の問題です。まず、この点を押さえておいてください。

※ 参考元:e-Gov法令検索「民法」第627条、厚生労働省「確かめよう労働条件」(2026年8月時点)

就業規則が「1か月前」でも、退職できなくなるわけではない

多くの会社は、就業規則で「退職しようとするときは1か月前までに申し出ること」といった期間を定めています。この定めがあるからといって、2週間で退職できなくなるわけではありません。

就業規則は、法律の規定を社内の運用として具体化したものです。民法第627条第1項は当事者の取り決めで変えられる規定とされており、就業規則の期間をどこまで優先させるかは、争いになれば個別に判断されます。

とはいえ、実務上は引き継ぎの都合があります。就業規則が1か月前としているなら、可能な範囲でそれに合わせて申し出るほうが、退職までの日々は穏やかに進みます。

就業規則の期間を守らなかったことを理由に、損害賠償を請求されるのではないかと心配される方もいます。実際には、引き継ぎをせずに突然出社しなくなったといった事情がない限り、請求が認められることは多くありません。申し出の期間が短かったというだけで、直ちに賠償の対象になるわけではないと考えてください。

体調や人間関係の事情で1か月を待てないという場合に、2週間という選択肢が残っている。この理解が実態に近いといえます。

厚生労働省のモデル就業規則は、日数を空欄にして各社に委ねている

就業規則の期間について、判断の材料になる資料があります。厚生労働省が公開しているモデル就業規則です。

令和7年12月版の第52条は、退職となる場合のひとつとして「退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して〇〇日を経過したとき」を挙げています。日数の部分は空欄で、各社が記入する形です。国が特定の日数を示しているわけではありません。

ただし、同じ条文の解説には日数の考え方が書かれています。期間の定めのない雇用の場合、労働者はいつでも退職を申し出ることができる。また、会社の承認がなくても、民法の規定により退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは退職となる、という内容です。

注目したいのは「会社の承認がなくても」という部分です。就業規則に何日と書いてあるかにかかわらず、民法の14日で退職は成立する。国の資料がそう説明しているということです。

勤務先の就業規則が1か月前や2か月前としている場合、それは各社が定めた運用です。守るに越したことはありませんが、2週間前の申し出が非常識だという話ではありません。

※ 参考元:厚生労働省「モデル就業規則」令和7年12月版 第52条および同条の解説(p.70)(2026年8月時点)

月給制でも2週間。627条2項は「使用者からの解約」の規定

月給制の場合は当期の前半までに申し出る必要がある、という説明を見かけることがあります。これは条文の読み違いです。

民法第627条第2項は「期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる」と定めています。主語は使用者です。会社が労働者を辞めさせる場面の規定であり、労働者が辞める場面には当てはまりません。

この区別は2020年に施行された改正で明確になりました。改正前の条文には主語の限定がなく、労働者にも当期前半の制約があると読める形でした。古い解説がそのまま残っている記事もあるため、注意してください。

月給制でも年俸制でも、退職を申し出る側に立つ限り、第1項の2週間が原則です。給与の締め日や支給日と、退職できる時期は連動しないと理解しておいてください。

※ 参考元:e-Gov法令検索「民法」第627条第2項(2026年8月時点)

就業規則と民法が食い違うときの実務

就業規則の期間と民法の2週間が食い違ったとき、実際の職場ではどう処理されているのか。整理すると次のようになります。

場面

民法上の扱い

実務上の対応

就業規則に期間の定めがない

申し出から2週間で終了する

2週間前を目安に申し出る

就業規則が「1か月前」

申し出から2週間で終了する

引き継ぎを考えると1か月前が無難。難しければ2週間前で申し出る

就業規則が「3か月前」など長期

申し出から2週間で終了する

長すぎる定めは合理性が争われうる。まず相談し、折り合えなければ2週間前で申し出る

会社が退職日を認めない

申し出から2週間で終了する

申し出た日の記録を残す。必要なら内容証明郵便を使う

右にスライドできます →

表の4つの場面に共通しているのは、民法上の結論は変わらないという点です。変わるのは、そこへ至るまでの進め方だけです。

なお、会社都合退職と自己都合退職では、離職後に受けられる給付の条件が変わります。自分がどちらの区分になるのかを確かめたい方は、会社都合退職と自己都合退職の違いをご覧ください。

法律上の位置づけが分かったところで、実際に書き始める前に確認しておくことを3つ挙げます。

退職届を書く前に確認する3つのこと

退職届を書く前に確認するのは、就業規則の退職条項、退職日、提出先の3つです。この3つが決まっていれば、書き直しは起きません。

就業規則の「退職」の条項を確認する

最初に確認するのは、勤務先の就業規則にある「退職」の条項です。見るのは次の3点です。

  • 退職の申し出は何日前までとされているか
  • 退職願または退職届の提出が定められているか
  • 提出先が指定されているか

就業規則は、事業場に備え付けるなどして従業員がいつでも見られる状態にしておくことが、労働基準法で義務づけられています。見当たらない場合は、総務や人事に閲覧を申し出て問題ありません。

就業規則がどこにあるか分からない場合は、社内の共有フォルダや社内ポータル、入社時に渡された資料を探してみてください。それでも見つからなければ、人事や総務に「就業規則を確認したい」と伝えれば足ります。退職を検討していることまで説明する必要はありません。

会社独自の様式が定められていることもあります。その場合は、自分で用意した退職届ではなく指定の用紙を使うことになるため、書き始める前に確認しておくと二度手間を避けられます。

退職日を決める(有給休暇・引き継ぎ・社会保険)

退職日は、 まず上司と話し合い、合意した日を書くのが一般的です。 話し合いがまとまらない場合の考え方は、この後の「受け取ってもらえないときの対処法」で説明します。

決めるときに関わってくるのは、主に次の3つです。

  • 残っている年次有給休暇を消化できるか
  • 担当業務の引き継ぎが終わるか
  • 社会保険の資格を失う日をいつにするか

社会保険の資格を失うのは退職日の翌日です。月末に退職するとその月の社会保険料が給与から引かれます。月の途中で退職した場合は、勤務先の健康保険・厚生年金について、原則としてその月分の保険料がかかりません。 ただし国民健康保険などへの切り替えが必要になるため、どちらが有利かは一概にいえません。

実務では月末を退職日にすることが多くなっています。給与計算の締めと合いやすく、社会保険の切り替えも分かりやすいためです。有給休暇を消化してから退職する場合は、最終出社日と退職日が別の日になります。退職届に書くのは、最終出社日ではなく退職日のほうです。

賞与の支給日との関係で悩む場合は、ボーナス前に退職はもったいない?で月別の考え方を整理しています。

※ 参考元:e-Gov法令検索「健康保険法」第156条第3項、「厚生年金保険法」第19条第1項(2026年8月時点)

提出先は直属の上司。人事へ直接出さない

退職届の提出先は、原則として直属の上司です。人事部や、さらに上の役職者へ直接持ち込むのは避けてください。

理由は指揮命令系統にあります。上司を飛ばして提出すると、上司が自分の部下の退職を人事から聞かされることになります。差し戻されて出し直しになるケースも珍しくありません。

ハラスメントを受けているなど、直属の上司に伝えられない事情があるときは例外です。その場合は人事部やコンプライアンスの窓口に事情を説明したうえで、提出先の指示を仰いでください。

上司が長期の休みに入っている、あるいは異動の直後で担当がはっきりしないという場合もあります。判断に迷うときは、口頭で退職の意思を伝える段階で「どなたにお渡しすればよいでしょうか」と確認しておくと確実です。

確認が終わったら、実際に書いていきます。

【記入例つき】退職届の書き方7項目

退職届は、表題・書き出し・退職理由・退職日・文末・提出年月日と署名・宛名の7項目で構成します。この順に埋めれば形式は整います。

項目

書くこと

よくある間違い

①表題

「退職届」

退職願と混同する

②書き出し

「私儀」または「私事」

「私議」と書く

③退職理由

「一身上の都合により」

転職先や不満を書き添える

④退職日

合意した年月日

提出日と取り違える

⑤文末

「退職いたします」

依頼の形にしてしまう

⑥提出年月日・所属・氏名

手渡す日付と署名

退職日と同じ日付にする

⑦宛名

会社の正式名称と代表者名

直属の上司名を書く

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間違いが起きやすいのは、④と⑥の日付、そして⑤の文末です。書き終えたらこの3か所を見直してください。

①表題:1行目に「退職届」と書く

1行目に「退職届」と書きます。縦書きなら中央よりやや上、横書きなら中央に配置します。

字は本文より少し大きめにすると、書類の性質がひと目で分かります。「退職届」と「退職願」で意味が変わるため、どちらを出すのかを決めてから書き始めてください。

「退職届け」と送り仮名を付ける書き方は、書類の表題としては使いません。「退職届」の3文字で書きます。

②書き出し:「私儀」または「私事」

2行目に「私儀」または「私事」と書きます。どちらも「私事ですが」という意味の書き出しで、読み方は「わたくしぎ」「わたくしごと」です。どちらを使っても違いはありません。

縦書きでは行の下端、横書きでは行の右端に寄せて書きます。自分のことを一段下げて述べる、という形式にならったものです。「私議」は別の言葉なので使いません。

③退職理由:自己都合は「一身上の都合により」

退職理由は「一身上の都合により」と書きます。自己都合で退職する場合、これ以上詳しく書く必要はありません。

転職先の社名や、待遇への不満、人間関係の事情を書き添えるのは避けてください。退職届は記録として社内に残る書類です。感情や交渉の材料をここに書き込むと、後の手続きが複雑になります。

上司から口頭で理由を尋ねられることはあります。そのときも、書面に残す理由は「一身上の都合」で構いません。話す内容と、書類に書く内容を分けて考えてください。

口頭で伝える理由のほうを整理しておきたい方は、仕事を辞めたいと思う理由TOP10が参考になります。なお会社都合の退職では書き方が変わるため、この点は後半のケース別で説明します。

④退職日:上司と合意した日付を書く

上司と話し合って合意した退職日を書きます。「令和8年9月30日をもって」のように、年月日を省略せずに記載してください。

和暦と西暦のどちらでも構いませんが、書類のなかで統一します。退職日と、この後に書く提出年月日は別の日付です。取り違えやすいので、書き終えたら見直してください。

「〇月末日をもって」という書き方でも通じますが、日付まで書いておくほうが確実です。給与計算や社会保険の手続きは日付で処理されるため、書類に日付が入っていると社内の確認が一度で済みます。

退職日を空欄のまま提出することはできません。円満に調整できる場合は、先に上司との話し合いを済ませてから記載してください。話し合いがまとまらないときの考え方は、「受け取ってもらえないときの対処法」で説明します。

⑤文末:「退職いたします」と言い切る

本文の締めくくりは「退職いたします」と書きます。退職願の場合は「退職いたしたく、お願い申し上げます」です。

この一文で書類の性質が変わります。「いたします」は決定の報告で、「お願い申し上げます」は承諾を求める依頼です。表題を「退職届」としながら文末を依頼の形にすると、どちらの意味なのかが読み手に伝わりません。

表題と文末はセットで確認してください。

⑥提出年月日・所属・氏名・押印

本文の次の行に、退職届を提出する日付を書きます。実際に手渡す日を書いてください。

その下に所属部署と氏名を書きます。縦書きでは行の下端に寄せます。氏名の下に押印する慣習がありますが、押印を義務づける法律はありません。会社の様式に押印欄がある場合や、社内の慣行がある場合に押しておけば十分です。

パソコンで作成した場合も、氏名だけは自筆にしておくと、本人の意思であることが分かりやすくなります。押す印鑑は認印で構いません。シャチハタのようなインク浸透印は、社内の様式で認められていない場合があるため、朱肉を使う印鑑を選んでおくと確実です。

⑦宛名:会社の正式名称と代表者名

最後に宛名を書きます。会社の正式名称と、代表者の役職・氏名を書き、敬称は「殿」または「様」とします。

「株式会社」を「(株)」と略さないでください。代表者名は、直属の上司ではなく代表取締役の氏名です。提出先は上司ですが、宛先は会社の代表者になります。

宛名は、自分の氏名より上の位置に書きます。縦書きなら氏名の左隣で、行の上端をそろえます。自分の名前より下に書くと、敬意の示し方として不自然になります。

会社名が長い場合でも、途中で改行せず1行に収めるのが基本です。用紙の幅に収まらないときは、文字を少し小さくして調整してください。

【そのまま使える】退職届・退職願の文面テンプレート

以下の文面をそのまま使えます。〔 〕の部分をご自身の情報に置き換えてください。

退職届(縦書き用)

退職届

私儀

このたび一身上の都合により、〔令和◯年◯月◯日〕をもって退職いたします。

〔令和◯年◯月◯日〕

〔◯◯部〕 〔氏名〕 ㊞

〔株式会社◯◯〕

代表取締役 〔◯◯ ◯◯〕殿

退職願(縦書き用)

退職願

 私儀

このたび一身上の都合により、〔令和◯年◯月◯日〕をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。

 〔令和◯年◯月◯日〕

〔◯◯部〕 〔氏名〕 ㊞

 〔株式会社◯◯〕

代表取締役 〔◯◯ ◯◯〕殿

横書きで作成する場合の並び順は、縦書きと少し変わります。1行目の右上に提出年月日、次に左寄せで宛名、その下に右寄せで所属と氏名、そのあとに中央揃えで表題を置き、本文を書きます。文面そのものは変わりません。

退職届(横書き用)

                   〔令和◯年◯月◯日〕

〔株式会社◯◯〕

代表取締役 〔◯◯ ◯◯〕殿

                    〔◯◯部〕 〔氏名〕 ㊞

             退職届

私儀

このたび一身上の都合により、〔令和◯年◯月◯日〕をもって退職いたします。

                            以上

【この後につまずきやすい3つ】

テンプレートをそのまま使う場合も、日付と会社名だけは自分で確かめてください。特に会社の正式名称は、普段の呼び名と表記が違うことがあります。名刺や労働条件通知書で確認しておくと確実です。

文面が固まったら、次の3つを確認しておくと手戻りがありません。

  • いつ、誰に、どうやって渡すのか → 「退職届の出し方」の章
  • 受け取ってもらえなかったらどうなるのか → 「受け取ってもらえないときの対処法」の章
  • 会社都合や契約社員の場合はどう書くのか → 「ケース別の書き方」の章

文面が決まったら、次は何に書くかです。用紙とペン、封筒の選び方を確認します。

用紙・ペン・封筒の選び方と折り方

退職届は白無地のB5またはA4の用紙に、黒のボールペンか万年筆で書きます。封筒は用紙に合う白無地で、郵便番号枠のないものを選びます。

用紙は白無地のB5またはA4

用紙に決まりはありません。白無地の便箋か、A4・B5のコピー用紙であれば問題ありません。罫線が入った便箋を使っても構いません。

色付きの用紙や、キャラクターの入った便箋は避けてください。退職届は社内に保管される正式な書類です。ビジネス文書として自然に見えるものを選べば十分です。

手元に適当な用紙がない場合は、コピー用紙で構いません。特別な紙を買いに行く必要はないと考えてください。市販の退職届用紙も売られていますが、使わなければならないものではありません。

サイズはB5でもA4でも構いません。手書きで縦書きにする場合はB5、パソコンで作成して印刷する場合はA4を選ぶ方が多くなっています。会社の様式がある場合は、そのサイズに合わせてください。

ペンは黒のボールペンか万年筆を使う

筆記具は黒のボールペンか万年筆を使います。消えるボールペンは、熱で文字が消えるおそれがあるため使いません。

書き損じたときは、修正液や修正テープで直さず、新しい用紙で書き直してください。修正の跡が残っていると、書き換えを疑われる余地が生まれます。二重線を引いて訂正印を押す方法も、退職届では使いません。

鉛筆やシャープペンシルも使いません。あとから書き換えられる筆記具は、正式な書類には向かないためです。

手書きとパソコン、縦書きと横書きの選び方

手書きとパソコン、縦書きと横書きのどちらでも、退職届の効力は変わりません。書式を定めた法律がないためです。

手書きの場合は縦書きが慣習として選ばれることが多く、パソコンで作成する場合は横書きが一般的です。会社に指定の様式があるときは、そちらを優先してください。

パソコンで作成して印刷し、氏名だけを自筆で書き入れる。この形にしておくと、読みやすさと本人性の両方を満たせます。字に自信がない方や、書き損じを繰り返してしまう方には、この方法が現実的です。

手書きにこだわる必要はありませんが、社内の慣行として手書きが定着している職場もあります。過去に退職した同僚がどうしていたか分かる場合は、それに合わせておくと無難です。

便箋の三つ折りと封筒への入れ方

用紙は三つ折りにします。折る順番は、まず下から3分の1を折り上げ、次に上から3分の1をかぶせる形です。

折り目がずれると全体の印象が変わります。用紙の角をそろえてから、定規などを当てて折ると整います。四つ折りにはしません。折り目が多いほど、開いたときに読みにくくなるためです。

封筒に入れるときは、封筒の裏から見て、書き出しが右上に来る向きにします。受け取った人が封筒から出してそのまま開けば読める向きです。

封筒の選び方と表面・裏面の書き方

封筒は白無地で、郵便番号の枠がないものを選びます。郵送用の封筒とは別物なので、枠つきの茶封筒は使いません。郵便番号の枠があると、そのまま投函する書類のように見えてしまうためです。

サイズは用紙に合わせます。三つ折りにしたB5の用紙なら長形4号、A4の用紙なら長形3号が目安です。どちらも封筒の商品名としてコンビニや文具店で通じます。

中身が透けにくい二重封筒を選んでおくと、より丁寧な印象になります。手元の封筒を使う場合は、三つ折りにした用紙を入れてみて、余裕をもって収まるかを確かめてください。

表面は中央に「退職届」とだけ書きます。会社名や上司の名前は書きません。裏面は左下に所属部署と氏名を書きます。

手渡しする場合は封をしなくても構いません。その場で中身を確認してもらうことがあるためです。封をするときは、のり付けをしたうえで、封じ目に「〆」と書き添えます。セロハンテープやホチキスは使いません。

封筒に書く文字も、本文と同じ黒のボールペンで書きます。表面の「退職届」は封筒の中央に、少し大きめの字で書くと収まりがよくなります。

書類の準備が整ったら、次はいつ誰に渡すかです。

退職届の出し方|タイミング・渡し方・郵送・メール

退職届は、口頭で退職の意思を伝えて退職日の合意ができた後に提出します。いきなり書類から入ると、話し合いの余地がないという印象を与えます。

出すタイミングは、口頭で伝えて退職日が決まった後

退職の話は、まず口頭で切り出すのが基本です。そのうえで退職日の合意ができてから、退職届を用意します。

書類を先に出しても法的には有効ですが、会社側は「もう決めてしまったのか」と受け取ります。引き継ぎの相談や有給休暇の調整を控えている段階では、進め方として不利に働きます。

順番としては、まず口頭で退職の意思を伝え、退職日と引き継ぎの見通しを相談し、合意ができた段階で退職届を用意する。この3段階になります。1回の面談ですべてが決まるとは限らないため、余裕を持って切り出してください。

退職を切り出すこと自体が難しいと感じている場合は、「仕事辞めたい」が言えない時の解決策5つで対処法を整理しています。

渡し方は、時間と場所を選んで直接手渡す

退職届は直属の上司に直接手渡します。周囲に人がいない場所と時間を選んでください。

始業前や終業後、あるいは会議室を押さえて渡すのが一般的です。忙しい時間帯に立ち話で渡すのは避けます。

渡すときは「先日ご相談した件で、退職届をお持ちしました」と一言添えれば十分です。改めて理由を述べる必要はありません。封筒は表面を相手に向け、両手で差し出します。

その場で受け取ってもらえたら、それで手続きは前に進みます。「後で見ておく」と保留された場合は、いつ頃までに確認してもらえるかだけ確かめておくと、次の動きが取りやすくなります。

郵送する場合の手順と添え状

体調を崩している場合など、手渡しが難しいときは郵送でも構いません。退職の意思表示に方法の決まりはないためです。

郵送するときは封筒を二重にします。退職届を入れた白封筒を、そのまま入る大きさの郵送用封筒に入れる形です。郵送用封筒の表には会社の住所と宛名、裏には自分の住所と氏名を書きます。

あわせて添え状を1枚同封します。手渡しできない事情と、書類を送った旨を数行で書けば十分です。

添え状の文例

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

このたび一身上の都合により、退職させていただきたく、

退職届を同封いたしました。

本来であれば直接お渡しすべきところ、

〔体調不良のため/遠方におりますため〕、

書面にて失礼いたします。

在職中に賜りましたご厚情に、心より御礼申し上げます。

末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。

敬具

送るときは、届いたことを確認できる方法を選んでおくと安心です。普通郵便では、届いたかどうかを後から確かめられません。

メールで送ってよいケースと注意点

メールで送った場合も、退職の意思表示としては有効です。ただし、まずは書面での提出を求められることがほとんどです。

会社側は退職の手続きにあたって書類を保管する必要があります。メールだけで完結させようとすると、後から改めて書面を求められる流れになりがちです。

メールで送る場合は、件名に「退職届の提出について」と入れ、本文に退職の意思と退職希望日を書き、退職届のファイルを添付します。上司の個人宛だけでなく、人事部にも同送しておくと記録が残ります。

手渡しも郵送も難しい事情があるときの手段として考えておいてください。その場合も、送信済みメールは残しておいてください。

提出前にコピーまたは写真を残しておく

退職届を渡す前に、コピーを取るか写真を撮っておいてください。手元に控えがあるかどうかで、後の状況が変わります。

退職届を受け取ってもらえなかった場合や、提出した事実そのものを否定された場合、控えが唯一の記録になります。いつ、誰に、何を渡したのかをメモに残しておくと、さらに確実です。

多くの場合、控えは使わずに終わります。それでも、用意しておく手間はわずかです。

では、実際に受け取ってもらえなかったときはどうなるのかを見ていきます。

退職届を受け取ってもらえないときの対処法

退職届を受け取ってもらえなくても退職は成立します。受理は退職の条件ではなく、意思表示が会社に到達した記録が残っているかどうかが要点になります。

受け取りを拒否されても、退職は2週間の経過で成立する

民法第627条第1項が定めているのは、解約の申入れの日から2週間を経過することで雇用が終了するという結果です。会社が受理したかどうかは条件に入っていません。

厚生労働省も、労働者が退職届を提出するなど退職の申し入れをすれば、原則としてその後2週間経過した時点で労働契約は終了することとなる、と説明しています。

したがって、必要なのは受理してもらうことではありません。申し入れたという事実を残すことです。この違いを押さえておくと、次に何をすればよいかがはっきりします。

「後任が決まるまで待ってほしい」「今は認められない」と言われることもあります。引き継ぎへの配慮は必要ですが、それに応じるかどうかは本人が決められます。会社の承諾がなければ辞められない、ということはありません。

※ 参考元:e-Gov法令検索「民法」第627条、厚生労働省「確かめよう労働条件」(2026年8月時点)

受け取ってもらえなかった事例で効いた記録

受け取りを拒否されたとき、後から効いてくるのは記録です。残しておくとよいものを挙げます。

  • 退職届のコピー、または写真
  • いつ、誰に、どこで渡そうとしたかのメモ
  • その場に同席していた人の氏名
  • 退職の意思を伝えたメールやチャットの履歴
  • 内容証明郵便で送った場合の控え

特別な準備は要りません。渡そうとしたその日のうちに、事実だけを書き留めておけば十分です。感想や評価は書かず、日時・場所・相手・やり取りの内容だけを残します。

メールで退職の意思を伝えておくのも有効です。上司が受け取りを拒んでも、送信した記録そのものは消えません。口頭でのやり取りの後に「本日ご相談した件を、記録のためお送りします」と1通送っておくと、それが日付の証拠になります。

内容証明郵便で送る手順

手渡しを断られた場合、内容証明郵便で退職届を送る方法があります。いつ、どんな内容の文書を、誰から誰宛てに出したかを郵便局が証明する仕組みです。

日本郵便によると、差し出すときに必要なものは次のとおりです。

  • 内容文書(会社へ送るもの)1通
  • その謄本2通(差出人と郵便局が1通ずつ保存する)
  • 差出人と受取人の住所氏名を書いた封筒
  • 郵便料金と内容証明の加算料金

加算料金は480円で、2枚目からは290円が加わります。内容証明は一般書留にする必要があり、配達証明を併せて付けると、相手に届いた日付も記録として残ります。

内容文書には、退職の意思と退職日を明記します。「私儀、一身上の都合により、令和◯年◯月◯日をもって退職いたします」という一文があれば足ります。宛先は会社の代表者です。

差し出せる郵便局は集配郵便局などに限られるため、事前に確認してから向かってください。差し出した日から5年以内であれば、郵便局に保存された謄本を閲覧することもできます。

なお、インターネットから24時間受け付ける電子内容証明のサービスもあります。郵便局の窓口に行く時間が取れない場合は、こちらも選択肢になります。

※ 参考元:日本郵便株式会社「内容証明」(2026年8月時点)

相談できる公的な窓口

自分だけで進めるのが難しいと感じたら、公的な窓口に相談できます。費用はかかりません。

会社と直接やり取りを続けることに疲れてしまった場合も、第三者に状況を整理してもらうだけで見通しが立つことがあります。ひとりで抱え込まずに使ってください。

厚生労働省によると、総合労働相談コーナーは各都道府県の労働局や全国の労働基準監督署内など378か所に設置されています。退職をめぐるトラブルもここで扱っており、利用は無料です。必要に応じて、会社への助言や指導につながる場合もあります。

予約は不要ですが、専門の相談員が不在のこともあるため、事前に連絡しておくと確実です。相談するときは、これまでに残した記録を持参してください。退職届のコピー、やり取りのメモ、メールの履歴があれば、状況が伝わりやすくなります。

退職を認めないという対応が常態化している職場では、ほかにも問題が起きている可能性があります。ブラック企業の特徴10個と見分け方も参考にしてください。

自己都合退職の相談は年間38,386件。特殊な事態ではない

退職をめぐって揉めているのは、自分だけではありません。国の統計にもはっきり表れています。

厚生労働省の「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を見ると、民事上の個別労働紛争の相談は277,053件でした。1回の相談が複数の内容にまたがることがあるため、内容別に数え直した延べ件数は327,359件です。このうち「自己都合退職」が38,386件で、11.7%を占めています。厚生労働省が主な相談内容として挙げている5つのなかでは、「いじめ・嫌がらせ」に次ぐ2番目の多さです。

相談内容

件数

割合

いじめ・嫌がらせ

55,614件

17.0%

自己都合退職

38,386件

11.7%

労働条件の引下げ

33,368件

10.2%

解雇

32,651件

10.0%

退職勧奨

26,022件

7.9%

右にスライドできます →

※ 割合は内訳延べ相談件数327,359件に占める割合です。

解雇や退職勧奨よりも、自己都合退職をめぐる相談のほうが多いことが分かります。窓口の側にも対応の蓄積があるということです。相談したところで珍しがられる、ということはありません。

※ 参考元:厚生労働省「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」(2026年7月公表)

退職代行を使う場合の判断

自分で連絡を取ること自体が難しい場合、退職代行という選択肢もあります。判断の分かれ目は、運営元によって対応できる範囲が変わる点です。

民間企業が運営するサービスは退職の意思を伝えるところまで、労働組合や弁護士が運営するサービスは有給休暇や未払い賃金の交渉まで、というように守備範囲が異なります。何を任せたいのかを先に決めてから選んでください。

費用は発生しますが、心身の負担が限界に近い場合には、選択肢として検討する価値があります。ここまで説明した内容証明や公的窓口で解決できる場合も多いため、まずはそちらを試してから判断しても遅くはありません。

サービスごとの違いは退職代行のおすすめ9選で比較しています。

ここまでは正社員を前提に説明してきました。次に、状況によって書き方が変わるケースを見ていきます。

【ケース別】退職届の書き方が変わる5つの状況

退職届の書き方が変わるのは、会社都合の退職と、契約期間の定めがある場合です。試用期間中やパート・アルバイトは、正社員と同じ書き方で問題ありません。

状況

退職理由の書き方

注意点

会社都合退職

「一身上の都合」とは書かない

そもそも提出を求められないことが多い

契約社員・派遣社員

「一身上の都合により」

契約期間の途中は原則として退職できない

試用期間中

「一身上の都合により」

正社員と同じ。書き方は変わらない

パート・アルバイト

「一身上の都合により」

期間の定めがなければ正社員と同じ

明示された労働条件と実態が違った

「一身上の都合により」

2週間を待たずに退職できる場合がある

右にスライドできます →

5つのうち、書類の書き方そのものが変わるのは会社都合退職だけです。ほかは、退職できる時期の考え方が変わります。

①会社都合退職:「一身上の都合」と書いてはいけない

会社都合で退職する場合、「一身上の都合により」と書いてはいけません。自己都合で辞めたことを自分で認める記載になるためです。

会社都合の退職では、そもそも退職届の提出を求められないことが多くあります。求められた場合も、「貴社退職勧奨に伴い」「事業所閉鎖に伴い」など、事実に沿った理由を書きます。理由の書き方に迷うときは、提出を保留して確認してください。

この区別は、離職後に受けられる給付の条件に関わります。自分がどちらの区分になるのかは、会社都合退職と自己都合退職の違いで確認できます。

会社都合であるにもかかわらず「一身上の都合により」と書いた退職届を出すと、後から自己都合を主張する材料として使われる余地が残ります。書き方に迷ったら、まず離職理由がどちらになるのかを会社に確認してください。

解雇や退職勧奨を受けている場面で、内容のよく分からない書類に署名を求められた場合は、その場で応じないでください。詳しくは試用期間中の解雇は不当?でも触れています。

②契約社員・派遣社員:契約期間の途中は原則として退職できない

契約期間の定めがある働き方の場合、民法第627条第1項の2週間のルールは適用されません。原則として、契約期間の満了まで働くことになります。

ただし例外があります。民法第628条は、期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは各当事者が直ちに契約の解除をすることができると定めています。病気や家族の介護など、働き続けることが難しい事情がこれにあたります。

やむを得ない事由にあたるかどうかは、個別の事情で判断されます。あらかじめ範囲が決まっているものではないため、迷う場合は労働局の総合労働相談コーナーなどに事情を伝えて相談してみてください。

退職届の書き方そのものは正社員と同じです。変わるのは、退職日をいつに設定できるかという点だけです。契約の更新時期が近いのであれば、更新をしないという形で区切りをつける方法もあります。

※ 参考元:e-Gov法令検索「民法」第628条(2026年8月時点)

③試用期間中:書き方は正社員と同じ

試用期間中でも、退職届の書き方は正社員と変わりません。試用期間は本採用前の期間ではありますが、労働契約はすでに成立しています。

期間の定めのない契約であれば、民法第627条第1項の2週間が適用されます。入社間もない時期でも、辞められないということはありません。

試用期間中は正式に採用されていないと思われがちですが、そうではありません。本採用を前提とした契約がすでに結ばれていて、会社側に一定の解約権が留保されている状態です。労働者側の退職に制限がかかるわけではありません。

短い期間で辞めることへの気まずさが先に立つ方は、試用期間で辞めるのは甘え?をご覧ください。

④パート・アルバイト:期間の定めがなければ正社員と同じ

パート・アルバイトも、契約期間の定めがなければ正社員と同じ扱いです。2週間前に申し出れば退職できます。

口頭のやり取りで済ませることが多い働き方ですが、シフトの調整が絡むため、書面にしておくと日付の認識のずれを防げます。

契約期間が定められている場合は、契約社員と同じ考え方になります。雇用契約書や労働条件通知書で期間の有無を確認してください。

学生アルバイトなどで、退職ではなく「辞めます」という言い方で済ませることも多い働き方です。それでも、シフトが組まれている期間がある場合は、書面で日付を残しておくほうが後の連絡が減ります。

⑤提示された労働条件と実態が違った場合は、即時に退職できる

入社してみたら、提示されていた労働条件と実際が違っていた。この場合は、2週間を待たずに退職できる可能性があります。

労働基準法第15条第2項は、明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は即時に労働契約を解除することができると定めています。給与額や勤務地、職種などが労働条件通知書と違っていたときが該当します。

この場合、労働条件通知書や雇用契約書など、入社時に明示された労働条件が分かる書類を手元に残しておいてください。求人票は募集の段階で示された条件で、職業安定法にもとづく明示にあたります。労働基準法第15条第2項がいう「明示された労働条件」とは別のものですが、経緯を示す補助資料として保管しておくと状況を説明しやすくなります。給与明細やシフト表など、実態を示せるものもあわせて残しておいてください。

なお、この規定を使って退職した場合でも、退職届の文面は「一身上の都合により」で構いません。条件の相違を理由として主張する場面と、書類の記載は分けて考えてください。

※ 参考元:e-Gov法令検索「労働基準法」第15条第2項、「職業安定法」第5条の3(2026年8月時点)

退職届を出した後は、退職日までにやることが残っています。

退職届を出した後にやること

退職届の提出後は、引き継ぎと返却物の準備を進めながら、離職票と源泉徴収票を含む4種類の書類を受け取ります。

引き継ぎと返却物を準備する

引き継ぎは、退職日から逆算して段取りを立てます。退職日の直前に業務が集中すると、有給休暇を消化できなくなります。最終出社日をいつにするかを先に決め、そこから逆算して進めるのが確実です。

会社へ返すものは、おおむね次のとおりです。

  • 資格確認書(交付されている場合。本人と扶養家族の分)
  • 社員証・入館証
  • 名刺(自分の分と、受け取った取引先の分)
  • 貸与されているパソコン・携帯電話
  • 通勤定期券(会社が支給している場合)
  • 業務で作成した資料やデータ

引き継ぎ資料は、後任が決まっていなくても作っておきます。口頭での説明だけで済ませると、退職後に連絡が来ることになります。担当業務の一覧、進行中の案件の状況、取引先の連絡先、定例の作業の手順。この4つがそろっていれば、多くの場合は足ります。

退職時に受け取る4つの書類

退職にあたって会社から受け取る書類は4つです。転職先への提出や、失業給付の手続きに使います。

  • 離職票(雇用保険の給付を受けるときに必要。退職後に郵送されることが多い)
  • 雇用保険被保険者証(会社が保管している場合)
  • 源泉徴収票(その年の給与の記録。転職先の年末調整に使う)
  • 年金手帳または基礎年金番号通知書(会社が保管している場合)

離職票は、会社がハローワークで手続きをしてから発行されるため、退職日当日には受け取れません。転職先が決まっている場合は不要ですが、念のため発行を依頼しておくと安心です。

源泉徴収票は、年内に転職する場合、転職先の年末調整で使います。届くのが遅れることもあるため、退職の手続きの際にいつ頃発送されるかを確認しておいてください。

勤務先の健康保険の資格は、退職日の翌日に失われます。資格確認書が交付されている場合は使えなくなるため、会社へ返却してください。マイナ保険証を使っている場合も、退職日の翌日以降は勤務先の健康保険では受診できません。退職後に医療機関にかかる予定があるときは、切り替えの手続きを早めに進めてください。

※ 参考元:厚生労働省「資格確認方法について」、全国健康保険協会「【会社を退職される方へ】保険証・資格確認書はいつから使えなくなるの?」(2026年9月時点)

次の勤務先が決まっていない状態で退職する場合の準備は、次の仕事が決まってないけど会社を辞める人の割合で整理しています。

賃金や積立金は、請求から7日以内に返還される

退職後に給与や積立金が支払われないときは、労働基準法に請求の根拠があります。

労働基準法第23条は、労働者の退職にあたって権利者から請求があった場合の扱いを定めています。使用者は7日以内に賃金を支払い、積立金や保証金など労働者の権利に属する金品を返還しなければなりません。

通常は給与の締め日と支払日に沿って処理されます。未払いがある場合に、労働者の側から支払いと返還を請求できる根拠になる規定です。 

※ 参考元:e-Gov法令検索「労働基準法」第23条(2026年8月時点)

退職証明書は請求できる

退職したことを証明する書類が必要になったときは、会社に請求できます。

労働基準法第22条は、退職時の証明について定めています。使用期間や業務の種類、退職の事由などについて労働者が証明書を請求したときは、使用者は遅滞なくこれを交付しなければなりません。請求していない事項を書き加えることはできません。

転職先から在籍期間の証明を求められた場合や、離職票が届く前に手続きを進めたい場合に使えます。請求できる期間は退職後2年間とされています。

※ 参考元:e-Gov法令検索「労働基準法」第22条(2026年8月時点)

退職後の面接で退職理由をどう伝えるかは、面接での退職理由と、30代700人に聞いた転職のリアルの調査結果が参考になります。

最後に、よくある質問をまとめます。

【Q&A】退職届に関するよくある質問

退職届について検索されることの多い質問を8つ取り上げます。書き始める前に目を通しておくと、迷いやすい箇所を先に片づけられます。

退職願を出さずに退職届だけ出してもいいですか?

退職届だけを出しても問題ありません。退職願は法律上の必須書類ではありません。

退職願は「辞めさせてほしい」と会社に願い出る書類で、提出義務はありません。就業規則で「退職願を提出すること」と定めている会社もあるため、まず就業規則を確認してください。定めがなければ、口頭で退職の意思を伝えたうえで退職届を提出する流れで足ります。両方を出す必要はありません。

退職届は何日前に出せばいいですか?

民法上は2週間前です。就業規則に1か月前と定めがあれば、それに沿うほうが円満に進みます。

期間の定めのない雇用では、解約の申入れの日から2週間を経過することで雇用が終了すると民法第627条第1項が定めています。一方で就業規則が1か月前としている会社も多く、引き継ぎの都合もあるため、可能であれば就業規則の期間に合わせて申し出るほうがトラブルになりにくい傾向があります。厚生労働省のモデル就業規則の解説にも、会社の承認がなくても申出から原則14日で退職となる旨が書かれています。

退職届は縦書きでないとだめですか?

縦書きでも横書きでも有効です。退職届の書式を定めた法律はありません。

縦書き・横書きのどちらでも効力は変わりません。手書きの場合は縦書きが慣習として選ばれることが多く、パソコンで作成する場合は横書きが一般的です。会社に指定の様式があるときは、そちらを優先してください。記事内に両方のテンプレートを掲載しています。

退職届は手書きとパソコン、どちらがいいですか?

どちらでも有効です。会社に指定がなければパソコンで作成しても問題ありません。

手書きが求められるのは慣習によるもので、法的な要件ではありません。ただし署名欄だけは自筆にしておくと、本人の意思であることが分かりやすくなります。会社の規定や、これまでの社内の慣行を上司に確認してから決めると確実です。印刷して氏名だけ手書きにする形が、実務では扱いやすい方法です。

退職届に「一身上の都合」と書かなくてもいいですか?

自己都合退職なら「一身上の都合により」と書くのが基本です。詳しい理由は必要ありません。

退職理由を細かく書く必要はなく、自己都合の場合は「一身上の都合により」で足ります。転職先の社名や、待遇への不満を書き添える必要もありません。ただし会社都合の退職では書き方が変わります。会社都合であるのに「一身上の都合」と書くと、離職票の区分と食い違う可能性があります。

一度出した退職届は撤回できますか?

退職届は原則として撤回できません。撤回の余地が残るのは退職願の段階です。

退職届は退職の意思が確定したことを届け出る書類のため、会社が受け取った後の撤回は原則として認められません。退職願は会社が承諾する前であれば撤回できる余地があります。迷いが残っている段階では、退職届ではなく退職願から始めるほうが安全です。撤回したい事情ができた場合は、早めに上司へ相談してください。

会社は退職届を拒否できますか?

拒否されても退職は成立します。受理は退職の条件ではありません。

厚生労働省も、労働者が退職の申し入れをすれば原則としてその後2週間経過した時点で労働契約は終了すると説明しています。受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便で送るか、労働局の総合労働相談コーナーに相談する方法があります。相談は無料で、予約なしでも受け付けています。

退職届はメールや郵送で送ってもいいですか?

郵送・メールでも意思表示は有効ですが、まず手渡しを試すのが基本です。

退職の意思表示に方法の定めはないため、郵送やメールでも法的には成立します。ただし社内の記録や手続きの都合があるため、直属の上司へ手渡しするのが基本です。体調不良や受け取り拒否など手渡しが難しい事情があるときに、郵送を選ぶ流れになります。郵送する場合は添え状を同封してください。

まとめ|退職届は7項目で完成する。受理されなくても退職はできる

退職届は7項目を押さえれば形式が整い、書式の正しさが退職の可否を決めるわけではありません。

表題・書き出し・退職理由・退職日・文末・提出年月日と署名・宛名。この順に埋めれば形式は整います。用紙もペンも封筒も、白無地と黒を選んでおけば外しません。

そして、会社が受け取らなかった場合でも、期間の定めのない雇用であれば、申し入れの日から2週間を経過すれば雇用は終了します。必要なのは受理してもらうことではなく、申し入れた記録を残すことです。渡す前にコピーを取る。この一手間だけは省かないでください。

就業規則が1か月前としていても、厚生労働省のモデル就業規則の解説は、会社の承認がなくても申出から原則14日で退職となると書いています。事情があって待てないときは、その選択肢が残っていることを思い出してください。

退職届を書く段階まで来た方は、すでに考えるべきことを考え終えています。あとは順番どおりに手を動かすだけです。

会社を辞めるという判断の全体像は、仕事の辞めどきとなる14のサインでまとめています。

この記事を書いた人

転職UPPP編集部は、IT・Web業界に精通した起業家、マーケティングのプロフェッショナル、そして豊富な転職経験を持つライター・ディレクターが集結した専門チームです。起業や独立、法人営業、Webマーケティング、メディア運営など、それぞれのキャリアで培った知見を活かし、転職市場の動向を分析しながら、実体験に基づいた信頼性の高い情報を発信しています。転職の成功と失敗をリアルに経験したメンバーが、読者にとって本当に役立つコンテンツを提供します。

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