
この記事でわかること
- 年内に転職先の給与の支給日がある人は、前職の源泉徴収票を出せば、前職分も合算して転職先で年末調整されるのが原則
- 前職の源泉徴収票が年末調整に間に合わない場合、転職先では年末調整ができず、翌年の確定申告で精算する
- 年内に再就職しない人は確定申告(多くは還付申告)で精算し、12月支給の給与を受けて辞めた人は退職先で年末調整
「年の途中で転職したけれど、年末調整はどちらの会社でするのだろう」と迷う方は少なくありません。退職したまま年を越しそうで、何か手続きが要るのか気になっている方もいるでしょう。年末調整は会社に任せておけば済む手続きと思われがちですが、転職した年は本人が動かないと進まない部分があります。
この記事では、年の途中で転職・退職した方が、何を、いつまでに、どこへ出せばよいのかを、国税庁の資料をもとに状況別に確認します。前職の源泉徴収票が届かないときの対処法と、2026年12月に施行される基礎控除の引上げの影響もあわせて整理しました。
秋に転職したばかりの方、年内の転職を控えている方、退職して次の仕事を探している方に向けた内容です。制度の内容は2026年9月28日に国税庁の資料で確認しています。
- 1 | 年末調整は誰がする?転職した年は原則として「年末に勤めている会社」が前職分もまとめて行う
- 2 | 【状況別】転職・退職した年の年末調整と確定申告|7つのケース早見表
- 3 | 前職の源泉徴収票はいつもらえる?転職先に出す書類と時期
- 4 | 前職の源泉徴収票がもらえない・間に合わないときの対処法|3つの手順と転職先への伝え方
- 5 | 年内に再就職しなかった人の確定申告|時期・必要なもの・しないとどうなるか
- 6 | 離職期間に払った国民年金・国民健康保険料は、年末調整でも確定申告でも控除できる
- 7 | 2026年(令和8年分)の年末調整で変わること|基礎控除の引上げと転職者への影響
- 8 | 【Q&A】転職と年末調整に関するよくある質問
- 9 | まとめ|転職先の年末調整には前職の源泉徴収票が必要。受けられなければ確定申告で精算する
年末調整は誰がする?転職した年は原則として「年末に勤めている会社」が前職分もまとめて行う
年の途中で転職した方の年末調整は、原則として年末に勤めている転職先の会社が行います。その際、前の会社で受け取った給与も合算して1年分の税額を計算します。合算に使うのが、前の会社から受け取る「給与所得の源泉徴収票」です。
年末調整とは、会社が1年分の所得税を精算する手続き
年末調整は、毎月の給与から天引きした所得税と、1年間に納めるべき所得税との差額を、会社が年末に精算する手続きです。国税庁のタックスアンサー(No.2665)では、所得税と復興特別所得税の合計額について差額を精算するものと説明されています。
毎月の天引き額は「源泉徴収税額表」で計算されており、生命保険料控除などは年末調整のときにまとめて反映されます。その結果、納め過ぎていた分があれば戻り、不足していればその分が差し引かれます。
年末調整は、会社がその年の最後に給与を支払うときに行います。対象になるのは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下、扶養控除等申告書)を会社に提出している一定の人です。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.2665「年末調整の対象となる人」、No.2668「年末調整の対象となる給与」(2026年9月28日確認)
年の途中で転職した人は、原則として転職先で前職分と合算して年末調整する
年の途中で就職し、年末まで勤めている人も年末調整の対象です。国税庁のタックスアンサー(No.2674)は、就職前にほかの会社で給与を受けていた場合、その給与も含めて年末調整を行う必要があるとしています。
その年に前の会社へ扶養控除等申告書を提出していれば、提出前に受け取った分も含めて、その年の給与を合算します。扶養控除等申告書は、扶養親族などがいない人でも、主たる給与を受ける勤務先に提出することになっています。
転職先は、前職で受けた給与の金額、天引きされた所得税、社会保険料の額を、前職の源泉徴収票で確認します。この確認ができないときは、転職先は年末調整を行えません。 その場合は、本人が翌年に確定申告をして精算することになります。
なお、基礎控除や扶養控除などの所得控除は、働いた月数で割り引かれることはありません。4月に就職した人でも、控除は1年分の全額が認められます。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.2674「中途就職者の年末調整」、No.2668「年末調整の対象となる給与」/国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和8年分)」(2026年9月28日確認)
年末調整の対象から外れる人
転職の有無にかかわらず、次のいずれかに当てはまる人は、会社の年末調整の対象になりません。
- 1年間の給与の総額が2,000万円を超える人
- 災害減免法により、給与の所得税の徴収猶予や還付を受けた人
- 勤務先に扶養控除等申告書を提出していない人(掛け持ちの2か所目の勤務先など)
- 年の途中で退職し、年末の時点で給与を受けていない人(一部の例外を除く)
最後の「一部の例外」には、12月に支給される給与を受け取った後に退職した人などが当たります。転職した人に関係する主な例外は、次の章の早見表で確認できます。
扶養控除等申告書を出していない勤務先の給与は、税額表の「乙欄」という高めの税率で天引きされます。転職先には、入社後最初の給与を受ける日の前日までに提出することになっています。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.2665「年末調整の対象となる人」/国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和8年分)」(2026年9月28日確認)
年末調整と確定申告の違い:精算するのが会社か本人か
年末調整と確定申告は、どちらも1年分の所得税を精算する手続きです。違いは、精算を会社が行うか、本人が行うかにあります。
比較する点 | 年末調整 | 確定申告 |
|---|---|---|
手続きをする人 | 勤務先の会社 | 本人 |
時期 | その年の最後の給与を支払うとき(通常は12月) | 翌年2月16日〜3月15日が原則(還付申告は翌年1月1日から5年間) |
提出先 | 勤務先 | 住所地などを所轄する税務署 |
対象になる人 | 扶養控除等申告書を出し、年末まで勤めている人など | 申告義務がある人(給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超える人など)と、年末調整を受けておらず還付などを受けるために申告する人 |
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※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.2665・No.2020・No.2030・No.1900(2026年9月28日確認)
この表から読み取れるのは、年末調整を受けられなかった人も、確定申告という別の窓口で同じ精算ができるということです。ただし、年末調整を受けなかったことだけで、全員に確定申告の義務が生じるわけではありません。転職した年は、どちらで精算するかが状況によって入れ替わります。
国税庁は、大部分の給与所得者は年末調整で所得税の納税が完了するため、確定申告の必要はないと説明しています。転職した年に確定申告をするのは、主に年末調整を受けられなかった場合です。ただし、給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超える場合などは、年末調整を受けていても申告が必要です。
年末調整の基本がわかったところで、転職や退職の時期ごとに何が変わるのかを見ていきます。
【状況別】転職・退職した年の年末調整と確定申告|7つのケース早見表
転職した年の年末調整がどうなるかは、「年末に勤めている会社に、今年中に支給日が来る給与があるか」と「前職の源泉徴収票が揃うか」の2点でほぼ決まります。自分がどのケースに当たるかを、次の表で確認してください。
状況 | 今年の年末調整 | 翌年の確定申告 |
|---|---|---|
①年内に再就職し、前職の源泉徴収票を転職先に提出した | 転職先で、前職分と合算して行う | 原則不要(医療費控除などを受ける場合は必要) |
②年内に再就職したが、前職の源泉徴収票が年末調整に間に合わない | 転職先では行えない | 精算するには必要(前職分と転職先分をまとめて精算) |
③年内に2回以上転職した | 年末に勤めている会社が、扶養控除等申告書を出していた勤務先の分をすべて合算して行う | 合算する勤務先の源泉徴収票がすべて揃えば原則不要 |
④12月に入社したが、転職先の最初の給与の支給日が翌年になる | 転職先では今年分は行われない | 精算するには必要(前職分を精算) |
⑤年の途中で退職し、年内に再就職しなかった | 原則として行われない(例外は⑥と表の下の注記) | 精算するには必要(多くは、納め過ぎた税金を取り戻す還付申告) |
⑥12月に支給される給与を受け取った後に退職し、年内に再就職しない | 退職した会社で行われる | 原則不要 |
⑦前の勤務先に在職中、扶養控除等申告書を最後まで出していなかった(掛け持ちのアルバイトなど) | その勤務先の給与は合算されない | 必要になる場合がある |
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※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.2665・No.2668・No.2674・No.1900/所得税基本通達190-1・190-2(2026年9月28日確認)
この表から読み取れるのは、年末調整が行われないケースでも、確定申告で精算する道が残っているということです。とくに②④⑤は、自分で申告しないと納め過ぎた税金が戻りません。
表の⑤には、⑥のほかにも例外があります。パートタイマーなどで、その年の給与の総額が一定額以下で、ほかの勤務先から給与を受ける見込みがない人は、退職時に年末調整されることがあります。当てはまりそうな方は、退職する会社に確認してください。
10月・11月に入社した人は、前職の源泉徴収票を早めに転職先へ出す
秋に入社した方は、転職先の最初の給与から年末調整までの期間が短くなります。前職の源泉徴収票を、転職先の年末調整に間に合うように出すことが一番のポイントです。
年末調整の書類を集める時期や締切は、会社によって異なります。入社手続きの段階で、前職の源泉徴収票をいつまでに、どの部署へ出せばよいかを確認しておくと安心です。
まだ前職から届いていない場合は、後述の『前職の源泉徴収票がもらえない・間に合わないときの対処法』を参考にしてください。転職先の締切までに年末調整の書類と一緒に出せれば、翌年の確定申告は原則として不要になります。
12月に入社した人は、今年中に給与の支給日があるかで分かれる
12月に入社した方は、転職先の最初の給与の支給日が12月中かどうかを確認してください。年末調整は、会社がその年の最後に給与を支払うときに行う手続きだからです。
国税庁は、12月の勤務分を翌年1月10日に支給する会社の例で、その給与は本年の年末調整の対象にならないと説明しています。給与の収入は、支給日が決まっていればその支給日の年のものとして扱われるためです。
このため、就業規則などで定められた最初の給与の支給日が翌年で、今年中に支払うことが確定した給与がない場合、その会社で今年分の年末調整は行われません。前職分は、翌年に確定申告をして精算します。
なお、12月中の支給日に支払われるはずの給与が遅れている場合は、未払でも今年の年末調整の対象になるため、これとは扱いが異なります。12月中に支給日が来る場合でも、前職の源泉徴収票が間に合わなければ、表の②と同じく確定申告になります。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.2668「年末調整の対象となる給与」(Q&A「給与の支払日が翌月の場合の年末調整」)/所得税法第190条(2026年9月28日確認)
翌年1月以降に入社する人は、退職した年の分を確定申告(多くは還付申告)で精算する
年の途中で退職し、入社が翌年1月以降になる方は、退職した年に年末調整を受けていない状態で年を越します。入社した会社が年末調整をするのは、入社した年に支払う給与だからです。
そのため、退職した年の分は、翌年に自分で確定申告をして精算します。多くの場合は、納め過ぎた税金が戻る還付申告になります。ただし、12月に支給される給与を受け取った後に退職した場合は、退職した会社で年末調整が行われているため、原則として申告は不要です。
入社した年の年末調整で使うのは、その年に受けた給与の源泉徴収票です。退職した年の源泉徴収票は確定申告で使うため、手元に保管しておいてください。
年内に2回以上転職した人は、合算する勤務先すべての源泉徴収票が必要
1年に2回以上転職した方は、年末に勤めている会社が、扶養控除等申告書を出していたそれまでの勤務先の給与をまとめて年末調整します。そのため、扶養控除等申告書を出していたそれぞれの勤務先から源泉徴収票を受け取り、すべて提出する必要があります。
合算する勤務先の源泉徴収票が1社分でも欠けると、転職先は年末調整を行えません。その場合は、翌年にすべての源泉徴収票の内容をもとに確定申告をします。
短期間で辞めた勤務先についても、源泉徴収票の受け取り漏れがないか確認してください。退職時に、送付先の住所と受け取り方法を確認しておくと安心です。
12月に退職する人は、12月に支給される給与を受け取る前か後かで分かれる
12月に退職する方は、退職日が「12月に支給される給与を受け取った後」かどうかで扱いが変わります。受け取った後に退職した場合は、退職した会社で年末調整が行われます。
国税庁は、年の途中で年末調整を行う対象の1つとして「12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人」を挙げています。たとえば、12月25日に給与を受け取り、12月28日に退職した場合がこれに当たります。
反対に、11月末に退職し、最後の給与が12月に支払われる場合は、給与を受け取る前に退職しているため、この例外には当たりません。年内に再就職しなければ、表の⑤と同じく確定申告で精算します。
なお、12月の給与を受け取って退職した後、年内に別の会社に就職して扶養控除等申告書を出す見込みがある場合は、退職した会社では年末調整を行いません。所得税法第190条がこの場合を除いているためです。転職先に今年の支給日が来る給与があり、前職の源泉徴収票がそろえば、転職先で前職分を合算して年末調整します。転職先の最初の支給日が翌年の場合は、表の④と同じく確定申告で精算します。
冬のボーナスの支給日と退職日を合わせて考えたい方は、冬のボーナスの支給日と退職日の決め方を確認しておくと判断しやすくなります。退職の時期そのものを迷っている段階なら、辞めどきを見極める手順も参考になります。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.2665「年末調整の対象となる人」/所得税基本通達190-1/所得税法第190条(2026年9月28日確認)
自分のケースが見えてきたら、次は年末調整のカギになる前職の源泉徴収票の受け取り方を確認します。
前職の源泉徴収票はいつもらえる?転職先に出す書類と時期
前職の源泉徴収票は、退職の日以後1か月以内に交付されることになっています。転職先には、この源泉徴収票と、入社時・年末調整時の申告書をあわせて提出します。
源泉徴収票は、退職の日以後1か月以内に交付される決まり
国税庁の「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」は、源泉徴収票の交付期限を定めています。年の途中で退職した人の分は、退職の日以後1か月以内に本人へ交付しなければなりません。年末まで勤めた人の交付期限(2027年2月1日)とは別の扱いです。
源泉徴収票は紙で受け取るほか、本人の承諾があれば電子データで受け取る場合もあります。電子で受け取った後でも、本人が請求すれば会社は書面で交付しなければなりません。
退職の手続きのときに、「源泉徴収票はいつ、どの方法で届くか」を確認しておくと、受け取り漏れを防げます。退職時に受け取る書類はほかにもあるため、退職時に会社から受け取る書類の一覧とあわせて確認しておくと安心です。
※ 参考元:国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」第2章 5「その他の注意事項」/所得税法第226条(2026年9月28日確認)
転職先に提出する書類と、出す時期
転職先に出す書類は、入社してすぐに出すものと、年末調整のときに出すものに分かれます。主なものは次の4つです。
書類 | 出す時期 | 何のために使うか |
|---|---|---|
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 入社後、最初の給与を受ける日の前日まで | 毎月の天引きを「甲欄」で計算し、年末調整の対象になるため |
前職の給与所得の源泉徴収票 | 転職先が指定する年末調整の締切まで | 前職の給与・天引きされた所得税・社会保険料を合算するため |
基礎控除申告書など | 年末調整のとき | 基礎控除(2026年分は最大104万円)や配偶者控除などを受けるため |
給与所得者の保険料控除申告書 | 年末調整のとき | 生命保険料、地震保険料、離職期間に自分で払った国民年金保険料などを控除するため |
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※ 参考元:国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和8年分)」/タックスアンサー No.2674・No.1130・No.1211-1(2026年9月28日確認)
この表のうち、転職した年に特有なのは前職の源泉徴収票です。ほかの3つは毎年の年末調整と同じ書類です。住宅ローン控除は、最初の年分は確定申告が必要で、2年目以後は年末調整で「住宅借入金等特別控除申告書」などを出して受けられます。
基礎控除申告書は、出し忘れると基礎控除を年末調整で受けられなくなるため、国税庁も提出漏れに注意を呼びかけています。転職先で初めて年末調整を受ける方は、書類の一覧を人事・総務の担当者に確認しておくと確実です。
源泉徴収票に書かれていることと、転職先での使われ方
源泉徴収票には、その会社からその年に支払うことが確定した給与の金額、天引きされた所得税の額、社会保険料の額などが記載されています。退職後に支給日が来る最後の給与も、支給日の年の分に含まれます。転職先は、これらの金額を自社で支払った給与と合算して年末調整をします。
前職分を合算して年末調整をした場合、転職先が作る源泉徴収票の「摘要」欄には、前の勤務先の名称や退職日、前の勤務先が支払った給与の金額などが記載されます。国税庁の手引がこの書き方を定めています。
源泉徴収票の提出をためらう理由として、「前職のことが転職先に伝わるのでは」という不安を挙げる方もいます。在職中の転職活動が今の職場に知られるかどうかは、別の論点として整理しておくと混乱しません。
※ 参考元:国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」第2章 3「各欄の記載要領」㉚摘要(6)(2026年9月28日確認)
【時系列】退職から翌年の確定申告までの流れ
年の途中で転職する場合、税金の手続きは退職時から翌年の春まで続きます。時期ごとにやることを並べると、次のとおりです。
時期 | やること | 関係する書類 |
|---|---|---|
退職するとき | 源泉徴収票の交付時期と方法、送付先を確認する。退職金がある場合は「退職所得の受給に関する申告書」を出す | 退職所得の受給に関する申告書 |
退職の日以後1か月以内 | 前の会社から源泉徴収票を受け取る。届かなければ問い合わせる | 給与所得の源泉徴収票 |
転職先に入社したとき | 最初の給与を受ける日の前日までに扶養控除等申告書を出す | 扶養控除等申告書 |
転職先の年末調整の締切まで | 前職の源泉徴収票と、基礎控除申告書・保険料控除申告書などを出す | 前職の源泉徴収票ほか |
翌年1月1日から5年間 | 年末調整を受けられなかった場合は、還付申告ができる | 確定申告書 |
翌年2月16日〜3月15日(原則) | 申告義務がある人は確定申告をする | 確定申告書 |
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※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.1420・No.2020・No.2030/「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」/「給与所得者(従業員)の方へ(令和8年分)」(2026年9月28日確認)
この表から読み取れるのは、転職した年の手続きのうち、本人が動く必要があるのは「受け取る」「出す」の2つだということです。税額の計算は、年末調整なら会社が行い、確定申告なら作成コーナーを使えば自動で計算されます。
受け取り方がわかったところで、源泉徴収票が届かない・間に合わないときの対処法を確認します。
前職の源泉徴収票がもらえない・間に合わないときの対処法|3つの手順と転職先への伝え方
前職の源泉徴収票が届かないときは、3つの手順で進めます。前の会社に交付を求め、1か月を過ぎたら税務署に届け出て、年末調整に間に合わなければ確定申告で精算します。何もしないまま年を越すことは避けてください。
①前の会社に、交付の時期と方法を問い合わせる
まずは前の会社の人事・総務・経理の担当者に、源泉徴収票の交付時期と方法を問い合わせます。退職の日から1か月が経っていない場合は、事務手続きの途中であることも考えられます。
問い合わせるときは、送付先の住所に変更がないか、電子交付になっていないかもあわせて確認してください。一度受け取った源泉徴収票をなくした場合は、前の会社に再発行を依頼します。
問い合わせた日時、相手の名前、やりとりの内容は、メモに残しておいてください。次の②で税務署に届け出るときに、交付を求めたことを示す材料になります。
②退職後1か月を過ぎても届かなければ、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出す
退職の日以後1か月を過ぎても源泉徴収票が届かず、前の会社に求めても交付されない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出できます。根拠は所得税法第226条です。
届出書は、e-Taxのほか、書面で所轄の税務署へ持参または郵送して提出できます。添付するのは次の書類です。
- 給与支払明細書の写し(保存している場合)
- 勤務先に源泉徴収票の交付を求めたことがわかる書類など(いつ・どこで・誰に・どの方法で・どんなやりとりをしたかのメモ)
届出を受けた税務署は、前の会社に交付するよう行政指導を行います。ただし、行政指導に法律上の拘束力はなく、相手の自主的な協力が前提です。国税庁は、届出の後も自分で交付を求め続けるよう案内しています。
※ 参考元:国税庁「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」/国税庁「『源泉徴収票不交付の届出書』を提出される前に、ご確認ください。」(2026年9月28日確認)
③年末調整に間に合わなければ、翌年の確定申告で精算する
転職先の年末調整に前職の源泉徴収票が間に合わない場合、転職先では年末調整が行われません。この場合は、翌年に自分で確定申告をして、前職分と転職先分をまとめて精算します。
確定申告のときは、前職と転職先の両方の源泉徴収票の内容を使います。なお、2019年4月1日以後に提出する確定申告書には、源泉徴収票の添付は不要になりました。ただし、申告書に書く支払金額や源泉徴収税額は源泉徴収票で確認する必要があります。
最後まで源泉徴収票が届かない場合の申告のしかたは、届出書を出した税務署に相談してください。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.2674「中途就職者の年末調整」/国税庁「国税関係手続が簡素化されました」(2026年9月28日確認)
転職先には、源泉徴収票が遅れていることを早めに伝える
前職の源泉徴収票が遅れているときは、転職先の人事・総務の担当者に、その状況を早めに伝えておくと手続きが進めやすくなります。締切までに届く見込みがあるのか、届かない場合はどうするのかを、担当者と共有できるためです。
伝えるときは、前の会社に問い合わせた日と、届く見込みの時期をあわせて伝えると話が早く進みます。締切を過ぎそうなときも、まずは追加で提出できるか、年末調整の処理に間に合うかを担当者に確認してください。それでも年末調整を受けられなかった場合は、翌年の確定申告で精算することを前提に、転職先の源泉徴収票を受け取っておいてください。
次は、年内に再就職しなかった方や、年末調整を受けられなかった方の確定申告を見ていきます。
年内に再就職しなかった人の確定申告|時期・必要なもの・しないとどうなるか
年の途中で退職し、年内に再就職しなかった方は、原則として会社の年末調整を受けられません(12月に支給される給与を受け取った後に退職した場合などを除きます)。天引きされた所得税の精算は、翌年に自分で確定申告をして行います。多くの場合は、納め過ぎた税金が戻る還付申告になります。
年末調整を受けていない人は、確定申告で1年分を精算する
年の途中で退職した人は、原則として年末調整の対象外です。退職までに天引きされた所得税は、年末調整で精算されないままになっています。
そのため、年の途中で退職して年末調整を受けていない人は、確定申告をすると納め過ぎた所得税が戻る場合があります。国税庁のタックスアンサー(No.2030)も、還付申告ができる例の1つ目にこのケースを挙げています。文言は「年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき」です。
年内に再就職するかどうか決まっていない方は、次の仕事を決めずに退職するときの準備もあわせて確認しておくと、退職後のお金の見通しを立てやすくなります。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.2665「年末調整の対象となる人」、No.2030「還付申告」(2026年9月28日確認)
確定申告が「義務になる人」と「還付を受けるために申告する人」
給与を受けている人のうち、次のいずれかに当てはまる人は、確定申告をしなければなりません(申告すれば税金が戻る人を除きます)。転職・退職に関係しやすいものを抜き出すと、次のとおりです。
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 給与を1か所から受けていて、給与所得と退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える人
- 給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える人
- 退職所得について正規の方法で税額を計算すると、源泉徴収された額より多くなる人
3つ目には例外があります。次の2つをどちらも満たす人は、申告は不要です。
- 給与の収入金額の合計から、所得控除の合計額(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く)を差し引いた金額が150万円以下
- 給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下
これらに当たらない人でも、納め過ぎた税金を取り戻すには還付申告が必要です。申告をしなければ、納め過ぎた税金は戻りません。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」、No.2030「還付申告」(2026年9月28日確認)
申告の時期とやり方:還付申告は翌年1月1日から、確定申告期間は原則2月16日〜3月15日
2026年分の確定申告の期間は、原則として2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。申告と納付の期限も、原則として3月15日です。
納め過ぎた税金を取り戻すための還付申告は、確定申告の期間とは関係なく、翌年1月1日から5年間提出できます。2026年分なら、2027年1月1日から提出できます。
申告の義務がある人は、3月15日の期限を過ぎないように注意してください。還付申告だけの人も、期間が長いからと後回しにすると、源泉徴収票などの書類をなくしやすくなります。
確定申告書は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。画面の案内に沿って金額を入力すると、税額などが自動で計算されます。作成したデータは、e-Tax(電子申告)で送信するか、印刷して所轄の税務署へ郵送などで提出します。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.2020「確定申告」、No.2030「還付申告」、No.2024「確定申告を忘れたとき」(2026年9月28日確認)
確定申告で使うもの
年内に再就職しなかった人の確定申告では、主に次のものを使います。
使うもの | ポイント |
|---|---|
退職した会社の給与所得の源泉徴収票 | 退職の日以後1か月以内に交付される。申告書への添付は不要で、支払金額や源泉徴収税額を転記する |
国民年金保険料の金額を証明する書類(控除証明書など) | 控除には書類の添付または提示が必要。2027年1月1日以後に出す2026年分以降の確定申告書では、一定の事項を書いた明細書の添付で代えられる。e-Taxでは証明書の内容を入力して送信すれば提出・提示を省略できるが、原則として法定申告期限から5年間は提示などを求められることがあるため保管しておく |
国民健康保険料(税)を支払った金額がわかるもの(領収書など) | 退職後に加入した国民健康保険の保険料も社会保険料控除の対象 |
退職所得の源泉徴収票(退職金を受け取った人のみ) | 退職所得の申告が必要な人や、医療費控除などで申告書を出す人が使う |
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※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.1130「社会保険料控除」、No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」、No.1904「給与所得者と電子申告」/国税庁「国税関係手続が簡素化されました」(2026年9月28日確認)
この表から読み取れるのは、年内に再就職しなかった人の確定申告は、源泉徴収票と保険料の支払額がわかる書類が中心になるということです。手元に揃えておくと、入力の途中で手が止まりにくくなります。
失業保険と退職金の扱い:基本手当は非課税、退職金は申告書の提出で原則申告不要
退職後に受け取る雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)には、所得税がかかりません。雇用保険法第12条が、失業等給付として受け取った金銭に税金などを課すことはできないと定めているためです。
そのため、基本手当は確定申告の所得にも、年末調整の給与にも含めません。国税庁の確定申告書等作成コーナーの「よくある質問」(令和4年分)でも、求職者給付は課税されないと説明されています。
基本手当の受給開始時期や日数は、退職理由によって変わります。失業保険の受給開始時期と給付日数で確認しておくと、年内の生活費の見通しを立てやすくなります。
退職金を受け取った方は、退職した会社に「退職所得の受給に関する申告書」を出したかどうかを確認してください。提出している場合は、会社が退職所得に応じた所得税を天引きしているため、原則として確定申告は必要ありません。
提出していない場合は、退職金の20.42%の所得税等が天引きされています。この場合は、確定申告をして精算します。
なお、医療費控除などを受けるために確定申告書を出す場合は、提出の有無にかかわらず、申告書に退職所得の金額を書く必要があります。
※ 参考元:雇用保険法第12条/国税庁 質疑応答事例「条例に基づき支給する『失業者の退職手当』の取扱い」/国税庁 確定申告書等作成コーナー 令和4年分よくある質問「雇用保険法上の求職者給付を受給している配偶者」/国税庁 タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」(2026年9月28日確認)
申告しないとどうなるか:還付は受けられず、義務がある人は加算税の対象になりうる
還付申告の対象になる人が申告しなければ、納め過ぎた税金は戻らないままです。還付申告は5年間提出できるため、3月15日を過ぎていても間に合う場合があります。なお、戻ってくるのは源泉徴収や予定納税ですでに納めた税金の範囲内です。給与や退職金の源泉徴収票の「源泉徴収税額」がすべて0円で、予定納税などほかに納めた所得税もない人は、申告しても戻る税金はありません。
一方、申告義務がある人が3月15日までに申告しなかった場合は、期限後申告として扱われます。国税庁は、気づいた時点でできるだけ早く申告するよう案内しています。
期限後申告では、申告内容などによって、納める税金のほかに無申告加算税がかかります。納める税金がある場合は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて延滞税もかかります。期限後申告でも、法定申告期限から1か月以内に自主的に行い、一定の要件を満たす場合は無申告加算税はかかりません。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.2024「確定申告を忘れたとき」、No.2030「還付申告」、No.9205「延滞税について」(2026年9月28日確認)
確定申告で控除し忘れやすいのが、離職期間に自分で払った保険料です。次の章で確認します。
離職期間に払った国民年金・国民健康保険料は、年末調整でも確定申告でも控除できる
退職から再就職までの間に自分で払った国民年金保険料や国民健康保険料(税)は、社会保険料控除の対象です。転職先の年末調整でも、翌年の確定申告でも控除を受けられます。
その年に実際に支払った保険料は、全額が控除の対象になる
社会保険料控除は、その年に実際に支払った社会保険料、または給与から差し引かれた社会保険料の全額を所得から差し引く制度です。国民年金保険料と国民健康保険料(税)も対象に含まれます。
前職の給与から差し引かれた社会保険料は、前職の源泉徴収票に記載されています。転職先の年末調整では、この金額も合算されます。
一方、離職期間に自分で払った保険料は、源泉徴収票には載りません。自分で申告しないと控除されないため、忘れやすい部分です。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.1130「社会保険料控除」(2026年9月28日確認)
転職先の年末調整では「保険料控除申告書」に書き、国民年金は証明書を添付または提示する
転職先の年末調整で控除を受けるときは、「給与所得者の保険料控除申告書」の社会保険料の欄に、支払った保険料を記入します。
国民年金保険料については、金額を証明する書類(控除証明書など)を申告書に添付するか、提出のときに提示する必要があります。年末調整の書類を出す前に、手元にあるかを確認してください。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.1130「社会保険料控除」(2026年9月28日確認)
家族の分を払った場合や、申告し忘れた場合
自分と生計を一にする配偶者やその他の親族が負担すべき保険料を代わりに払った場合も、その支払額は控除の対象になります。たとえば、離職中の家族の国民年金保険料を払った場合がこれに当たります。
年末調整で申告し忘れた場合は、翌年に確定申告(還付申告)をすることで控除を受けられます。社会保険料控除の申告先は、勤務先(年末調整)または所轄の税務署(確定申告)です。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.1130「社会保険料控除」、No.2030「還付申告」(2026年9月28日確認)
最後に、2026年の年末調整で変わる点と、転職した方への影響を確認します。
2026年(令和8年分)の年末調整で変わること|基礎控除の引上げと転職者への影響
令和8年度税制改正で、基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられました。改正は2026年12月1日に施行され、2026年分の所得税から適用されます。転職した方にとっては、年末調整を受けるか確定申告をするかで、改正後の控除が反映される場面が変わります。
基礎控除は最大104万円に、給与所得控除の最低保障額は74万円に引き上げ(2026・2027年分)
2026年分の基礎控除は、合計所得金額に応じて次のとおりです。
合計所得金額 | 2025年分(令和7年分) | 2026年分(令和8年分) |
|---|---|---|
132万円以下 | 95万円 | 104万円 |
132万円超336万円以下 | 88万円 | 104万円 |
336万円超489万円以下 | 68万円 | 104万円 |
489万円超655万円以下 | 63万円 | 67万円 |
655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
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※ 合計所得金額2,350万円超の区分は、改正の前後で変わりません。
※ 参考元:国税庁 タックスアンサー No.1199「基礎控除」/国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」昨年と比べて変わった点/国税庁 タックスアンサー「専門用語集」合計所得金額(2026年9月28日確認)
この表から読み取れるのは、合計所得金額489万円以下の人の基礎控除が一律104万円になったことです。給与だけの人なら、特定支出控除や所得金額調整控除の適用がない場合、給与の収入金額が665万5,556円以下の範囲がこれに当たります。
合計所得金額には、退職所得金額も含まれます。退職金を受け取った年は、給与の収入だけで判断せず、退職所得控除などを差し引いた後の退職所得金額も加えて確認してください。
なお、104万円・67万円は2026年分と2027年分に限った金額です。2028年分以後は、合計所得金額132万円以下が99万円、132万円超2,350万円以下が62万円になります。
あわせて、2026年分と2027年分の給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられました(2028年分以後は69万円)。給与の収入金額が65万円を超え220万円未満の人は、給与所得の計算で差し引かれる額が改正前より大きくなります。
家族の扶養の範囲と、生命保険料控除の特例も変わる
2026年分は、扶養控除などの対象になる家族の所得要件も見直されました。扶養親族や同一生計配偶者の要件は、合計所得金額58万円以下から62万円以下になっています。
家族の収入が給与だけの場合、給与の収入金額でいえば136万円以下が目安です。この見直しで新たに扶養親族に当たる家族がいる場合は、扶養控除等申告書をあらためて提出します。
また、年齢23歳未満の扶養親族がいる人は、2026年分と2027年分の一般生命保険料控除が拡充されました。新生命保険料に係る控除額の上限が、4万円から6万円に引き上げられています。一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除を合わせた上限12万円は変わりません。年末調整の保険料控除申告書を書くときに影響します。
※ 参考元:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」昨年と比べて変わった点/「給与所得者(従業員)の方へ(令和8年分)」(2026年9月28日確認)
改正後の控除は、12月の年末調整で反映される
2026年11月までの毎月の給与の天引き額は、改正前の計算のまま変わりません。改正後の基礎控除などは、2026年12月に行う年末調整で1年分の税額を計算し直すときに反映されます。
年内に再就職して転職先で年末調整を受ける方は、前職分も含めた1年分の給与に、改正後の控除が適用されます。前職の源泉徴収票を期限までに出しておくことが、ここでも前提になります。
※ 参考元:国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(令和8年5月)」Q1-1・Q3-1(2026年9月28日確認)
年末調整を受けない人は、確定申告をすると改正後の控除が反映される
国税庁のQ&Aは、2026年の途中で退職し、年末調整を受けていない人は改正後の控除が適用されていないため、適用を受けるには確定申告が必要だとしています。表の②④⑤に当たる方は、確定申告をすることで改正後の控除が反映されます。
また、2026年11月30日以前に最後の給与の支払を受け、その際に年末調整を受けた人も、改正後の控除は反映されていません。国税庁のQ&Aでは、年の途中で非居住者になった人、死亡により退職した人、休業・休職して年末までに復職していない人が例に挙げられています。
ただし、源泉徴収票の「源泉徴収税額」がすべて0円で、ほかに納めた所得税もない人は、確定申告をしても戻る税金はありません。
※ 参考元:国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(令和8年5月)」Q1-3・Q7-1(2026年9月28日確認)
ここまでの内容をふまえて、転職と年末調整でよく寄せられる疑問に答えます。
【Q&A】転職と年末調整に関するよくある質問
転職したら、年末調整は前の会社と今の会社のどちらで行いますか?
年内に転職先の給与の支給日があれば、年末に勤める会社が前職分も合算して年末調整するのが原則です。前職の源泉徴収票を今の会社に提出すると、前職で受けた給与と天引きされた所得税も含めて1年分を精算します。源泉徴収票を出せないときは年末調整が行われず、翌年に確定申告をします。
12月に入社した場合、年末調整は間に合いますか?
12月中に転職先の給与の支給日があり、前職の源泉徴収票を転職先の締切までに提出できれば、年末調整を受けられます。転職先に扶養控除等申告書を出していることが前提です。年末調整は会社がその年最後に給与を払うときに行うため、最初の給与の支給日が翌年の場合は今年分の年末調整は行われません。その場合は、前職分を翌年に確定申告で精算します。
年の途中で退職し、翌年1月に入社した場合、退職した年の分はどうなりますか?
退職した年の分は、原則として翌年に確定申告(多くは還付申告)をして精算します。入社した会社が年末調整するのは入社した年の給与で、退職した年は年末調整を受けていないためです。還付申告は翌年1月1日から5年間提出でき、12月に支給される給与を受け取った後に退職した場合は、退職した会社で年末調整が行われています。
前職の源泉徴収票を転職先に出さないと、どうなりますか?
転職先は年末調整を行えず、1年分の精算は翌年の確定申告(還付申告を含む)で行うことになります。前職で天引きされた所得税を含めた1年分の精算は、源泉徴収票の内容がないとできないためです。確定申告をしなければ、納め過ぎた税金は戻りません。
転職先で年末調整を受けたら、確定申告はしなくてよいですか?
給与以外の所得がない場合など、多くの人は確定申告をしなくても済みます。ただし、医療費控除を受ける場合や、給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超える場合などは確定申告をします。年末調整で申告し忘れた国民年金保険料なども、確定申告で控除できます。
住民税も年末調整で精算されますか?
年末調整で精算するのは所得税と復興特別所得税で、住民税は含まれません。住民税は市区町村が課す税で、会社は年末調整とは別に、給与支払報告書を市区町村へ提出します。住民税の計算や退職後の納め方は、お住まいの市区町村で確認できます。
失業保険(基本手当)をもらっていた期間は、年末調整に影響しますか?
雇用保険の基本手当には所得税がかからないため、年末調整でも確定申告でも収入に含めません。雇用保険法第12条が、失業等給付に税金などを課すことはできないと定めているためです。ただし、離職期間に自分で払った国民年金保険料などは控除の対象になるので、申告を忘れないようにしてください。
前職の源泉徴収票をなくしてしまいました。どうすればよいですか?
まとめ|転職先の年末調整には前職の源泉徴収票が必要。受けられなければ確定申告で精算する
年の途中で転職し、年内に転職先の給与の支給日がある方の年末調整は、転職先が前職分を合算して行うのが原則です。そのためには、前職の源泉徴収票を転職先の年末調整の締切までに提出する必要があります。
源泉徴収票が間に合わない場合、12月入社で最初の給与の支給日が翌年の場合、年内に再就職しなかった場合は、年末調整が行われません。これらの方は、翌年に確定申告(多くは還付申告)をして精算します。納め過ぎた税金を取り戻す還付申告は、翌年1月1日から5年間提出できます。
例外として、12月に支給される給与を受け取った後に退職し、年内に再就職しない方は、退職した会社で年末調整が行われます。また、2026年分は12月1日施行の改正で基礎控除などが引き上げられ、年末調整を受けない方は確定申告で改正後の控除が反映されます。
まずは、前職の源泉徴収票が手元にあるか、転職先の年末調整の締切はいつかを確認するところから始めてください。
この記事を書いた人

転職UPPP編集部は、IT・Web業界に精通した起業家、マーケティングのプロフェッショナル、そして豊富な転職経験を持つライター・ディレクターが集結した専門チームです。起業や独立、法人営業、Webマーケティング、メディア運営など、それぞれのキャリアで培った知見を活かし、転職市場の動向を分析しながら、実体験に基づいた信頼性の高い情報を発信しています。転職の成功と失敗をリアルに経験したメンバーが、読者にとって本当に役立つコンテンツを提供します。
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